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Found パテック フィリップ Ref.1463 クロノグラフ、カルティエのサイン入り(唯一確認されていた個体、しかもオリジナルの所有者家族からの出品)

時計自体の価値もさることながら、ダイヤル上に加えられたその文字がこのロットをさらに価値あるものに昇華している。

本稿は2016年10月に執筆された本国版の翻訳です。

2016年11月に開催されるフィリップス・ジュネーブのカタログを見ただろうか? その内容はなかなか驚異的だ(全容はこちらで確認できる)。すでにスティール製Ref.1518というある意味で時計界のGOAT(Greatest of All Time)が出品されることはお伝えしているが、ほかにも興味を引かれる時計がいくつか出品されている。それはもしかしたら手が届くかもしれないという理由で、より意味深いものになる可能性を秘めている(編注:ちなみにスティール製のRef.1518は1100万2000スイスフラン、当時の為替レートで約12億1000万円で落札された)。そんななか、非常に高価な時計であることに変わりはないが、個人的に心を引かれたもうひとつのパテック フィリップのクロノグラフがある。それがRef.1463であり、しかもカルティエが販売してサインを施した特別な個体なのだ。さらにこの時計の魅力はそれだけにとどまらない。

Patek Philippe 1463 Cartier

イエローゴールドのRef.1463自体が特別な存在であるが、カルティエのサインが加わることで極めて貴重な存在へと昇華している。

 正直なところ、イエローゴールド製のRef.1463自体は特別な存在ではない。確かにRef.5070JやRef.5170Jよりも希少で魅力的であることは間違いないものの、市場にはある程度出回っており、状態がそれほどよくない個体でも10万ドル(当時の為替レートで約1100万円)に達することがある。もちろん大金であることに変わりはないが、ヴィンテージパテックの超高級ラインにおいては、それほど驚くような額ではないのだ。フィリップスのオークションにイエローゴールドのRef.1463が出品されるとしても、ツートンダイヤルのような特別な特徴があるか、非常に素晴らしい状態でない限り、記事にするほどのものではないのが実情だ。

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 それではなぜこの時計が注目に値するのか? それは本品が、カルティエが販売しサインを施したRef.1463として確認されている唯一の個体だからだ。一見すると大したことがないように思えるかもしれないが、1960年代後半にスイスの偉大なマニュファクチュールであるパテック フィリップと、フランスの名門ラグジュアリーメゾンであるカルティエが手を組んだという事実は、想像するだけで心が躍る。少なくとも私にとってはそうだ。

patek cartier 1463 case back

ケースバックの刻印から、この時計が1987年に贈り物として渡されたことがわかる。

 このイエローゴールドのRef.1463は、6時のインデックスの上にカルティエのサインが記されており、さらに奇妙なことに“Swissの表記がその真下に配置されている。これまでにこのような配置を見たことがない。そしてこの時計はオリジナルの所有者の子孫が出品しているのだ。初代オーナーはかつてカルティエ マンション(ニューヨーク5番街本店)でこの時計を購入している(その歴史については、ジャックの記事で知ることができる)。フィリップスによるとこの時計は特注品であった可能性が高く、ケースナンバーから1968年に製造されたRef.1463の最終2本のうちの1本であると推測されている。

patek cartier 1463 wrist shot

カルティエのサインが刻まれたRef.1463は、着用感も非常に快適でエレガントであり、所有者によって日常的に愛用されていたことがうかがえる。

 ケースバックには、初代オーナーが1987年にこの時計を2番目の妻に贈ったことを示す刻印がある。1980年代後半からこのカルティエのRef.1463が誰かの手首で愛用されていたという事実を想像すると、何とも心が温まる。例えば、スーパーで偶然この時計を着けた彼女に出会う光景を想像してみて欲しい。

 このRef.1463は未使用のまま金庫に保管されていた時計ではない。ケースは確かに使い込まれ、ポリッシュも施されている。しかし文字盤は完璧な状態を保っている。この時計が有する価値の大部分が文字盤の状態に依存しているため、その点は非常に重要だ。個人的にはこの時計を非常に魅力的に感じている。コンパクトな防水ケースは腕に心地よくフィットし、さらに付け加えるなら、オリジナルのカルティエ製クロコダイルストラップと番号が一致したオリジナルのカルティエ製バックルも付属している。ケースは新品同様とはいかないが、市場初登場の希少性、そしてダイヤルのオリジナル性が、ケースに刻まれた使用の痕跡を十分に補って余りある。

 フィリップスはこの特別なRef.1463に、9万~14万スイスフラン(当時の為替レートで約990万〜1540万円)のエスティメートを設定している。詳細はこちらで確認できる(編注:本ロットは当時の為替レートで約1790万円で落札された)。