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Introducing ヴァシュロン・コンスタンタン レ・キャビノティエ・ソラリア・ウルトラ・グランドコンプリケーション– ラ・プルミエール -が世界でもっとも複雑な腕時計の世界記録を更新(編集部撮りおろし)

41の複雑機構を備え、製作に8年の歳月を費やしたソラリアは、ヴァシュロン・コンスタンタンの創業270周年を祝うにふさわしいモデルである。


ヴァシュロン・コンスタンタンのレ・キャビノティエ部門は、世界でもっとも複雑な腕時計を発表してから1年も経たぬうちに、ソラリア・ウルトラ・グランドコンプリケーションを世に送り出し、再びその世界記録を塗り替えた。今回登場したソラリアは懐中時計ではなく、41もの複雑機構、特許出願中の13件の発明、そして驚くほどモダンなデザインと、実際に腕に装着可能なサイズ感を特徴としている。あらかじめ断っておくが、この話は(またしても)Watches & Wonders期間中に掲載する記事のなかで最長の部類に入るだろう。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication

 ご存じのとおり、ヴァシュロン・コンスタンタンは270年におよぶ歴史のなかで複雑機構時計の分野において常に重要な存在であり続けてきた。この分野において各ブランドのしのぎを削る小さな競争のなかで、同社は2017年に23の複雑機構を備えたレ・キャビノティエ セレスティア・アストロノミカル・グランド・コンプリケーション 3600を発表している。とはいえ、それでもなお、36の複雑機構を持つフランク・ミュラーのエテルニタス メガ4には及ばなかった。しかしながら、フランク・ミュラーの公式ウェブサイトはすでに時代に取り残されている。というのも、エテルニタスはすでに“世界でもっとも複雑な時計”の座を明け渡したばかりか、“もっとも複雑な腕時計”ですらなくなっているのだ。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’
Video: 世界でもっとも複雑な時計、ヴァシュロン・コンスタンタン ザ・バークレイ・グランドコンプリケーションの開発秘話

 ザ・バークレー・グランドコンプリケーションに対する畏敬の念はさておき、960g、直径90.8mm、厚さ50.55mmというこの“懐中時計”は、もはや時計というより置き時計のような存在だった(ただし、どこまでが時計でどこからが置き時計なのかは議論の余地がある)。そんななかで、私のお気に入りのコメントを紹介しよう。“時計型のケトルベル”。そしてある読者はこう語った。“感動的だ。今度は腕時計版を作ってよ”。まあ、それにかなり近いものを今回、実際に作ってしまったのだ。

 昨年と同様、ヴァシュロンは今年もレ・キャビノティエ ソラリアをWatches & Wondersの前日に、選ばれたプレス関係者に向けてお披露目した。つまり、すべての詳細を知ることができただけでなく、私はこの時計を(触ることができなかったバークレーに対して、文字どおり)“ハンズオン”できたのだ。


概要

さて、この時計が41もの複雑機構を搭載し、13の特許を申請していることは前述したとおりだが、しかしもっとも感銘を受けるのは、時計のサイズと全体的な美しさだと思う。ヴァシュロンは2022年発表の“トリビュート・トゥ・バッカス”のように、“複雑性”と“派手さ”を結びつけることを避けてはこなかったが、このモデルは比較的控えめなケースデザインとモダンなダイヤルを備え、着用性も念頭においたパッケージとなっている。

さて、この時計が41もの複雑機構を搭載し、13件の特許を申請中であることはすでに述べたが、もっとも印象的な点のひとつはそのサイズと全体の意匠である。ヴァシュロンは2022年に発表したトリビュート・トゥ・バッカスのように、“複雑性=派手さ”という方程式を否定してこなかったが、本作では比較的控えめなケースデザインとモダンなダイヤルレイアウトを採用し、着用性にも配慮された構成となっている。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’
Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’
Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

