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時計メーカーの消滅にはさまざまな理由がある。クォーツショックのような大規模な壊滅的な要因の場合もあれば、昔からある経営不振によるものもある。しかし、この業界では、死は一時的なものなのだ。
何十年も前から、時計業界では起業家が休眠状態の企業を復活させ、成功を収めてきた。ジャケ・ドロー、チャペック、モリッツ・グロスマン、アンジェラス、ルイ・モネなどの高級時計ブランドはその一例だ。A.ランゲ&ゾーネでさえそうだった。エントリーレベルでは、さらにその傾向が強まっている。昨年は、ニバダ グレンヒェンとオレヒ&ヴァイズが見事に復活した。イエマ、ベンラス、アクアスター、ドクサなども復活の対象だった。
今年は、情熱的な時計愛好家のガイダンスのもと、数多くの時計メーカーが生まれ変わった。この不死の季節に、我々の4つのお気に入りを紹介しよう。
エイラン
スイス製のコラムホイール付き手巻きクロノグラフで38mmのスティールケース、2レジスターダイヤルとカウントダウンベゼルを備えたモデルが、今なら約3000ドル(約35万円)で手に入ると言ったら、あなたはきっと私を嘘つきだと言うだろう。ヴィンテージにこだわる人にとっては、あまりにも素晴らしいスペックの組み合わせなのだ。
しかし、それこそが新しいエイランのタイプ20 クロノグラフなのである。
エイランは1934年に設立されたが、最も有名な時期は1950年代で、フランス空軍と海軍航空隊にタイプ20 パイロットウォッチを供給する3社のうちの1社に選ばれたときだった(ブレゲ、ドダーヌ、マセイ・ティソ、その他数社と共に)。
タイプ20とは、フランス陸軍が使用するフライバック・クロノグラフの規格のことだ。その仕様には、直径38mm、厚さ14mm以下、ねじ込み式ケースバック、30分積算計を含む2レジスターの黒文字盤、夜光塗料を塗布したアラビア数字と針、双方向回転式12時間ベゼル、1日8秒差以内の精度、35時間以上のパワーリザーブ、300回以上のクロノグラフ操作を問題なく行える信頼性などが求められていた。
ヴィンテージのエイラン タイプ20。
現代のブレゲとドダーヌは、どちらもタイプ20/XXクロノグラフのバリエーションを製造しているが、エイランの最新モデルの画像と技術仕様を見てみると、ヴィンテージモデルを購入する以外では、これがオリジナルに最も近いモデルだと感じられる。実際、エイランのタイプ20復刻版は、1950年代にフランス政府が打ち出した期待値をほぼすべて満たしているのだ。
新生エイランは、1930年代にエイランの姉妹会社として設立されたLebois & Co.の権利を2014年に取得したオランダ人のトム・ファン・ウィジリック氏によって復活した。ウィジリック氏は、フランスの時計コレクターからエイラン社のIPを取得したが、オランダ人の彼がエイランを真に成長させる計画を説明したあと、そのコレクターは喜んで権利を譲ったという。
エイランは、マニュファクチュールのラ・ジュー・ペレ社と協力して、新しいタイプ20クロノグラフに搭載するCal.AM1を開発した。この価格帯では、セリタ社やETA社製のクロノグラフキャリバーが主流だが、それに代わる素晴らしい製品だ。
個人的にこのカウントダウンベゼルの使い方が気に入っている。最近のオリス キャリバー400 リミテッドエディションにも見られるようなカウントダウンベゼルが大好きなのだが、なぜもっと多くのパイロット用クロノグラフに12時間カウントダウンベゼルを搭載しないのか、いつも不思議に思っていた。実際に時計を見たわけではないが、ヘサライト風防の採用も考え抜かれた選択だと思う。現代性への譲歩として、サファイアの方がよかっただろうか? たしかにそうだが、ここでのヘサライトの存在は、犠牲というよりもむしろ選択のように感じられる。
エイランはこれまでに、タイプ20フライバッククロノグラフの2つのバリエーションを製作してきた。ブラックダイヤルのモデルは、ブラックまたはブラウンのレザーストラップ付きで2980ドル(約34万円)だ。一方、ブラウンダイヤルの限定モデルは、134本(創業日の1934年にちなんで)、3080ドル(約35万円)で発売されたが、すでに完売している。
エクセルシオパーク
エクセルシオパークには、驚くほど豊かな歴史がある。1888年にサンティミエに設立された会社が、エクセルシオパークの名を冠したのは1918年のこと。20世紀初頭から1983年にかけて、エクセルシオパークはクロノグラフ・ムーブメントの生産者として高い評価を得ていた。同社は自社ブランドの時計も製造していたが、現在では、ガレ、ゼニス、ジラール・ペルゴなどのクロノグラフ・エボーシュのメーカーとして知られている。ムーブメントだけではなく、文字盤の美しさも印象的だ。エクセルシオパークのロゴに使われているフォントは、今見ても新鮮でモダンな感じがしてとても気に入っている。また、数字も素晴らしい。7時位置を見ればわかる。
