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Watches & Wonders 2025の会場からIWCの最新作をご紹介
1970年代にジェラルド・ジェンタによってデザインされた インヂュニアSL Ref.1832。そのデザイン言語を継承しつつ、モダンにアップデートされたインヂュニア・オートマティック 40 が登場したのが2023年のことでした。そして、それからわずか2年後の2025年、IWCはインヂュニア・コレクションを大幅にアップデートしました。近年の小径化のトレンドに合わせたインヂュニア・オートマティック 35 や、永久カレンダーを搭載したインヂュニア・パーペチュアル・カレンダー 41も注目すべきモデルですが、本記事では素材に着目し、新たに登場した2つのモデルをご紹介します。
IWC インヂュニア・オートマティック 40 レッドゴールド
まず紹介するのはレッドゴールドケースとブラックダイヤルを備えたインヂュニア・オートマティック 40 レッドゴールドです。2023年に発表された新デザインのインヂュニアに新たな素材が採用されたことは一目瞭然。基本的な設計は、ステンレススティールモデルと共通しており、直径40mm × 厚さ10.4mm のケースサイズを維持しながら、鏡面仕上げの面取りとサテン仕上げが施されたケース、ベゼル、そして一体型ブレスレットが組み合わされています。
イエローゴールド製ケースを備えたインヂュニアSL。
インヂュニアのゴールドモデルは、歴史的に見ても今回が初めてではありません。 ジェラルド・ジェンタがデザインしたインヂュニアSL には、イエローゴールドケースとブラックダイヤルが組み合わされたモデルが存在していました。IWCのデザイン部門責任者であるクリスチャン・クヌープ氏は、この新作のデザインインスピレーションが、まさにその歴史的モデルから来ていると語っています。
「ポルトギーゼのクラシックなデザインに見られるように、ゴールドとブラックの組み合わせは非常にエレガントで洗練された印象を与えます。このカラースキームを活かすことで、スポーツウォッチでありながらドレッシーな魅力を持つ時計に仕上げました」
ケースを裏返すと新たに採用されたトランスパレントバック越しに120時間のパワーリザーブを誇るCal.32111が搭載されていることがわかります。スティールモデルではソリッドバックが採用されていたため、ムーブメントの鑑賞という楽しみが加わったのは、レッドゴールドモデルならではの特徴といえるでしょう。
また、この仕様によりスティールケースに採用されていた耐磁性軟鉄製インナーケースが省略されています。現代のインヂュニアのテンプやゼンマイには耐磁性に優れた新素材が採用されており、この構造が必須ではなくなったためです。この変更のおかげでトランスパレントバックを採用しながらも、レッドゴールドモデルの厚さはスティールモデルの10.7mmよりもわずかに薄い10.4mm に抑えられています。
ヴァル・フルリエとの共同開発による自社製のCal.32111。
本来、ソリッドバックや軟鉄製のインナーケースは、ムーブメントを耐磁性で保護するために存在していました。しかし、正直なところ、それも今ではノスタルジーの要素が強くなっているのが現実だということでしょう。それにレッドゴールド製のインヂュニアを身につけるなら、ムーブメントのラグジュアリーな仕上げを楽しみたいと思うのは当然です。
しかし、トランスパレントバックの採用がもたらすメリットは、単にムーブメントを眺められるという点に留まりません。手首につけると、確かにゴールド特有のずしりとした重みを感じます。しかし、インナーケースの廃止とケースの厚みが抑えられたことにより、全体のバランスが最適化され、より快適な装着感が実現されています。これにより、ラグジュアリーな存在感を保ちながらも、スポーツウォッチとしての日常的な使いやすさも両立しています。より大胆で重厚感のあるラグジュアリースポーツウォッチを求める方にとって、非常に魅力的な選択肢のひとつとなるでしょう。
IWC インヂュニア・オートマティック 42 ブラックセラミック
2025年のインヂュニアのリリースのなかで、個人的に最も気に入ったのが、このインヂュニア・オートマティック 42 ブラックセラミックです。そう、これは単なるコーティングによるブラックではなく、フルブラックセラミックケースを採用した1本。そのため傷がつきにくく、美しいブラックの光沢が長く保たれるのが特徴です。
ケースサイズは直径42mm × 厚さ11.6mm と、スティールモデルやゴールドモデルと比較するとわずかに拡大されています。これについて、クリスチャン・クヌープ氏は次のように説明しています。
「ブラックセラミックは視覚的に小さく見えるため、40mmのままではコンパクトすぎる印象になります。そのため、41mmから42mmのあいだで調整し、視覚的なバランスを取る必要がありました。ここでも我々が目指したのは、ケースのサイズ感が違ってもインヂュニアらしいプロポーションを維持することです」
