“コモ湖畔のヴィラ デステほど、景観の美しさ、歴史、そして自動車文化が調和している場所は、地球上のどこにも思い浮かばない”
これはコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステの公式プログラムに記載されている言葉だが、A.ランゲ&ゾーネとともにコモ湖畔で週末を過ごした今、これ以上の表現を見つけるのは難しいと感じている。
コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ。
コンコルソは1929年に始まり、第2次世界大戦中は中断されたものの、1990年代に復活して以来、世界で最も重要な自動車の祭典のひとつとなっている。2001年からはBMWグループがタイトルスポンサーを務めている。毎年5月になると、かつて16世紀の枢機卿の邸宅だったヴィラ・デステと隣接するヴィラ・エルバを舞台に、段々畑状の庭園や湖畔の遊歩道には、戦前のコーチビルド車、イタリアを代表する名車、コンセプトカーなどが展示される。
新作のA.ランゲ&ゾーネ カバレット・トゥールビヨン ハニーゴールド。
今年のコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステは、A.ランゲ&ゾーネにとって特別な意味を持っていた。同ブランドがパートナーを務めて15年目を迎えただけでなく、このイベントに合わせてハニーゴールドのカバレット・トゥールビヨンを発表したからだ。この時計の詳細については、タンタンの記事を読んで欲しい。(ハニーゴールドを採用しただけでなく、ハック機能付きのトゥールビヨンを搭載して復活したカバレットは本当に一見の価値がある、と私からも付け加えておきたい)。
A.ランゲ&ゾーネとコンコルソのつながりは、単なるホスピタリティテントといったレベルをはるかに超えている。CEOのヴィルヘルム・シュミット氏は紛れもなく生粋の車好きであり、その情熱はブランドがこのイベントにどのように関わっているかにも表れている。
両日にわたり、シュミット氏はA.ランゲ&ゾーネのラウンジの最前列に立ち、通り過ぎるすべての車を見つめ、手を振り、拍手を送っていた。ランゲでの役職はさておき、彼の車に対する情熱は紛れもないものであり、それがランゲとこのようなショーとのパートナーシップを意義深いものにしている。精度と卓越性への徹底的な追求、本物に対する評価、クラフツマンシップへの敬意、歴史的な意義、そして何よりも魅力。これらすべての要素が、ランゲの腕時計と芝生の上で競い合う名車たちをごく自然な形で結びつけているのだ。
A.ランゲ&ゾーネ 1815クロノグラフ コンコルソエディション2026。
2日間にわたって授与される各クラスの賞の上には、審査員によって選ばれるただひとつの頂点がある。公式トロフィーと、“ベスト・イン・ショー”という最高賞の栄誉に加え、勝者にはA.ランゲ&ゾーネの特別製モデルが贈られるのだ。毎年贈呈されるのは、サーモンダイヤルの1815クロノグラフ。そのハンターケースバックには、コンコルソの紋章が手彫りで刻まれている。ほかに類を見ない週末の終わりに、世界で最も価値のある車の1台が、世界に1本だけのランゲとともに家路につく。私にとって、これ以上ないほど素晴らしい週末と言えるだろう。
世界で最も希少で重要な車が、地球上で最も美しい場所のひとつに集結し、熱狂的な観衆に囲まれている。そして巨大なダトグラフが太陽の光を浴びている。これ以上何を望むというのだろうか。
このショーがどれほど特別なものかを言葉で表現するのは非常に難しいと、まず最初に認めざるを得ない。だから私は言葉を控え、写真に語ってもらうことにしよう。ここから先は、想像を絶する名車、絵画のように美しい風景、そして最高レベルのウォッチスポッティングを楽しんでほしい。
フェラーリ F40。
ピンクゴールド製のリヒャルト・ランゲ・パーペチュアルカレンダー “テラ・ルーナ”。
バゲットカットダイヤモンドのベゼルをあしらったリトル・ランゲ1 “ダース”。
F40のステアリングを握る男性は、ピアジェのタイガーアイダイヤルを備えたアンディ・ウォーホルをクールに着けこなしている。
スキーシーズン仕様のメルセデス・ベンツ 300SL。ルーフケースやスキー板、さらにはタイヤチェーンまで完備されている。
A.ランゲ&ゾーネのプロダクト・ディベロップメント・ディレクターであるアントニー・デ・ハス(Anthony de Haas)氏の手首には、発表されたばかりのランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー “ルーメン”が輝いていた。
イエローゴールドのオーデマ ピゲ ロイヤル オーク オフショア。
ヴィンテージウォッチのなかでもとりわけ素晴らしかった、パテック フィリップ Ref.3448。
赤い壁を背景に、ケースもストラップも赤で統一されたヴィンテージのタグ・ホイヤー フォーミュラ1。
当時のBMWモータースポーツ部門のトップであったヨッヘン・ニアパッシュ(Jochen Neerpasch)氏のために作られた、世界に1台だけのBMW M1。