ニバダ グレンヒェンの現在の形を確立したギョーム・ライデ氏が率いる新しいエクセルシオパークは、5つの異なる方法でドレスアップした1つのクロノグラフを提供している。これは、昨年のニバダ グレンヒェンや、クロノマスター・アビエイター・シーダイバー、アンタークティックラインのリニューアルでライデ氏が成功したように、ファンに人気のヴィンテージウォッチを、バスキン・ロビンスタイルの様々なフレーバーで提供するというアプローチだ。
全5モデルは、1950年代のエクセルシオパークの様々なクロノグラフにインスパイアされている。ホワイトダイヤルにレッドとブルーのアクセントを加えたモデル(EP95000)、シルバーダイヤルにブラックのアクセントのモデル(EP95001)、単色のオフホワイトダイヤル(EP95002)、ブラックダイヤルにホワイト/シルバーのアクセントのモデル(EP95003)、サーモンダイヤル(EP95004)がある。それぞれ、2つのレジスターにアラビア数字を配した文字盤、クッション型のクロノグラフプッシャー、ダブルドーム型のサファイアクリスタル、38mm×13mmのSS製ケースを採用し、スイス製手巻き式のセリタ SW510 BH Bを搭載している。EP95000-003には、文字盤外周にタキメーターとテレメーターの2つのスケール、アプライドの数字、注射器型の針が、サーモンのEP95004には、ミニッツスケール、アプライドの数字、青焼きされたバー状の針が付いている。
すべてのモデルにはレザーストラップが付いており、価格は2507ドル(約28万円)だ。今年の12月のプレオーダーで予約すると、オープンまたはクローズドのケースバックを選択することができる。
シェルパ
今、 ヴィンテージのエニカが熱い、とにかく熱いのだ。エニカ社の現状は? それほどホットではない。エニカは何年も前に公式に復活したが、同社のウェブサイトに掲載されている時計は、エニカの豊かな歴史を祝うものというよりは、ロレックスのオマージュウォッチのようだ。
そこで、偶然にも今日(WatchTime New Yorkの姉妹イベントであるWatchTime Dusseldorfで)ローンチしたドイツの新会社の出番だ。エニカの名前はすでに使われていたため、エニカのヴィンテージウォッチの熱烈なファンでドイツの機械エンジニアであるマーティン・クロック氏(彼の名前は文字通り「時計」)が、自分の手で問題を解決することにした。
その結果、ドイツのミールブッシュにある小さな会社シェルパが誕生した。この会社は、エニカのツールウォッチの栄光の時代にインスパイアされた数々の時計を、シェルパシリーズとして製造することを計画している。クロック氏の機械工学のバックグラウンドを生かした会社の最初の時計は、エニカ シェルパのウルトラダイバーズウォッチの斬新なデザインだ。
クロック氏は、仲間のエンジニアやデザイナーからなる小さなチームと協力して、60年ぶりに完全なコンプレッサーケースの1つとなる新しいケースデザインを開発した。ウルトラダイバーズのケースは、1960年代にEPSA社がエニカ社のために製造したスーパーコンプレッサーケースと同様に、オリジナルのコンプレッサー設計原理を踏襲している。基本的には、水圧の上昇によって時計の密閉力が高まる。つまり、深く潜れば潜るほどケースとリューズの密閉性が高まり、防水性が向上するというわけだ。
トルネック・レイヴィル
7月、MKIIの創業者としてフォーラムでもおなじみのビル・ヤオ氏が、トルネック・レイヴィルという馴染みのある名前の新ブランドを立ち上げた。ご存知のように、トルネック・レイヴィルは、1950年代後半、当時のブランパンのアメリカにおける販売代理店であったアレン・トルネック氏が巧妙に頭脳を働かせて「バイ・アメリカン運動」を回避し、フィフティ ファゾムスがアメリカ海軍の潜水時計として選ばれるようにするためにしてブランドだ。
トルネック・レイヴィルのヴィンテージ時計は、オークションで非常に高い金額で取引されることがある。(HODINKEE Shopで、2019年7月に6万5000ドルで販売した)特に1000ドル以下の価格帯で新しい選択肢が市場に出てくることはエキサイティングだ。しかし、ブランパンのファンとしては、ブランパンの歴史やスウォッチグループの一部としての現在の構造とは無関係に、格安のブランパン・ルックを提供する新しい会社に対して、コレクターがどのように反応するか気になるところである。
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ブランドの詳細は、エイラン、エクセルシオパーク、シェルパ、トルネック・レイヴィルの各HPをご覧ください。
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