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ハロー、ジョージー、時計を見たいかい? ペニーワイズの世界へようこそ。この世界は、天才小説家スティーブン・キングの想像力から生まれた架空の世界。1986年に出版された『It』は1000ページを超える大作で、メイン州の小さな町デリーに住む子供から大人になった人々の生活と、ピエロの衣装を着た(メイクアップされた)恐ろしいモンスターとの長年にわたる戦いを描いた、まさに没入型の読書体験だ。この小説は、1990年にフェイスペイントでお馴染みのティム・カレー主演で、かなり安っぽいTVミニシリーズとして映画化された。しかし、2017年には、この小説をに新たな高みに引き上げるべく、新たな映画化が行われた。
アンディ・ムスキエティが監督、「True Detective」の卒業生であり、最新のボンド映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の監督でもあるケイリー・ジョージ・フクナガが共同脚本を担当した『IT/イット』(2017年)は、Netflixの番組『Stranger Things』のストリーミングでの成功の流れから出た、待望の映画だった(そのスターのうちの一人も起用した)。悔しいことに、タイトルには書かれていなかったので、私は『It』の全貌を一度に体験できると思ってこの映画を見に行ったのだが、これは2部構成のうちの1部に過ぎないことがわかった。
その第二部である『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(It: Chapter Two)』(2019年)が、今日の私たちの時計探訪の焦点だ。実は今年の初めにHODINKEE Radioで、この第二章の小道具部門を担当したマリア・シモネリさんにお話を伺う機会があった。本作は、大人になった主人公たちの姿をフラッシュバックを交えながら描く、より大人向けの作品だ。成長した登場人物の多くが時計を身につけているが、そのなかでもひときわ目立つ人物がいる。スティーブン・キングの代役であるビル・デンブロウの大人版を演じるジェーム・マカヴォイは、ポール・ニューマンも納得のある時計を身につけている。
注目する理由
カレンダーを確認して欲しい。スマホのカレンダーではなく、本物のカレンダーを。週末はハロウィン・ウィークだったのだ。一年で最も不気味な時期には、最も怖い映画が必要になる。今週のピックアップは、続編というよりも1つの映画のビジョンを引き継いだものだ。ジェシカ・チャステイン、ビル・ヘイダー、ビル・スカルスガルド、そして今話題のジェームズ・マカヴォイなど、豪華なキャストが出演している。時計愛好家としては、さらに一歩進んで、クールな時計が登場するホラー映画を選ばなければならない。今回の『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』はまさにそれを体現している。
大人になって、子供の頃の悪 - 人を喰う、悪夢をもたらす、邪悪なピエロ - に直面するというストーリーのなかで、マカヴォイ演じる大人の主人公デンブロウの腕には、クラシック中のクラシックともいえるステンレススティール製の時計が装着されている。
小説をページからスクリーンに移すことは、しばしば問題をはらむ。スティーブン・キングは、スタンリー・キューブリックが映画化した『シャイニング』に不満を抱き、映画自体を公に非難したことはよく知られている。しかし、今回の『IT/イット』の続編では、キングはより密接に制作に関わっており、スクリーンにもカメオ出演したほどだ。
映画版のデンブロウは時計の趣味がよく、ジュビリーブレスレットにシルバーの文字盤と思われるSS製のロレックス デイトジャストを着用していた。これは、『ハスラー2』でポール・ニューマンが着用している時計と基本的に同じものだ。ただ、本作のデイトジャストはホワイトゴールドのフルーテッドベゼルで、ニューマンのものはスティール製のスムースベゼルだった。スティーブン・キングはロレックス愛用者とは言われていない。彼の趣味はより実用的なようだ。古典的なタイメックスのイージー・リーダーを持っているのが目撃されているが、これは基本的に彼がこれまでに書いた本を表現するのに最適な時計だろう。
この映画のためにマカヴォイのロレックスを選んだのがキングだったかどうかは誰にもわからない。あえて言えば、その可能性は低いと思う。いずれにしても、私はこの時計の選択を気に入っている。この時計は、作家にとって完璧なタイムレス・モデルであり、気が散る要素がない(『シャイニング』のジャック・トーランスはこの点を極端に嫌っていた)。
マカヴォイ演じるデンブロウがこの時計を手にしたのは、10代から大人になるまでのあいだであることは明らかだ。おそらく、最初の小説を出版したのちに稼いだお金を使って買ったのだろう。デイトジャストは、タイメックスを愛用する現実のキングと、ロレックスを愛用するハリウッド版(マカヴォイ演じる)デンブロウとの境界線の役割を果たしている。また、仲間と共にペニーワイズを倒すときにも腕にはめている(ネタバレになる。ごめんなさい)。この時計が彼に力を与えたのかもしれない。少なくとも私はそう思いたい。
見るべきシーン
映画の中盤、デリーの街を歩いていたデンブロウ(マカヴォイ)は、古びたヴィンテージショップを見つけるが、それはビンテージウォッチショップではない。その店の窓際に、かつて自分が所有していた古い自転車が展示されているのを見て、彼は思わず足を止めてしまう。店に入ると、すぐに店主(スティーブン・キングが扮している!)が迎えてくれる。吃音(きつおん)という言語障害を持つデンブロウは、自転車という言葉を必死になって口にし、"F "で始まるある種の罵倒語を使ってそれを助長する。彼がカウンター内の店主に近づいていくと [01:18:24] 、ジュビリーブレスレットとわかる軽いステンレススティールが、ほこりっぽいヴィンテージライトのさまざまな光のなかで輝いているのがよくわかる。
この映画は長い(2時間半以上)ので、エンディングに飛ぶことを許してくれ。顔にペイントを施した敵によるさまざまなな不気味な殺人事件を経て、自称「ルーザー=負け犬」たち(子供たちが友情を育む際につけたニックネーム)は、ついにペニーワイズを倒すが、その直前、ペニーワイズの顔は飛行船の大きさにまで膨らむ。勝利を祝うために、彼らは思い出の詰まった石切り場で泳ぐ。マカヴォイが水から上がると[02:36:57]、カメラは彼の手首にとまり、デイトジャストが(少しピンボケだが)クリアにアップで写る。ひとつ確かなことは、彼がオイスターケースを本来の使い方で使用し、この時計が100m防水にふさわしいことを証明しているということだ。
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(出演:ジェームズ・マカヴォイ、ジェシカ・チャステイン、ビル・ヘイダー、ビル・スカルスガルド)は、監督:アンディ・ムスキエティ、小道具:クリストファー・ゲギー。HBO Maxでストリーミング配信されているほか、iTunesやAmazonでレンタルも可能。
Lead illustration, Andy Gottschalk
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ロレックス デイトジャストの詳細については、ロレックス公式サイトへ。