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Introducing ウブロよりビッグ・バンの20周年を祝う新作が発表

ビッグ・バンにとってのビッグな年にふさわしい、多数の新作がお目見えした。

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我々が知っていること

ビッグバン(宇宙の始まり)の衝撃から138億年が経過した。いや、失礼……、間違った“ビッグ・バン”だった。正しくは、ウブロが初めてビッグ・バンを発表してから今年20年となる。このコレクションは、ブランドのDNAとアイデンティティをその後20年にわたって決定づける大きな転換点となった。その姿は名前のとおり大胆不敵で、ウブロの代名詞とも言えるラバーストラップと多彩なケース素材の融合という特徴をさらに推し進めたものであった。このモデルは2000年代初頭の時計業界におけるマーケティングの代表的事例のひとつであり、ウブロというブランドに対する評価の如何にかかわらず、ジャン-クロード・ビバー氏の伝説的なキャリアにおいて重要な出来事であったのは間違いない。

 このような周年の節目において、ウブロによるアニバーサリーが派手にならないわけがない。しかも事実、かなりのものだ。今回ブランドは、過去と現在を融合させた3種の異なる20周年記念コレクションを発表する。その第1弾は少しノスタルジックな趣を帯びたもので、5種類の限定クロノグラフからなる。これらは自社開発のフライバッククロノグラフムーブメントであるウニコを搭載しつつ、2005年のビッグ・バンから着想を得たデザインに落とし込まれている。再設計された新ケースはオリジナルモデルへのオマージュとなっており、とりわけベゼルエッジに刻まれた装飾がこのトリビュートの決定的な要素となっている。

Big Bang 20th
Titanium Caseback
Titanium Closeup Slant

 その外観を初代モデルに近づけるべく、ダイヤルにはカーボンファイバーを想起させるモチーフが刻まれている。ラバーストラップにも同様に、オリジナルモデルに採用されたパターンを再び採用。ケース径は43mm、厚さは13.2mmで、防水性能は100mである。素材の組み合わせによって5種類が展開されており、チタニウム セラミックのモデルは500本限定で、価格は284万9000円(税込)。キングゴールド セラミックのモデルは250本限定で価格は526万9000円(税込)。セラミック仕様の非常に鮮やかで陽気なレッドマジックは100本限定で、価格は435万6000円(税込)。そしてオールブラックのセラミック仕様は500本限定で、価格は345万4000円(税込)。そして最後に、全面ポリッシュ仕上げのマジックゴールドは100本限定で、価格は556万6000円(税込)である。

 次に紹介するのはカーボンファイバーを使用したアグレッシブなレーシングデザインとは対照的な存在だ。サファイアクリスタルケースのビッグ・バン メカ-10が、まるで虹のように展開されている。ビッグ・バン20周年記念 “マスター・オブ・サファイア”セットには、44mm径サファイアクリスタルケースとSAXEMケースからなる5本の時計が含まれる。サファイアクリスタルケース、ウォーターブルーサファイアクリスタルケース、ディープブルーサファイアクリスタルケース、パープルサファイアクリスタルケース、そしてネオンイエローのSAXEMケースである。

Master of Sapphire

 これらのカラーバリエーションのいくつかは以前にも登場している。実際のところこのセットは、ウブロがこれまでに達成してきたカラーサファイアクリスタルの研究と開発の歴史を祝福する意味合いを持っている。しかしこれらのケースに、メカ-10ムーブメントを組み合わせるのは今回が初めてである。このムーブメントもまたブランド独自の創造物であり、ユニークなスケルトン構造と約10日間のパワーリザーブを特徴とする。今年に入ってすでにいくつかのメカ-10モデルが発表されているが、今回のコンビネーションにおけるビジュアルは非常に興味深いものとなっている。ただしお気に入りの1本を選ぼうと考えている読者のために伝えておくと、この5本はすべてセット販売であり、全世界で5セットのみの製作となる。特製のディスプレイケースに収められ、ケースを開けるとバックライトパネルが鮮やかな5本の時計を照らし出す仕様になっている。このセットの価格は(落ち着いて聞いて欲しい)8288万5000円(税込)である。だが平日の5日間、それぞれに対応する時計があると思えば納得がいくかもしれない。

 ウブロによるビッグ・バンの周年はこれで終わりではない。Watches & Wondersにおける20周年記念の掉尾を飾るのが、ビッグ・バン20周年記念 “マテリアルズ&ハイ・コンプリケーションズ”と名付けられた1点限りのセットである。これはまるで「これぞウブロのベスト盤!」とでもいうようなもので、ブランド歴代のユニークピース5本で構成される。信じがたいかもしれないが、このセットのなかではビッグ・バン トゥールビヨン オートマティック サファイアが最も控えめだ。このユニークピースとレッドマジックのセラミックモデルには、12時位置にマイクロローター、6時位置にトゥールビヨンを覗かせた自社製キャリバーHUB6035が搭載されており、ケースサイズは直径44mm×厚さ14.4mmとなっている。パワーリザーブは約72時間で、トゥールビヨンの振動数は2万1600振動/時である。

Master of Complications Spread

 次に登場するのは、明るく鮮やかなウォーターブルーサファイアクリスタルを纏ったビッグ・バン トゥールビヨン クロノグラフだ。こちらは自社製手巻きムーブメントを搭載したモノプッシャー式のトゥールビヨン クロノグラフで、ケースサイズは直径44mm×厚さ14.4mm。パワーリザーブは約115時間と非常に優れているが、メカ-10には及ばない。

