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Photos by TanTan Wang
我々が知っていること
最近オメガのウェブサイトをチェックしていたなら、シーマスターの各モデルのページを見ていて、いくつか興味深い違和感に気づいたかもしれない。インターネット上でも多くの人がこうした細かな仕掛けやイースターエッグを見つけている。たとえば、ウェブサイトのヘッダーにあるオメガのロゴがときおりシリーズの現代版スペクターロゴに切り替わったり、あるいは同じロゴがウェブサイトのソースコード内でASCIIアートとして描かれていたりする(下図参照)。これから発表されるモデルがボンドをテーマにしていることを考えれば、なかなか巧妙なマーケティング手法だ。
そして先週金曜日、オメガは新作のうち1本の製品ページを、技術仕様まで含めた状態で、シーマスター300Mのコレクションページに突如掲載した。写真はなかった(それではあまりにも簡単すぎる)が、すぐさま調査に乗り出した人々が、商品説明欄に長いバイナリコードが記されているのを発見。これを変換すると、新作の製品紹介文になるという仕掛けだった。ネット上では大きな話題を呼んだ。では、ここで私がこの新しいボンドをテーマにしたシーマスターの実際の写真と実機レビューで、最後のピースを埋めていこう。
そして今日、ついにその全貌が明らかになった。オメガが発表したのは1本ではなく、なんと4本の新作シーマスターだ。ここで取り上げるのは、その限定モデルではなく、レギュラーコレクションに加わる2本。まずひとつ、明らかにしておこう。もしティザーを見て、シーマスター ダイバー300Mの小径モデルが登場すると期待していたなら、残念ながらそうはならなかった。今回の新作は現行世代のダイバーと同じ設計に則っており、技術仕様にも変更はない。
ここで新たに加わるレギュラーコレクションの2本は、“ヒーロー対ヴィラン”という構図を打ち出している。ひとつは007をテーマに、もうひとつは(もちろん架空の)犯罪組織スペクターをテーマにしたモデルだ。どちらがどちらなのかは、想像に難くないだろう。ケースバックを見れば、なおさらだ。どちらも現行のシーマスター ダイバー300Mと共通のケースを採用しており、ケース径は42mm。側面には、すっかりおなじみとなったヘリウムエスケープバルブを備える。厚さは14.23mmと記載されており、標準モデルより厚い一方、アニメーションするケースバックを備えた60周年記念ボンドモデルよりは薄い。これは、ケースバックにブランド独自のナイアードロックによる位置合わせシステムを採用していることに加え、ローターに施された装飾などが関係しているのだろう。
シーマスター ジェームズ・ボンドエディション Ref.210.30.42.20.03.004は、おなじみのレーザー加工による波模様のアルミニウム製ダイヤルを採用。今回はダークブルーに彩られ、逆回転防止ベゼルにはレリーフ加工を施したグレード5チタン製のインサートを組み合わせている(ネクトンを思い出した人もいるだろうか)。小さな変更ながら、外観的にかなり印象的なのが、12時位置のアプライドインデックスだ。通常の長方形のインデックスに代わり、ボンド家の紋章が配されている。このディテールは以前にも、2019年に発表された「女王陛下の007」公開50周年を記念したシーマスター ダイバー300Mのダイヤルで採用されている。しかし私の知る限り、この紋章モチーフをホワイトカラーの金属で仕上げたのは今回が初めてだ。時計を裏返すと、このダイバーを駆動する、おなじみのMETAS認定を受けた自動巻きのコーアクシャル キャリバー8806が見える。…いや、実際には見えない。今回はキャリバーのほぼ全体を覆う、大型の特別仕様ローターを採用しているからだ。ローター中央には007のピストルロゴを配し、その周囲にはシリーズを象徴するライフル銃の銃身を思わせる螺旋状の意匠が広がっている。
007 vs スペクター。
スペクターエディションは、より無骨でタクティカルなモノクロームデザインを打ち出している。レリーフ加工を施したベゼルインサートにはブラックセラミックを採用し、テクスチャーのあるドット状の意匠は、シボ感のあるマットブラックダイヤルにも広がっている。インサートのデザイン自体は、既存のブラック×ブラック仕様のセラミック製シーマスター ダイバー300Mからほぼ踏襲したものだが、今回はよりコントラストを効かせるため、スティール(SS)製の夜光入りドットを採用。SS製のベゼルやケースとも調和している。こちらを裏返すと、巻き上げ機構の一部としてネジ留めされた、タコのような黒いスペクターロゴが目に入る。サファイアクリスタルのケースバックからムーブメントの一部でも見たいという人にとっては、こちらのローターデザインのほうが断然うれしいだろう。スペクターエディションとジェームズ・ボンドエディションの2本には、いずれもブランドのSS製ミラネーゼメッシュブレスレットが組み合わされる。
