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我々が知っていること
ショパールが初めて“ダイヤモンドを解き放って”から、今年で50年を迎える。たしかに少し気恥ずかしくなる表現ではあるが、その着想には本当に心が浮き立つような楽しさがある。ダイヤモンドが時計の文字盤上を軽やかに跳ね、くるくると回りながら、見るたびに異なる表情を見せてくれるのである。
1976年に発表された初代ハッピーダイヤモンドは、留め具で固定されていないダイヤモンドをひとつずつ金製のカプセルに収め、文字盤に固定するのではなく、2枚のサファイアクリスタルのあいだを自由に動くようにしたものだった。そのアイデアは、ドイツのシュヴァルツヴァルトで、滝の飛沫に陽光がきらめく様子から着想を得たと言われている。これはのちに、ショパールを最も象徴するシグネチャーのひとつとなった。
アニバーサリーを祝うにあたり、ショパールはコレクションの歴史における重要なふたつの瞬間へと立ち返る。1976年の最初期のハッピーダイヤモンド ウォッチと、ショパール共同社長兼アーティスティック・ディレクターであるキャロライン・ショイフレ(Caroline Scheufele)氏が1993年にデザインした初代ハッピースポーツである。
ショパール ハッピーダイヤモンド ヘリテージ 34mm。
より小ぶりな24mmバージョン。
新しいハッピーダイヤモンド ヘリテージ ウォッチは初代モデルを忠実に復刻したもので、18Kエシカルイエローゴールド製のクッション型ケースに、ポリッシュ仕上げのブラックオニキスダイヤルを組み合わせている。サイズは1976年当時と同じく、2種類が用意される。
大きいほうは34mm×34mmで、21個のムービングダイヤモンドを収める。ムーブメントはショパールの手巻きCal.10.01-C。2024年に発表された、直径わずか15.7mmの小さなムーブメントである。サファイアクリスタル製のシースルーバック越しにその姿を見ることができ、振動数は2万1600振動/時(3Hz)、パワーリザーブは約45時間を備える。小ぶりな24mmバージョンはクォーツムーブメントを採用し、9個のムービングダイヤモンドを収めている。いずれも30m防水で、ブラックアリゲーターストラップに、同色のイエローゴールド製バックルを組み合わせる。オニキスをセットしたリューズは、当時らしさを感じさせる特に魅力的なディテールである。
そしてもうひとつが、ショイフレ氏による1993年のオリジナルデザインを復活させたハッピースポーツ ザ ファーストである。当時、ダイヤモンドとステンレススティールを組み合わせることは実に珍しい試みだった。「最初にこれをデザインしたとき、みんな私のことを少しおかしいと思っていたようです」と、ショイフレ氏は私たちに語った。「父には“どうしてSSの時計にダイヤモンドを入れるんだ?”と言われました。私は“どうしてダメなの?”と答えたのです。それによって、より若々しくて楽しい時計になりました。日中にも身につけられるものだったのです」。彼女は完成したプロトタイプを父のオフィスへ持っていったときのことを覚えている。「父は“SS?”と言いました。私は“ええ”と答えました。そうしてすべてが始まったのです」
コレクションは26mmと33mmの2サイズで復活し、ケースはショパールのルーセントスティール™、SS×エシカルイエローゴールドのツートン、または無垢のエシカルイエローゴールドで展開。ムービングダイヤモンドは26mmモデルに5個、33mmモデルに7個を収め、ムーブメントはいずれもクォーツである。
1993年のショパール ハッピースポーツの広告。
何より重要なのは、オリジナルのペブルリンクブレスレットが復活したことだ。海に磨かれた石から着想を得たこのブレスレットは、再設計のうえ自社製造されており、丸みを帯びたリンクによってジュエリーのようなしなやかさを備えている。シルバートーンのグレイン仕上げ文字盤には、ブルーのローマンインデックス、レイルウェイミニッツトラック、そしてブルースティールのソード型針がそのまま受け継がれている。
我々の考え
時計デザイナーが30年以上の時を経て、自らの作品に再び向き合うことは珍しい。ましてや、そこに余計な手を加えたいという衝動を抑えるとなればなおさらである。ショイフレ氏は、何もかも手を入れたくなるような作り手の衝動を、ここでは抑えている。これらの時計は、原型がわからなくなるほど大きくサイズアップされたり、薄型化されたり、“再解釈”されたりしているわけではない。「原点に立ち返ると言うのであれば、そのプロダクトが持っていた最良の部分を取り入れるのです」と彼女は説明する。変更点はごく控えめだ。より明るい印象のSS、よりしなやかなブレスレット、そして倫理的に調達されたゴールドとダイヤモンドである。
ショパール共同社長兼アーティスティック・ディレクターのキャロライン・ショイフレ氏。
その控えめさが重要なのは、オリジナルのハッピースポーツが、今見る以上に当時としては革新的な存在だったからである。ダイヤモンドをあしらったSSの時計は、今ではいたるところにある。だが1993年当時はそうではなかった。ショイフレ氏は、自分自身のライフスタイルのためにこの時計をデザインした。テニスをしたり、泳いだり、水上スキーを楽しんだりするときにも身につけられるものとしてである。それは、経営層の会議室でマーケットリサーチをもとに考え出された“女性向けウォッチ”を作ろうという、計算された試みではなかった。実用性と華やかさのあいだに何の矛盾も見出すことなく、彼女はただ、自分が身につけたいと思う時計をデザインしたのである。
ハッピーダイヤモンド ヘリテージは、ふたつの復刻モデルのうち、時計好きの心をよりくすぐる1本である。小型の手巻きムーブメントを採用したことで、34mmケースはすっきりとした薄さに収まっており、21個のダイヤモンドはブラックオニキスを背景にひときわドラマチックに映える。まさに1970年代のドレスウォッチらしい感触だ。よくできた復刻版である。ご存じのとおり、そうしたものは本来もっと多くあっていいはずだが、実際にはなかなか出合えない。
33mmのハッピースポーツに機械式ムーブメントが搭載されていればよかったと思うか? 特にそうは思わない。ここではクォーツであることが歴史的にも正しく、気軽に、そして必要以上に気を遣わず日常使いできるジュエリーとして構想された時計には理にかなっている。
ベラ・ハディッド(Bella Hadid)氏が、リウ・ウェン(Liu Wen)氏とともに新キャンペーンの顔を務めるのは、ほとんど必然の選択に思える。ショイフレ氏が当初求めていたのは、カクテルドレスにはもちろん、ジーンズにも同じくらい自然に合わせられるダイヤモンドウォッチだった。乗馬を愛するホースガールとしての一面、オフのモデルらしい佇まい、そしてレッドカーペットでの華やかさ。そのあいだを説得力をもって行き来するハディッド氏は、この提案をきわめて現代的で、何より若い世代に響くものとして見せている。
(編注;ハッピーダイヤモンド ヘリテージ 34mmは686万4000円、ハッピーダイヤモンド ヘリテージ 24mmは339万9000円、ハッピースポーツ ザ ファーストは94万6000円~635万8000円、すべて税込)
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