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Introducing ブローバ A-15 パイロットをモチーフにした96A245 ミリタリー

第二次世界大戦時に、実験的に作られたパイロットウォッチが遂に実戦に登場。

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アメリカ空軍航空資材軍団は、1994年にブローバ A-15「経過時間時計」のテストを開始した。結局その時計が試験段階から大量生産に移行することはなかった。しかしブローバは、76年後にそのモデルを通常生産ラインに投入することで、第二の人生を与えた。一部の時計は日の目を浴びなかったものもある。このモデルも、しばらく待つ必要があった。

 オリジナルのA-15は、時計史に名を残す可能性があった時計のひとつだ。当時のパイロットが抱えていた重大な課題を、頑丈なムーブメント、夜光インデックス、経過時間を測定する2つのインナーベゼルを搭載した前衛的なシステムによって、解決したのだ。元となった時計は、航法の初期の形である推測航法をより簡単にするためのものだった。経過時間をより計測しやすくしたことで、パイロットやナビゲーター、そして無線通信事業者までもに恩恵をもたらした。つまり、必要な場所に兵器を確実に輸送したり、負傷したパイロットの救助をしたりなど、その他多くの重要なタスクに集中できるようにしたのである。飛行計器と視覚的に一体化させることでパイロットが時間を記録する必要がないようにもしている。

 しかしどういうわけか、通常生産には至らなかった。それは時期的にそぐわなかったのか、もしくは予算が枯渇していたからかもなのしれない。その時計の運命についての情報はあまりない。記録によれば、500本が生産され、それらは主にアメリカでテストされるためにいくつかの部隊に届けられたという。また、イギリスとイタリアに加え、アジア中にも届けられたと伝えられている。

 現代のA-15は、オリジナル同様に2時位置のリューズでインナーベゼルを操作し経過時間を計測、4時位置のリューズで2つめのタイムゾーンまたは経過時間を計測することができる。新作は、色のアクセントが取り入れられているが、オリジナルは完全に単色だった。12時間表示は、標準サイズの白いアラビア数字で印字され、隣接する24時間表示は、黄色で印字されている。ポップなカラーは、オリジナルのデザインによく合っているように感じた。

 ケースは、直径42mm、厚さ14mmで、手首に「モダン」な存在感を与えてくれる。オリジナルのさらに元となったのは、経過時間計測機能の無いA-11という32mmの時計だ。
 最近の多くの復刻モデル同様に、本機のサイズはオリジナルとは異なるものだ。枢軸国側には、現代のA-15と同サイズのB-Uhrといった大きなケースサイズのパイロットウォッチは存在していたが、広く使われていたわけではなかった。38mmのケースでも問題なく機能する時計で、着け心地も悪くはないが、やや使いにくいサイズ感である。レザーのボンバージャケットの袖口に存在感を与える時計なのだ。袖口の下に滑り込むことはないが、つまり常に確認することができるということなのだ。パイロットが使用する際に、フライトスーツやボンバージャケットの下に隠れてしまっていては、うまく機能しないだろう。そして実際このサイズは、2つの回転ベゼルを入れるための余分なスペースが必要だったというのが要因だろう。

 さて、6万3000円(税抜)の時計が提供するコスパを無視するのは難しい。内部に採用されているのは、ミヨタ 82S6で、通常10万円以下の時計ではあまり見られ、通常、日差-20/+40秒だが、日常使いには持ってこいで、修理もどこでも受けられる。ムーブメントは、親会社のシチズンのものであるため、一部の同価格帯のマイクロブランドが提供できないものを組み込んでいるのだ。

 付属のレザーストラップはとても品質が高く、第二次世界大戦時の見た目と質感を反映している。といってもNATO、そしてオリーブグリーンやカーキのキャンバスストラップでも格好良くなると思う。ケースの形状と文字盤の美しさが、ボンクリップ(ヴィンテージのミリタリーウォッチに見られるコマの小さなブレス)のブレスレットに非常によくマッチするだろうし、モダンウォッチでそれが似合うのはごくわずかの時計だけだろう。

 A-15は、ダーティダースやIWCのマークXIといったコレクター向けの時計と同じくらい象徴的なものになる可能性のあった時計だ。当時、テスト段階で生き残っていたのならば、非常に特別な時計がもつ全ての特徴を持っていたのだ。そして約500本しか生産されなかったオリジナルは常に求められている1本。ただし最新版は、現代コレクターに向けた第二次世界大戦時のパイロットウォッチのエントリーモデルとしての価格帯に位置づけられている。そうして作られた本機は、今度こそテストをパスするだろう。

1944年の実験的なパイロットウォッチを現代に蘇らせたA-15。直径42mmのSSケースで、防水性能は3気圧。2時と4時位置のリューズでインナーベゼルを操作し、経過時間と第二時間帯を示すことができる。限定ではなく通常生産モデルで、価格は6万3000円(税抜)。さらなる詳細はブローバ公式サイトで。