インヂュニア・オートマティック 42 ブラックセラミックは、細部に至るまでブラックで統一されたデザインとなっています。アプライドのインデックスや針の縁、デイトホイールはもちろん、ベゼルのスクリューまですべてフルブラック仕様。モノクロマティックな外観がブラックセラミックのシャープな印象をより際立たせています。
しかし、単にすべてを黒くするのではなく、仕上げの違いによって質感のコントラストが生まれるよう工夫されているのも大きな特徴です。実は、セラミックモデルの仕上げはステンレススティールやチタン、ゴールドモデルとは異なる方法が採用されています。
バックルは他のケース素材のものとは異なり、折りたたむ順番を気にしなくていい仕様。
鏡面仕上げの部分は他のモデルと共通ですが、マットな部分には一度サテン仕上げを施した後、非常に薄くサンドブラスト加工をかける という手の込んだプロセスが採用されています。これについて、クリスチャン・クヌープ氏は次のように説明しています。「サテン仕上げだけにすると、光沢感が強くなり、まるでプラスチックのような質感に見えてしまいます。それを避け、製品にしっかりとした密度感を持たせるために、あえてこのような仕上げのプロセスを採用しました」
この仕上げによって、ブラックセラミックの美しい光沢と落ち着いたマットな質感がバランスよく調和し、単調になりがちなブラックウォッチに深みのある表情をもたらしています。
ブラックセラミックモデルでも耐磁性軟鉄製インナーケースは省かれており、ケースバックはトランスパレント仕様です。サファイアガラスはスモークガラスのようにブラックに着色されていて、内部のムーブメントもトーンダウンされケースデザインとの一体感が追求されています。内部には40mmのインヂュニアに搭載されているものとは異なるCal.821102を搭載。さらに、自動巻きホイールやそれと噛み合う爪などのパーツには、摩耗しにくい酸化ジルコニウム・セラミック製の部品が採用 されています。つまり、ブラックセラミックモデルはケースの外装だけでなく、ムーブメント内部にもセラミックを使用することで、耐久性と機能性を向上させているのです。この徹底したこだわりによって、単なるカラーバリエーションにとどまらず、インヂュニアの設計思想をさらに進化させた特別なモデルとなっています。
価格は296万1200円(税込)。確かに、市場には一体型ブレスレットを備えたセラミック製ウォッチの選択肢は他にも存在します。セラミックという素材は、加工が容易な素材ではありませんが、今では数十万円の価格帯から入手可能になり、その選択肢は広がっています。一方で、ハイエンドな価格帯になれば、オーデマ ピゲのようなラグジュアリーな選択肢 も存在します。
そんな中、IWCから登場したインヂュニア・オートマチック 42 ブラックセラミックは、その仕上げの工程の多さと美しさを考慮すると高価すぎることもなく、また通常生産モデルとして展開されるため、入手難易度も極端に高くならないという、絶妙なバランスを実現しています。本作は高品質なセラミック製スポーツウォッチを求めるユーザーにとって、実用性・デザイン・価格のすべてにおいて優れた選択肢となる1本といえるでしょう。
基本情報
ブランド: IWC
モデル名: インヂュニア オートマチック 40 レッドゴールド (Ingenieur Automatic 40 Red Gold); インヂュニア オートマチック 42 ブラックセラミック (Ingenieur Automatic 42 Black Ceramic)
型番:IW328702(レッドゴールド); IW338903 (ブラックセラミック)
直径: 40mm(レッドゴールド); 42mm (ブラックセラミック)
厚さ: 10.4mm(レッドゴールド); 11.6mm(ブラックセラミック)
ケース素材: 5N 18K レッドゴールド ; ブラックセラミック
文字盤色: ブラック
インデックス: ケース素材に合わせたアプライドのインデックス
夜光: あり
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット: レッドゴールド製の一体型ブレスレット; セラミック製の一体型ブレスレット
ムーブメント情報
キャリバー: Cal.32111(レッドゴールド); Cal.821102(ブラックセラミック)
機構: 時、分、センターセコンド(ハック付き)、デイト表示
パワーリザーブ: 120 時間(レッドゴールド); 60時間(ブラックセラミック)
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時(4Hz)
石数: 21(レッドゴールド); 22(セラミック)
クロノメーター認定: なし
価格 & 発売時期
価格: 707万6300円(レッドゴールド); 296万1200円(ブラックセラミック)、すべて税込
発売時期: 今すぐ
限定: なし、通常コレクション
詳細は、IWC公式サイトへ。