 では、その着用性はどうか。時計のサイズは直径45mmで厚さが14.99mm。最近発表されたオメガ シーマスター プラネットオーシャン ワールドタイムと比較すると、直径で0.5mm大きく、厚さは4mm薄い。もちろんこれらは用途も目的も異なる2本の時計であり(ソラリアには防水性能の記載がなく、おそらく防塵仕様に留まると見られる)、ヴァシュロンによるこのモデルは価格非公開の1点モノであり、同社の高級時計製造部門によって製作された特別な作品だ。それでもなお、マイクロメカニクスと小型化という点で、ヴァシュロンの技術力の高さを如実に物語っている。

 ムーブメントであるCal.3655は直径36mm、厚さ10.96mmに収められており、そのなかには14の天文複雑機構や、5種類のリピーターを含む多彩な機能が詰め込まれている。そのひとつであるスプリットセコンドクロノグラフは、天文機構としての役割も兼ねている。全体で1521個の部品と204個の受け石を用い、2万1600振動/時で駆動、パワーリザーブは72時間を誇る。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

 ビスポークで製作されたバークレー・グランドコンプリケーションとは異なり、ソラリアはヴァシュロン主導による完全オリジナルのプロジェクトである。ひとりの時計職人に、そう、たったひとりに思う存分創造力を発揮できる全権が与えられ、彼はその依頼内容に対し全身全霊を持って応えた。製作には8年を要した。予算も価格も設定されていないが、この時計は販売対象である。正式名称の末尾に“プルミエール”という名が冠されているのは、今後同様の依頼に応じて、それぞれ異なるディテールを与えながらも同じ複雑機構群を搭載するモデルが製作されることを意味している。すべての機構の一覧は記事の末尾に掲載するが、ここでは主要なものをいくつか紹介しよう。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

 もちろん(極めて複雑ではあるが)通常のチャイム機構、クロノグラフ、トゥールビヨンも搭載されているが、このモデルではウェストミンスター・ミニッツリピーター機構が、クロノグラフ機構およびトゥールビヨン調速機構とともにベースムーブメントに統合されている。常用時表示モジュールも同様に組み込まれているが、一方で恒星時は独立して作動する。

 また、グレゴリオ暦に基づくパーペチュアルカレンダーと第2タイムゾーン表示も備えている。この第2タイムゾーン表示ではホームタイムとは別にローカルタイム用の独立した時針と分針が設けられており、さらにワールドタイム表示も搭載されている。天文表示では、選択した都市における満潮と干潮(日の出、日の入り、ムーンフェイズ、月齢と同様に)を表示するだけでなく、大潮と小潮の日付も示される。大潮とは、干潮と満潮の差がもっとも大きくなる現象で、新月や満月の1〜2日後、太陽・地球・月が一直線に並んだときに起きる。一方、小潮は、大潮から約7日後、太陽と月が直角の位置関係にあるときに現れ、潮の干満が穏やかになる期間を指す。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

 私にとってもっとも魅力的な複雑機構(あるいはその組み合わせ)は、コラムホイール式スプリットセコンドクロノグラフを天文観測のツールとして活用している点である。時計の裏側には、2枚のサファイア製ディスプレイが重なり合った“天球”(空の見かけの半球状の広がり)の表示が配されている。少々複雑だが(ほかに適切な言い方もないので)、どうか最後までお付き合いいただきたい。

 まず裏面ダイヤルには、オーナーが設定した観測地点の夜空に広がる星座の一覧が表示され、星座の動きがリアルタイムで示される。この表示の中央にはスプリットセコンドクロノグラフが搭載されており、その中央部には、0時から24時までの時刻を指し示すグリーンの矢印が配されている。またダイヤルの中央から外周の中間地点には、もう1本グリーンの基準線が設けられている。ヴァシュロンによると、これらを以下のように活用するとのことだ。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

 「この複雑機構を作動させるには、ユーザーが天球図上で任意の星を視覚的に選び、クロノグラフを起動させます。クロノグラフ針がグリーンの基準マーカーに到達したら、スプリットセコンド針を停止させ、もう一方の針は選んだ星の現在位置に達するまで動かし、そこで停止させてください。選んだ星が空に現れるまでにかかる時間(時数)は、ダイヤル中央にある小さなカウンター上のグリーンの三角形で示されます。裏蓋の風防に沿って配置された月表示は、地球の太陽周回軌道上の位置に応じて、天球表示を調整する際の目安となります」

