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1972年にジェラルド・ジェンタがデザインした「ロイヤル オーク」は、ステンレススティールと精密な仕上げ技術を融合させ、高級時計の概念を根底から覆した。以降、1976年のジャクリーヌ・ディミエによるレディスモデルの再解釈や、1990年代のエマニュエル・ギュエによる表現の拡張を経て、ロイヤル オークは単なる時計を超えた独自の“デザイン言語”として進化を続けている。
今回、ファッション・ウィークで賑わうパリの地でオーデマ ピゲから発表された「ロイヤル オーク ジュエリー コレクション」は、その特徴的なブレスレット構造をダイレクトにハイジュエリーへと落とし込んだ意欲作である。ケースからしなやかに伸びるテーパードリンクとスタッド、そしてサテンブラッシュとポリッシュ面取りの絶妙なコントラスト。時計ファンにはおなじみの幾何学的な美学がジュウ渓谷の自然を讃えて、厳選されたジェムストーンや高度な伝統技法と融合し、まったく新しい存在感を解き放った。
本コレクションは、すべてル・ブラッシュがあるジュウ渓谷の景観や天体現象からインスピレーションを得ており、大きく分けて3つの世界観(コレクション)で構成されている。いずれにも、腕時計製造で培われたオーデマ ピゲのサヴォアフェールが息づいており、特徴的なロイヤル オークのブレスレットなど、メゾンの確かなルーツを感じられる点にも注目だ。
1. リズー エクリプス(Risoud Eclipse)
ネックレス: COL000018AA シュガーローフエメラルド 5個計16.5ct、ブリリアントカットダイヤモンド 76個計0.159ct、13.7 x 15.7 x 3.24cm
カフ: BCT000019AA シュガーローフエメラルド 3個計12ct、ブリリアントカットダイヤモンド 76個計0.159ct、7 x 6.4 x 3.5cm
ジュウ渓谷に広がるリズーの森と、その上空に浮かぶ日食の陰影を表現したコレクション。ブラックPVD加工を施したチタン製のリンクを採用し、サテンとポリッシュ仕上げの面取りがセラミックとも異なるダークな質感とシャープな立体感を与える。中央には、鮮やかなシュガーローフエメラルドを配置。円錐状のファセットが全方向からの光を反射し、周囲を囲むブリリアントカットダイヤモンドとのコントラストを際立たせている。裏面には、コレクションを象徴するように八角形のロイヤル オークバックルが配されている。
2. ドリーム オブ ジュウ(Dream of Joux)
ロイヤル オーク ハイジュエリーネックレス: COL000015AA 1.5ctのペアシェイプダイヤモンド42個(計約63ct) 、5ctのペアシェイプダイヤモンド1個、3ctのペアシェイプダイヤモンド1個、ブルーサファイア1670個(計約 5.225ct)、26 x 12 x 5cm
ジュウ渓谷の凍りついた湖、澄み切った夜空、豊かな花々などの多面的な風景を、ブルーサファイアとダイヤモンドのジェムセッティングによって描く一点物のユニークピースを中心としたラインナップ。多様なモチーフと技法により、極めて豊潤なグラフィックが広がる。オーデマ ピゲも故郷の原風景を表現しながら、ロイヤル オークのリンクを思わせる意匠が隠れている。ブルーサファイアのスノーセッティングを施したブルーチタンのリンクと、大ぶりのペアシェイプダイヤモンドが流れるように連なる、アイコニックなデザインだ。
ドロップイヤリング: EAR000007AA 3ctのペアシェイプダイヤモンド2個(計約6ct)、1.5ctのペアシェイプダイヤモンド6個(計約9ct)、ブルーサファイア196個(計約0.175ct)、5.6 x 1 x 1.5cm
「ドリーム オブ ジュウ」 – ツリー オブ ライフ ロイヤル オーク カフ CT000024AA ブリリアントカットコニャックカラーサファイア203個(計約2.008ct) 、ブリリアントカットミディアムツァボライト340個(計約3.388ct) 、ラウンドシェイプディープツァボライト108個(計約1.524ct) 、ペアシェイプディープツァボライト19個(計約0.08ct) 、ブリリアントカットライトツァボライト124個(計約1.648ct)、6.1 x 2.9 x 0.4cm
一方で、「ドリーム オブ ジュウ」には一見ロイヤル オークの面影を感じないほどに巧みにデザインされたブレスレットもラインナップ。特に、メティエダールを駆使した3本のアイコンたちを紹介する。