この2台は格別だ。発表会で使用されたブガッティ ヴェイロンのプリプロダクションプロトタイプと、その隣に並ぶフォルクスワーゲン(VW) W12 ナルド コンセプトである。このVWは2001年にナルド・リンクで平均時速323kmで7000km以上を走破し、24時間速度記録を樹立した。
この週末、コモ湖で見かけたカメラの10台中9台はライカだったが、それも当然のことだろう。
この場にこれ以上なく似合う、ヴィンテージのホイヤー オータヴィア。
キャデラック エルドラド ブロアム。
2台のフェラーリ 250。手前はGT SWB コンペティツィオーネ、そしてその後ろに控えるのは他でもない250 GTOだ。
Italian Watch Spotterの共同創設者であるファブリツィオ・ボンヴィチーニ(Fabrizio Bonvicino)氏はブレゲ クラシック デイデイト ムーンフェイズを着用。
時々、クラシックこそが最高だと実感させられる瞬間がある。
これはブラウンのランボルギーニ カウンタックだ。その組み合わせが実に素晴らしい。
ハンドバッグと見事にマッチしたオーデマ ピゲ ロイヤル オーク 15551ST。
すべてがモダンウォッチというわけではない。この愛らしいヴィンテージのオメガはひときわ存在感を放っていた。
ひと目でそれとわかるシルエット。
まさにドイツ時計製造の最高峰がここにある。
究極のクラシックカーの祭典にとって、ヴィラ・デステほど完璧な舞台は想像し難い。
エミリー・マースデン(Emily Marsden)氏、ヴィルヘルム・シュミット氏、そしてクリスティアン・ハーゲン(Kristian Haagen)氏と素晴らしい時間を過ごした。
自然な一枚か、それとも仕込まれた一枚か? いや、これは紛れもなくハーゲン氏によって撮影された私のスナップショットだ。
なんという絶景だろう。
この日発表された新作、ハニーゴールドのカバレット・トゥールビヨンとともに過ごす貴重なひととき。
Watchonistaのアッシュ・ロンジェ(Ash Longet)氏が選んだのはロレックス コスモグラフ デイトナだ。
ランゲ1のトリオ。
通常とはひと味違うランゲ1に注目して欲しい。ひとつはギヨシェダイヤル、もうひとつはダークマザー・オブ・パールダイヤルを採用。どちらもダイヤモンドベゼルを備えている。
やがて車たちのパレードが始まり、カメラが一斉に向けられ、手首にはランゲ1が姿を見せた。
オーデマ ピゲ ロイヤル オーク 16202XT。
最高のシガータイム。
最も美しいカラーコンビネーションのひとつ、アイボリーとレッドのツートンカラーをまとったアルファロメオ 1900 C SSZ。
ヴィンテージのフェラーリとロレックス エクスプローラー Ref.1016の組み合わせは言うまでもなく完璧だ。
フェラーリ 250 GT コンペティツィオーネ “ツール・ド・フランス”に乗車するカルロッタ(Carlotta)と、ステアリングを握る弟のアンドレア・パルミジャーニ(Andrea Parmegiani)氏。彼らの父親が250 GTをコンコルソに出展した。
アンドレアの手首を飾るのは、第1シリーズのパテック フィリップ Ref.3970。
まさに伝説的な存在である250 GTO。
きわめて特別でユニークなフェラーリ テスタロッサ スパイダーの姿を、もう少し近くで見てみよう。
そして、そのオーナーはパテック フィリップ カラトラバ・パイロット・トラベルタイム 5524Gをクールに着けこなしている。
手首にメテオライトダイヤルのロレックス GMTマスター IIを着け、グラスを片手に、この日のイベントを見守る。
パテック フィリップ アクアノート・クロノグラフ 5968Aは、私に言わせれば間違いなく会場の視線を集める選択だ。
ヴィンテージのデイトナなしにカーショーは語れないだろう。厳密に言えばそれは“ビッグレッド” Ref.6265だ。
ブラウンのカウンタックのインテリアは、美しいタンカラーで統一されている。
ヴィンテージのユニバーサル・ジュネーブ トリコンパックスを見つけ、思わず笑みがこぼれた。
メルセデス・ベンツ 300SLのステアリングを握る腕元には、ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ・クロノグラフ。
助手席には、パテック フィリップ アクアノート・ルーチェ “レインボー” クロノグラフ 7968が控えていた。
こうしてヴィラ・デステで開催された2026年コンコルソ・デレガンツァは幕を閉じた。
2026年コンコルソ・デレガンツァのために、コモ湖畔での素晴らしい週末へご招待いただいたA.ランゲ&ゾーネに心から感謝したい。
著者について
ティム・ヴォー氏(Tim Vaux、@timvaux)はイギリスを拠点に活動する時計スペシャリスト、ジャーナリスト、コンサルタント、写真家。HodinkeeやBritish GQなど複数のメディアに寄稿している。
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