 言うまでもなく、この表示機構も非常に複雑である。フロントダイヤルには4つのインダイヤルがあり、その下には都市と天文記号を示す2枚の金属ディスク、さらに日の出・日の入り・ムーンフェイズ(大潮および小潮を含む)を示す3枚のサファイアディスクが配置されている。各サファイアディスクの厚さはわずか0.18mmだ。

 裏側では、シースルーケースバックが天文ディスクとして機能しており、そこには月と星座が刻まれている。ディスクの外縁部の厚さは0.6mmで、天球および恒星時を表示する回転ディスクの厚さはわずか0.3mmである。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

 美的観点から言えば、ダイヤルにこれほど多くの色彩が施されていることに納得がいくまでには、少し時間を要した。最初はイエロー、レッド、グリーンの多用によって、この時計に期待される重厚さや厳粛な印象が損なわれているのではないかと感じた。しかしやがて、これらの色がそれぞれ視認性を飛躍的に高めており、これまでに製作されたどの超複雑時計よりもはるかに現代的であることに気づいた。実物のほうが提供写真よりも遥かに落ち着いた印象を与えるのも特筆すべき点である。要するに、本作は視覚的なバランスという点において、これ以上ない完成度を誇るマルチコンプリケーションのひとつなのである。


出願された13の特許

2024年のザ・バークレー・グランドコンプリケーションの功績を理解するには、中国暦と、それをパーペチュアルカレンダーに応用する仕組みについての深い知識と解説が必要だった。これはRef.57260からバークレーへと進化するうえでの最大の違いであった。対して今回のソラリアでは、ヴァシュロンは多岐にわたる複雑機構について特許を申請している。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

 なぜそれが重要なのか? ヴァシュロン・コンスタンタンは、過去にもこうしたユニークピースを将来の量産モデルに技術を応用するための実験の場として活用してきた。たとえば、Ref.57260に搭載されていた球体トゥールビヨンは、のちにレ・キャビノティエ アーミラリ・トゥールビヨンの各種モデルに展開されている。特に、ほかの腕時計にも応用しやすいサイズのムーブメントを搭載した本作のようなモデルでは、その可能性はいっそう高まる。

 時刻表示に関しては2件の特許がある。ひとつは、天文表示を正確に整列・固定しながら、点検や位置調整を容易にする“プラグ・アンド・プレイ”式の取り付け機構である。もうひとつは、ローカルタイムをホームタイムから切り離して表示できるユニバーサルタイムの新機構で、従来のゼンマイではなくディファレンシャルギアを用いて制御する点が特徴だ。さらにスプリットセコンドクロノグラフには、等時性と振動抑制の両立を実現する新設計のスプリットセコンド用干渉防止機構が採用されている。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

 特許申請の大部分はミニッツリピーターに関するもので、合計7件にのぼる。ハンマーのサイズを最適化し、ハンマーおよびゴングへ伝わるエネルギーを最大限に引き出すことで、より豊かな音を実現するため、ミニッツリピーターの構造そのものが再設計された。興味深いことに、その一環としてハンマーのサイズはむしろ縮小されており、それによってバックラッシュが最小限に抑えられ、素材にはより高出力を可能にするスティールが用いられている。そのうちの3つには18Kゴールドが加えられており、それには少なからず驚かされた。またこれらのハンマーは斬新な構成で地板の両側にペアで配置されている。さらに、リピーター作動時に打刻モードを選択できる新しいセレクターシステムも搭載されており、“時”だけの鳴動から、“時・クオーター(15分)・分”を含むフルストライキングモードまで選べる仕様となっている。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

 このような時計の魅力を、そしてこれほどまでに高度な技術を盛り込みながらも、2023年のIWC “エターナルカレンダー”よりわずか0.6mm厚いだけという事実をどう言葉にして伝えればよいのか途方に暮れている。本作は、現代の時計製造技術がいかに進化を遂げたかを雄弁に物語る存在である。


