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Introducing レイモンド ウェイル A.R.T.、端正さを纏った新たなスポーツコレクション

ミレジム、そしてトッカータ ヘリテージでクラシカルな側面を印象づけたレイモンド ウェイルが新たに提示するのは、端正さのなかにスポーティな緊張感を宿した新コレクションである。

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クイック解説

2025年末に完全新作としてトッカータ ヘリテージをリリースしたばかりのレイモンド ウェイルから、早くも新たな表情を備えたコレクション、A.R.T.(アート)が発表された。A.R.T.とは、デザインの大胆さを示す“Audacity”、洗練された仕上げを意味する“Refinement”、そして世代を超えて受け継がれる価値と技術の継承を意味する“Transmission”の頭文字を取ったもの。同じタイミングで30mm径のクォーツモデルも展開されるが、ここでは38mm径の自動巻きモデルを見ていきたい。

 A.R.T.でまず目を引くのは、ラウンドケースとブレスレットを一体化させた外装設計だ。ケースからブレスレットへと自然に流れるラインは、スポーツウォッチらしい力強さを備えながら、全体としてはあくまで端正にまとまっている。過度にスポーティへ振り切るのではなく、上品さと実用時計らしい緊張感を両立させている点が、このコレクションの見どころだ。

 ダイヤルはブルー、ブラックの定番色に加え、ソフトセージグリーンを用意。この色は一見してシルバーに見えるほどに繊細な色調で、トッカータ ヘリテージでも見られたニュアンスの妙を感じる。また、SSケースおよびブレスレットのモデルに加え、ベゼルや中ゴマにイエローゴールドPVDを施したコンビモデルもラインナップされる。ケース径は38mm、厚さは9.95mm。ムーブメントにはセリタ製のCal.SW200をベースとした、自動巻きCal.RW4200を搭載している。パワーリザーブは約41時間で、2万8800振動/時で駆動する。なお、本作は従来のコレクションの多くとは異なりソリッドバックとなった。これによりケース厚は10mmを切り、同時にストイックな道具感を漂わせる。風防はサファイアクリスタルで、防水性能は100mを確保している。

 価格はSSケース×SSブレスレットのブルーダイヤル、ブラックダイヤル、ソフトセージグリーンダイヤルがいずれも37万4000円(税込)。イエローゴールドPVDコンビのブラックダイヤルおよびブルーダイヤルは39万6000円(税込)となる。2026年7月24日(金)の販売を予定している。


ファースト・インプレッション

実機を手にして特に印象に残ったのは、ブレスレットのつくりである。A.R.T.は写真で見ると、端正なラウンドケースにスポーティなベゼルを組み合わせた、比較的シンプルな時計と捉えられるかもしれない。しかし実物では、ブレスレットが全体の印象をかなり引き上げている。ひとコマひとコマにはしっかりとした存在感があり、先に述べたようにケースからブレスレットへとつながる一体感もある。そしてとりわけ感心したのが、ブレスレットとしての可動域をきちんと確保しながら、コマのピッチをギリギリまで詰めていることだ。手首に沿って動くしなやかさは残しつつ、着用時に隙間から肌が透けて見えてしまうようなことはない。この価格帯のブレスレットウォッチにおいて、価値と言えるポイントだと思う。

 Hコマ、そして中ゴマの両サイドにはポリッシュによる面取りが施されている。中ゴマは中央がわずかに丸みを帯びるように設計されており、単に平滑な面を並べただけではない、豊かな表情を生んでいる。全体として派手な仕上げで見せる時計ではない。それでも手首に載せたときにはちゃんと“いいもの”感があり、上品で、よくまとまったパッケージだ。ベゼルの切り欠きも効いている。ベゼルの切り欠きも効いている。12・3・6・9時位置に入れられたこのディテールは、決して強い主張ではない。しかしこれがあることで、A.R.T.は単なるきれいめなブレスレットウォッチに留まらず、ほのかにツールウォッチらしい表情を帯びる。装飾的というよりは機能的な印象を添えるための意匠であり、そのさりげなさがいい。

 サイズについては、38mmという設定がポイントになる。近年のスポーツウォッチでは、より扱いやすいサイズを求める流れが強まっている。そのなかでA.R.T.は過度に小径化へ振るのではなく、日常使いのしやすさと一定の存在感を両立する38mmを選んだ。ただ、レイモンド ウェイルは一部の熱心な時計愛好家だけに向けたブランドではない。むしろその門戸は広く開かれている。もっとも汎用性の高い40mmでもなく、小径化の流れを強く意識したサイズでもなく、その中間にある38mm。デイリーに使いやすく、それでいて時計好きの心もくすぐる。このバランス感こそが、レイモンド ウェイルらしさなのだと僕は思う。トッカータ ヘリテージを見たときにも、同じような感想を抱いたことを思い出した。

 A.R.T.は、ミレジムのようにわかりやすくクラシックな魅力で語る時計ではない。かといって、フリーランサーのように機能性やモダンさを前面に押し出すだけの時計でもない。ブランドが持つ品を保ちながら、もう少しアクティブに使える方向へ踏み出したコレクションである。37万円台からという価格は、現在のスイス製機械式スポーツウォッチとして見れば現実的だ。もちろん、この価格帯にも競合は多い。しかし、ケースとブレスレットのまとまり、仕上げの丁寧さ、そして38mmという守備範囲の広いサイズを考えると、A.R.T.はかなり堅実な選択肢になるのではないかと思う。ミレジム、トッカータ ヘリテージに続いて、レイモンド ウェイルをこれまでとは違う視点で見るきっかけになりそうな1本だ。

 なお本作についてはWatches & Wondersの会期中に、CEOのエリー・ベルンハイム氏に直接話をうかがうこともできた。その模様については追って、動画という形で発表する予定である。

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基本情報

ブランド: レイモンド ウェイル(Raymond Weil)
モデル名: A.R.T. デイト
型番:1000-ST-50001/1000-ST-20001/1000-ST-52001/ 1000-STP-50001/1000-STP-20001

直径: 38mm
厚さ: 9.95mm
ケース素材: ステンレススティール(1000-STPは一部にイエローゴールドPVD)
文字盤色: ブルー、ブラック、ソフトセージグリーン
インデックス: アプライド
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット:バタフライバックル付きSS製ブレスレット


ムーブメント情報

キャリバー: RW4200
機構: 時・分・秒表示、デイト表示
パワーリザーブ: 41時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26


価格 & 発売時期

価格: SSモデル 37万4000円/SS×ゴールドPVDモデル 39万6000円(ともに税込)
発売時期: 7月24日(金)
限定:なし

詳細は、こちらをクリック。

Photographs by Yusuke Mutagami