新作のレギュラーモデルについては、これでほぼすべてだ。だが先ほど触れたように、さらに2本の時計が限定モデルのボックスセットとして、それぞれ1本ずつ登場する。そう、こちらもボンドとスペクターのペアという構成だ。ブルーのボンド仕様セットには、先ほど紹介したブルーダイヤルのシーマスターに加え、ブルーセラミック製ベゼルを備え、ダイヤルにもライフル銃身を思わせる螺旋状のモチーフを配したホワイトゴールド製モデルが収められる。スペクターのセットには、ギヨシェ装飾を施したと思われるダイヤルを採用したプラチナ製のモデルが加わる。SS製モデルのデザイン自体は同じだが、ケース左側には77本限定のうち何番目の個体かを示す刻印入りプレートが配され、ケースバックにも“Limited Edition”の文字が刻印される。原稿執筆時点では、これらのボックスセットについて追加でわかっている情報は多くない。ただ、製品ページが公開されれば、世界中の人々と同じタイミングで詳細が明らかになるだろう。
Images courtesy Omega
限定版ではないシーマスター ダイバー300Mの2モデル(スペクター版とボンド版の両方)は128万7000円で販売され、限定版の2セットはどちらも1339万8000円で販売される(すべて税込)。
我々の考え
発売前に実機を手に取って見たことで、私のなかには相反するふたつの感情が生まれた。おそらく私が最も気に入っているボンド仕様のデザインは『007/No Time To Die(ノー・タイム・トゥ・ダイ)』のシーマスター ダイバー300だが、今回の新作2本も実物を見るとなかなか魅力的だ。なかでも私が選ぶなら、スペクターをテーマにしたブラックダイヤルのシーマスターだ。
とはいえ同時に、どちらもあまりに無難な仕上がりで、レギュラーコレクションのモデルとしてラインナップに並んでいても違和感がないほどだ。むしろスペクターのほうは、ボンドの要素をすべて取り払った状態で見てみたかったとさえ思う。そう感じる大きな理由は、これらのデザインが過去のシーマスター ダイバー300Mに登場した意匠を組み合わせたものだからだろう。レリーフ加工のベゼルやダイヤルのテクスチャーは、いずれも過去のリファレンスですでに見られたもので、今回はそこから少しずつ要素を取り入れている。どちらのモデルにも、特にオリジナリティを感じさせる部分はない。チタン製ケースと独特のカラーリングによって、明らかにほかとは一線を画していた『007/No Time To Die(ノー・タイム・トゥ・ダイ)』エディションとは、そこが大きく異なる。
あ、そうそう、もし私の意見を医学的なアドバイスのように捉えていて、別の意見も聞きたいという場合は、私の友人であり同僚のグリフィンもこの新製品について意見を述べているので、こちらを見て欲しい。
時計好きとしては、今回の新しいボンド仕様のシーマスターをもっと大胆に振り切ったデザインにして、ひと目でそれとわかる存在にして欲しかったというのが本音だ。ただ、今回の新リファレンスは、過去に登場した一風変わったデザインのいくつかよりも、はるかに幅広い層に受け入れられるだろうと思う。そう、わかっている。やってもやらなくても文句を言われる。オメガとしても、ここでは誰もが満足するものを作るのは難しいだろう。
だが、ひとつだけ大きな不満が残る。これは今回発表されたデザインそのものとは関係なく、私の手首が小さく平たいという個人的な事情によるものなのだが、このメッシュブレスレットは手に取ってみるととても美しく、写真で見ても魅力的なのに、どうにも着け心地が悪い(短いサイズでもだ)。もちろん異論はあるだろうが、個人的には5連ブレスレットをそのまま採用して欲しかったと思う(あるいは、メッシュをもう少し柔軟にしてもよかった)。そちらのほうがより幅広い手首にフィットするだろうし、このデザインを纏った最近のシーマスター ダイバー300Mでは、どれも私の手首には合わず、着けられないのだ。愚痴はさておき、今回の2本はオメガとジェームズ・ボンドの長年にわたる関係をさりげなくアップデートした、確かに見栄えのいい新作だ。待望の新たなボンドが発表されるまでのあいだ、多くの人を楽しませてくれることだろう。次のジェームズ・ボンド役には誰を推す? コメントで教えて欲しい。そして、彼の手首にはどのオメガを着けてほしいかも聞かせて欲しい。
基本情報
ブランド: オメガ(Omega)
モデル名: シーマスター ダイバー300M(Seamaster Diver 300M)
型番: 210.30.42.20.03.004(ブルーダイヤル)、210.30.42.20.01.023(ブラックダイヤル)
直径: 42mm
厚さ: 14.23mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: ブルー、ブラック
インデックス: アプライド
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 300m
ストラップ/ブレスレット: SS製のメッシュブレスレット、フォールディングクラスプ付き
ムーブメント情報
キャリバー: 8806
機能: 時・分表示、センターセコンド
パワーリザーブ: 55時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万5200振動/時
石数: 35
クロノメーター認定: あり、マスター クロノメーター(METAS)
価格&発売時期
価格: SS製モデル 128万7000円/限定ボックスセット 1339万8000円(すべて税込)
発売: 発売中
限定: ボックスセットは各77本限定
詳しくはこちらをご覧ください。
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