1から41までの複雑機構を列挙

バークレー・グランド・コンプリケーションの時と同様に、ソラリアが備える41の複雑機構をひとつずつ分解して見ていくのも有益だろう。ただし、ひとつ注意しておきたいのがトゥールビヨンの扱いである。調速機構でありながら、その製造は極めて複雑を極める。複雑機構と見なすかどうかについては長年にわたって議論が絶えず、そもそもこの議論に加わらないことが唯一の解決方法だ。最近この件についてベンに意見を求めたところ、彼は「複雑機構に数えられないけれど、実際は複雑機構だよね」と言っていた。まさにそのとおりだと思う。

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

 とはいえ、もしあなたが事実を知っていてトゥールビヨンに反対票を投じるのであれば、ヴァシュロンは第2タイムゾーンの時・分についてはひとつの複雑機構しか搭載していないと自認している(私のカウントではふたつの異なる複雑機構)ので、その数は40、41、あるいは42の複雑機構になる可能性もある。いずれにせよ、この時計が以下の機能を備えた世界でもっとも複雑な腕時計であることは間違いない。

 とはいえ、もし読者がトゥールビヨンは複雑機構ではないと考えていたとしても、ヴァシュロン自身は第2タイムゾーンの時・分表示をひとつの機構として数えており(私の見方ではこれはふたつ分に相当する)、この時計の複雑機構の数は40とも41とも、あるいは42とも言えるかもしれない。いずれにせよ、この時計が“世界でもっとも複雑な腕時計”であることは疑いの余地がなく、以下がその内容である。

時間計測(計6項目):  1. 基準都市における昼夜表示、2. 第2タイムゾーンの24時間制による時・分表示、3. 24都市のワールドタイム表示、4.  第2タイムゾーンの昼夜表示、5. シリコン製テンプを備えた2万1600振動/時のトゥールビヨン
6.  ベースムーブメントに組み込まれた常用時表示モジュール

グレゴリオ暦パーペチュアルカレンダー(計8つ): 7. パーペチュアルカレンダー、8. 曜日表示、9. 日付表示、10. 月表示、11. 年表示、12. うるう年表示、13. 年内週番号表示(ISO8601カレンダー準拠)、 14. 曜日番号(ISO 8601カレンダー準拠)

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月表示(計3つ):15. ムーンフェイズと月齢表示、16. 潮位表示、17. 大潮・小潮表示

天文表示(計14):18. 季節(春分、夏至)、星座表示、19. 太陽の位置、20. 日の出時刻(基準都市による)、21. 日没時刻(基準都市による)、22. 一日の長さ(基準都市による)、23. 太陽年における均時差、24. 太陽の南中時刻(基準都市による)、25. 地平線上の太陽の高さ(基準都市による)、26. 太陽の偏角、北半球/南半球の太陽の緯度を3次元の地球が表示、27. 恒星時、28. 恒星分、29. 天文星座/30. 天空図(基準都市による)、31. 天体の時間的追跡

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

チャイム機構(計5つ): 32.ミニッツリピーター、33. ウェストミンスター・カリヨン・チャイム(4つのハンマーと4つのゴング) 34. 時単位のみまたはフルチャイムの選択、35. チャイム時のリューズロックシステム、36. ハンマーの反発を抑え、運動エネルギーの伝達を最適化するダブルストップ・ハンマー機構

クロノグラフ(計4つ): 37. クロノグラフ(1コラムホイール)、38. 60分積算計、39. スプリットセコンドクロノグラフ(1コラムホイール)、40. スプリットセコンドクロノグラフ用アイソレーター機構

追加機能: 41. パワーリザーブ表示(190度までの外周ディスク)

Vacheron Constantin Les Cabinotiers ‘Solaria Ultra Grand Complication’

ヴァシュロン・コンスタンタン レ・キャビノティエ ソラリア ウルトラ・グランドコンプリケーションの詳細については、公式ウェブサイトをご覧ください。Watches & Wondersの新作情報はこちらからチェック。