ツリー オブ ライフ ロイヤル オーク カフ:ピンクゴールドを用いて、葉の生い茂った木をモチーフに描いたブレスレット。コニャックカラーサファイアとツァボライトが有機的なシェイプを象り、自然の造形美を立体的に表現した。
ブルームーン ロイヤル オーク カフ:ホワイトゴールドをベースにブリリアントカットダイヤモンド、ディープブルーサファイアやスイスブルートパーズ、ロンドンブルートパーズを散りばめた。ブルームーンの名のとおり静謐な月夜を描く。
サンバースト ロイヤル オーク カフ:イエローゴールドをベースに、力強いサンレイモチーフを表現。ダイヤモンド、イエローやオレンジのスペサルタイト、イエロー、ピンク、オレンジのサファイアがあしらわれる。
「ドリーム オブ ジュウ」 – ブルームーン ロイヤル オーク カフ BCT000025AA ブリリアントカットダイヤモンド51個(計約0.459ct) 、ブリリアントカットディープブルーサファイア37個(計約0.903ct) 、ブリリアントカットスイスブルートパーズ252個(計約3.108ct) 、ブリリアントカットロンドンブルートパーズ57個(計約1.572ct)、6.1 x 2.9 x 0.4 cm
「ドリーム オブ ジュウ」 – サンバースト ロイヤル オーク カフ BCT000023AA 53個のブリリアントカットダイヤモンド(計約0.64ct)を含む、98個のダイヤモンド(計約3.39ct) 、イエローサファイア108個(計約6.4ct)、オレンジサファイア23個(計約1.95ct)、ピンクサファイア15個(計約1.45ct)、オレンジスぺサルタイト61個(計約3.95ct)、イエロースぺサルタイト23個(計約1.45ct)、カボションカットオレンジスぺサルタイト1個(計約0.55ct)、6.1 x 2.9 x 0.4cm
3. フロステッドゴールド(Frosted Gold)
2016年にジュエリーデザイナーのキャロリーナ・ブッチとのコラボレーションで誕生した、フロステッド加工を用いたコレクション。古くから伝わる、フィレンツェの伝統技法を取り入れたロイヤル オークのブレスレットが、ネックレスとカフへと昇華された。
この技法は、ダイヤモンドチップの工具でゴールド表面を微細に打ち出すことで、ダイヤモンドダストのような輝きを生み出すもの。元々、レディス用ロイヤル オークの誕生40周年を記念して生み出された仕上げであり、現在ではオーデマ ピゲを象徴するひとつの存在に。ミラーポリッシュ仕上げのスタッドとエッジ部への面取りによって、一層強調されたフロステッドが尽きることのない光の反射を称え、ジュエリーとしての存在感を放っている。
18Kピンクゴールド、イエローゴールド、ホワイトゴールドのチョーカーおよびカフを展開。留め具には全モデル共通でアイコンである八角形を用いた、ロイヤル オークバックルが採用されている。
オーデマ ピゲとハイジュエリーの歴史的背景
オーデマ ピゲにとって、ジュエリー制作は決して新しい試みではない。19世紀後半の創業期より、ティファニーやカルティエ、ブルガリといった名門ジュエラーと協業し、ペンダントウォッチや宝石を散りばめた前衛的なタイムピースを手掛けてきた歴史がある。
1929年に製作された極小ムーブメントCal.5/7SBを載せた「トゥッティ フルッティ」に始まり、1980年代には自社ジュエリー工房を設立。そして2000年の創業125周年記念「バロックカフウォッチ」やその後、2010年代にも制作された「ダイヤモンド トリロジー」(2015〜2017年)、「サファイア オルブ」(2019年)に至るまで、同社は常に時計製作とハイジュエリーの境界線を押し広げてきた。今回のコレクションは、その豊かなヘリテージと高いクラフツマンシップの現代的到達点を目指したものである。
時計のブレスレットデザインをモチーフにしたジュエリーは過去にも存在するが、ロイヤル オークほど完成された構築的造形を持つデザインを、ここまで大胆にハイジュエリーへと昇華させた例は稀であり、同社としても大胆なチャレンジであったと写る。特に注目すべきは、単に宝石を敷き詰めるだけでなく、チタンのPVD加工やアルマイト処理、フロステッドゴールドといった現代的な素材・表面処理技術と、伝統的なスノーセッティングやインビジブルセッティングを高次元で融合させている点にある。スポーティな一体型ブレスレットのコードを保ちつつ、タイムピースの枠を飛び越えたこのクリエイションは、オーデマ ピゲが持つ自由なアヴァンギャルド精神を改めて証明しうるのだ。
その他、詳細はオーデマ ピゲ公式サイトへ。
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