trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Happenings ウルバン・ヤーゲンセンの250年を祝う特別展をフィリップスが開催

伝説的な研究者でありコレクターでもある人物の手を借りて、偉大な時計メーカーの歴史をお伝えしよう。

私は“If you know you know(知る人ぞ知る)”というフレーズが好きではない。意図的かどうかは別として、“知っている”人間以外を排除しているように感じられることがよくあるのだ。今年はウルバン・ヤーゲンセンの誕生から250周年にあたる。現在ウルバン・ヤーゲンセンと呼ばれているブランド(あるいはそのブランド名の由来となったデンマーク人時計職人)についてよく知らない人にとっては、知識を得る絶好の機会である。今週開催される第18回ジュネーブ・オークションと並行して、フィリップスはヘルムート・クロット博士(Dr. Helmut Crott)の貴重なコレクションによるヤーゲンセンの250年を祝した特別展を開催する。11月1日(水)から4日(土)まで、ジュネーブ郊外のラ レゼルヴで25を超えるコレクションが公開される。

ADVERTISEMENT

 ヤーゲンセン一族によるウォッチメイキングの歴史は、18世紀のヨーゲン・ヤーゲンセン(Jørgen Jørgensen)の誕生によって始まる。彼はデンマークの職人たちによる金メッキ加工技術に、新しい理論と実践的な手法をもたらしたと言われている。やがて彼はドイツとスイスに渡った。ヨーゲンの長男であるウルバン・ヤーゲンセンが家名を継承し、一族のみならずデンマーク全土において最も名高い時計師となったのだ。彼はアブラアン-ルイ・ブレゲ(Abraham-Louis Breguet)やフェルディナント・ベルトゥー(Ferdinand Berthoud)らから手ほどきを受け、生涯を通じて時計やマリンクロノメーターを製作していくことになる。

urban jurgensen desk watch chronometer

ジョン・アーノルド(John Arnold)によるスプリングデテント脱進機を備えた、ウルバン・ヤーゲンセンの1812年製デッキクロノメーター。8つのうちのひとつ。

 やがて、ヤーゲンセンの名は一族から消えていく。そこでピーター・ボームベルガー(Peter Baumberger)とデレク・プラット(Derek Pratt)が、かつての栄光を取り戻すことを目標にこの商標を取得したのである。ボームベルガーによる指揮のもと、プラットはマスターウォッチメーカーとしての卓越した技能を発揮し、息を吹き返したウルバン・ヤーゲンセンのために美しく複雑な時計の製作を開始した。

 その後2010 年にボームベルガーが悲劇的な死を遂げると、クロット博士がこのブランドを取得する。オークショニアとして活躍していたころからボームベルガーとプラットを知っていたクロット博士は、1980年代のウルバン・ヤーゲンセン初期の懐中時計を個人的に収集し始めた。そして最終的に、独立時計師のカリ・ヴティライネン(Kari Voutilainen)氏がヤーゲンセンの看板を託されることになった(彼にインタビューした記事はこちら)。

the oval derek pratt urban jurgensen

デレク・プラットが手がけたヤーゲンセンのオーバル No.1。仕上げはヴティライネン氏による。このプラチナ製の懐中時計は、ワンミニット フライングトゥールビヨン、ルモントワール、コンスタントフォーススプリングデテントクロノメーター脱進機、ジャンピングセコンド、パワーリザーブインジケーター、温度計、ムーンフェイズを備えている。

 クロット博士は長年にわたってヤーゲンセンの時計を収集し続け、ヤーゲンセン家オリジナルの懐中時計と、プラットとボームベルガーによる現代的な作品の両方をコレクションしてきた。そして今回、フィリップスの協力を得て、彼のコレクションから27点を展示することになった。誤解のないように言っておくが、展示物はいずれも今年のジュネーブ・オークションに出品されるものではない(この週末のオークションでは、3点の異なるヤーゲンセンの時計が出品される)。これはヤーゲンセンの時計製造の250周年を記念した特別展示で、メーカーにとって最も重要なコレクターのひとりとその後援者が手がけたものである。

urban jurgensen derek pratt

2012年に製作されたウルバン・ヤーゲンセンのパイロットモデル。特許を取得したピボットデテントクロノメーター脱進器を搭載。

 フィリップスはジュネーブでの展示会と合わせて、クロット博士が執筆した詳細なブランドヒストリーを含む素晴らしいコレクションカタログを作成した。さらに、クロット博士がヤーゲンセンについて語った3部構成のインタビュービデオもある(こちらから確認できる)。時計、特にブランドの真の研究者であるクロット博士の協力のもと、ヤーゲンセンの時計とその歴史にまつわるおそらく最も包括的なカタログが完成した。

 これらはウォッチメイキングにおけるウルバン・ヤーゲンセンの名前の重みと、それが時計の世界に与え続けている影響について、私たちを啓蒙してくれる素晴らしい取り組みだ。

Celebrating 250 Years of Urban Jürgensen: ヘルムート・クロット博士所蔵のタイムピースが11月1日(水)から4日(土)までラ レゼルヴで展示される。詳細はウルバン・ヤーゲンセンのページをチェック。