 セットの残りを締めくくるのは、ミニッツリピーターだ。ビッグ・バン インテグレーテッド トゥールビヨン カテドラル ミニッツリピーター “ブルーカーボン”は、ミニッツリピーターという伝統的な複雑機構には似つかわしくない、最も派手なデザインの時計といえる。通常、この機構はクラシカルな意匠やケース形状と結びつけられるものだが、本作ではカーボンファイバーとブルーテキサリウムを組み合わせた素材がブレスレットとケースに用いられている。カテドラルミニッツリピーターでは“カテドラル”ゴングが通常よりも長く、キャリバー内部を2周するように設計されていることが多い。この構造における課題は、音の純度を保つために、これらの長いゴングをムーブメント内部で浮かせながら安定させることである。搭載されるCal.HUB8001は、パワーリザーブが約72時間で振動数は2万1600振動/時。43mm径のカーボンケース内で、金属製ケースとは異なる独自の音色を響かせる。

Carbon Cathedral Chrono

 まだまだコンプリケーションを見たいというのであれば、最後のピースを見て欲しい。そこにはトゥールビヨン、カテドラルミニッツリピーター、そしてモノプッシャークロノグラフまでもが搭載されている。45mm径のフロステッドカーボンケースに収められたこのモデルは、複雑機構におけるあらゆる要素を詰め込んだような1本である。

 さて、ここまで紹介してきた5本のセットの価格はいかほどか? 再度、落ち着いて聞いて欲しい。このユニークピースセットの価格は、1億5070万円(税込)である。決しておいそれと買えるものではない。


我々の考え

ふう……、ビッグ・バン20周年のために、ずいぶんと盛りだくさんな内容を解説した。正直なところ、ウブロがこの節目の年に何を仕掛けてくるのか当初はまったく予想がつかなかった。完全に刷新されたビッグ・バンが登場するのか? それとも、往年の名作たちを讃える“凱旋”のような展開になるのか? いずれにしても、今回の祝祭では非常に多くのモデルが登場した。

 2005年の初代ビッグ・バンのデザインを再び用い、それを5本の新作として蘇らせたウブロの戦略は、実に理にかなっている。というのも、このデザイン言語こそが紛れもなくウブロのアイコンだからだ。個人的には、カーボンファイバーやタイヤのトレッドを想起させる美観は正直そこまで好みではない。とはいえ、この20周年記念コレクションの完成度には感服する。リイシューというのはいつだって難しいものだ。どこまでオリジナルに忠実にするか、そのさじ加減が問われる。私は常々、現代的なひねりを加えたリバイバルが好きなのだが、今回のように初代ビッグ・バンの美意識(なかでも、あのベゼルのナール加工はとても気に入っている)に、ウニコ フライバックムーブメントを組み合わせた判断は極めて優れていると思う。ウニコは実際に使っていてとても満足度の高いクロノグラフキャリバーのひとつであり、オリジナルモデルでは実現し得なかった新しさをもたらしてくれる。とはいえ、生産数の異なる5つのモデルを個別に展開するというのはなかなかに大変だ。合計すれば、5本合わせて1450本にもなる。最も安価なモデルでさえ約2万ドル(日本円で約300万円)程度だということを考えると、かなりの規模である。

King Gold Ceramic

 一方で、ふたつのスペシャルセット——メカ-10のサファイアクリスタル/SAXEM5本セットと、100万ドル超のハイコンプリケーション5本セット——について、それぞれの時計単体としては魅力的だが、その構成にはやや興味深い部分がある。メカ-10セットは納得のいく仕上がりであり、これはいわば“虹のような時計を集めたい人”のためのコレクションと言えるだろう。対して、“マテリアルズ&ハイ・コンプリケーションズ”セットは、その組み合わせが少々ユニークに映る。より多彩な内容であれば、より明快にコンセプトが伝わったかもしれない。たとえば、サファイアクリスタルとレッドセラミックのトゥールビヨンには同一のムーブメントが搭載されており、全5本の構成のなかにそれが2本含まれる点は少々意外に感じる。おそらく私を混乱させているのは、5本を並べたときに視覚的な統一性があまり感じられないという点だろう。もちろん個々の時計の完成度を否定するわけではない。ただ、全体としてのまとまりよりも個々の個性が際立っており、その印象がどこか自由で即興的に映るのだろう。その一方で、これはすべてユニークピースであり、極めて高額な価格が設定されていることから、特定の顧客を意識して構成された可能性も否定できない。果たして、このセットがどれほど早く売れるのか。それが、この構成に対する答えを示してくれるのかもしれない。


基本情報

ブランド: ウブロ(Hublot)
コレクション:  ビッグ・バン 20周年記念エディション(Big Bang 20th Anniversary Edition)/ビッグ・バン 20周年記念“マスター・オブ・サファイア”セット(Big Bang 20th Anniversary "Master of Sapphire" Set)/ビッグ・バン 20周年記念“マテリアルズ&ハイ・コンプリケーションズ”ユニークセット(Big Bang 20th Anniversary "Materials and High Complications" Unique Set)

直径: 43-45mm
厚さ: 13.2〜16.8mm
インデックス: アプライド
夜光: あり
ストラップ/ブレスレット:ラバー製(テクサリウム製ブレスレットモデルを除く)


価格 & 発売時期

価格: ビッグ・バン 20周年記念エディション 284万9000〜556万6000円/マスター・オブ・サファイア 8288万5000円/マテリアルズ&ハイ・コンプリケーションズ 1億5070万円(以上すべて税込)
発売時期: 発売中
限定: あり

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