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Hands-On レッセンス史上、最もコンパクトなデザインのType 9が登場

インダストリアルなデザインのなかにエレガンスが香る。

サンクスギビングの期間、アメリカでカナダの総人口に匹敵する数の七面鳥が消費されるているさなか、レッセンスは新作となるType 9を発表した。本作はコンセプト的には非常にシンプルで、このベルギー発のブランドが発表してきたなかで最小サイズとなる39mm径のケースを有している。

ressence type 9 in tray

 Type 9は、Type 8(同ブランドが日本のシェルマンとの協力により素晴らしいエディションも発表したばかり)とより伝統的な形状を持つモデルが融合したようなデザインだ。ケースは丸みを帯びた滑らかな形状だが、Type 8など従来のレッセンスに見られるストラップ取り付け部を覆ったディスコ・ボランテ風のケースとは異なり、一般的なラグが採用されている。

 文字盤はグレーとアクアの2種類が用意されており、これまでのレッセンスで最もミニマルなデザインといえる。ファンクションはType 8と同様であるものの、このモデルではその機能性がさらに際立っているように見える。本作ではレッセンスの時計として初めて、サーキュラーブラッシュ加工が施された固定式ベゼルに分目盛りが刻まれた。これにより、ケース径が小さくなった以上に文字盤の面積が縮小して見える効果が生まれている。この固定式ベゼルの採用は実に秀逸だ。コンパクトで軽量な時計でありながら、このベゼルが加えるアクセントにより手首の上での存在感をしっかりと際立たせている。さらにベゼルや文字盤に刻まれた針や目盛りにはスーパールミノバが充填されており、たとえ夜間だとしてもその独特な時刻表示の視認性は維持されている。

ressence type 9 in pouch
closeup of dial
side profile of type 9

 文字盤は金属的な質感を持つ表面にサンドブラスト風のテクスチャが施されており、内側の時針ディスクを囲む部分は外側のベゼルと調和するようにサーキュラーブラッシュが施されている。レッセンス独自の数字フォントはデザインと非常にマッチしているが、文字盤にレッセンスの手形ロゴが配置されているのは少々気になる。文字盤とケースの比率から見るとこのロゴがやや目立ちすぎており、文字盤上のほかの要素の線の太さと一貫性がないように感じられる。ただしこれはブランドのデザイン言語がすでに非常に強固であるため、ロゴがなくても十分に存在感を示せるという前提に基づく意見である。

 ケースはポリッシュ仕上げを施したグレード5チタン製で、直径39mm(非常に短いラグもサイズ感においては考慮に入れるべき)、厚さは11mmだ。ブランドのほかの時計と同様にブラッシュ仕上げの裏蓋がリューズの役割を果たし、時計の巻き上げは裏蓋を時計回りに回転させることで行う。時刻合わせは双方向の回転で行い、刻印によって簡単なガイドもなされている。この時計には20mm幅でメタリックなグレーのテキスタイルストラップが付属しており、その裏地にはカーフスキンを使用。全体的に非常によく作り込まれており、ポリッシュ仕上げのグレード5チタン製のバックルにはレッセンスのロゴが刻まれている。

type 9 strap closeup
type 9 tang buckle
caseback of type 9

 この時計を動かすのは、ほかの多くのレッセンスの時計と同様、特許取得済みのROCS(レッセンス・オービタル・コンベックス・システム)9モジュールを搭載し大幅な改造が施されたCal.ETA 2892である。ブランドに改善して欲しいと強く思っていることのひとつに、ローターの回転音をもっと控えめにすることがある。より複雑なモデルを試した際には、機械的な音が視覚的な複雑さと調和していたためそれほど気にならなかった。しかし非常にクリーンなデザインを持つType 9では、ローターの音がかなり目立つ点が全体的な装着体験を若干損なっているように感じた。ただし言うは易し、行うは難しだ。所有してきた時計を振り返ると、チタン製ケースを持つモデルはムーブメントの音を強調する傾向があるようにも思う。

wrist shot of type 9

 デザインが簡略化されサイズが小型化されたことでType 9はこれまでのレッセンスで最もエレガントな仕上がりを獲得し、それにより多くの手首にフィットする時計となったことは間違いない。先進的で未来的なデザインと、工業的な魅力を見事に両立させ続けている点には非常に感心させられる。

 Type 9はこれまでのレッセンスのなかで最も手ごろな価格を実現しており、その価格は1万2500スイスフラン(日本円で213万7000円)だ。レッセンスを所有するにあたって支払う対価は決して安くはないが、ブランドがより汎用性の高いデザインを目指しつつ、価格を抑える努力をしている点は称賛に値する。ベノワ・ミンティエンス(Benoît Mintiens)氏が指揮を執るこのブランドは製品ラインナップの一貫性を維持しながら力強い進化を続けており、今回のリリースもその例外ではない。この新しいType 9を通じてレッセンスがさらに多くの人々にアピールすることで、より多くの手首にこの時計が巻かれる未来が近づくと確信している。

レッセンス Type 9。グレード5 チタン製ケースを採用。ケースの直径は39mm、厚さは11mm。防水性能は1気圧(飛沫耐性)。ETA製のベースキャリバーにROCS 9モジュールを搭載し、振動数は2万8800振動/時、約36時間のパワーリザーブを備える。付属するストラップはラグ側の幅20mmから18mmにテーパーするデザインで、文字盤の色によって素材が異なる。“グレー”文字盤は現在販売中であり、“アクア”文字盤は2025年2月に販売開始予定。販売価格は1万2500スイスフラン(日本円で213万7000円)。詳細はレッセンス公式サイトを参照。