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Year In Review 2023年に起こった、時計にまつわる気になるニュース

快進撃を続けるムーンスウォッチの熱狂から、時計業界の動向を左右する買収劇まで、2023年も腕時計に関するさまざま出来事が起こった。いくつかピックアップし、ダイジェスト形式で一年を振り返ってみよう。

 2023年はいろんなことが起こった年だった。WHOによるコロナ緊急事態の解除に伴う、海外需要のひさびさの拡大。Chat GPTをはじめとする生成AIが国連安保理を巻き込む混乱を呼び、止まらない円安に日本中が頭を抱え、WBCにおける日本の14年ぶりの優勝に舞い上がっていた。そして、我々にとって身近な時計業界においても、2023年はいくつかのトピックスがあった。僕自身、2023年はHODINKEE Japanにジョインして実に充実した、目まぐるしい日々を送ってきたのだが、そのなかで気になったいくつかのトピックスを時系列順にダイジェスト形式で紹介していこうと思う。その当時の記事へリンクも記載しているので、気になったらぜひチェックしてみて欲しい。


1年にわたって続いた、ムーンスウォッチ ムーンシャインゴールドの熱狂

2023年3月7日

 2022年3月26日、スウォッチとオメガのコラボモデルが発売されると聞いて原宿店に並んだ日のことは今でも覚えている。その日は購入者が殺到した結果警察が出動する騒ぎとなり、販売は急遽中止。後日、抽選販売が決定したが、ムーンスウォッチを手に入れられた幸運なユーザーはほんのひと握りだった。それでもなお、毎日少数のみ入荷するムーンスウォッチを求め、巡礼のようにスウォッチの店舗を訪れる人々が後をたたなかった。結局、2022年だけでスウォッチはこのコレクションを100万本以上売り上げたという。

 その狂おしいほどの熱は、1年が経過した2023年の3月に再燃する。3月の頭にスウォッチのInstagram上でティーザーが公開され、3月7日に“金”や“ゴールド”をキーワードとする新たなムーンスウォッチが発売されることをほのめかしたのだ。HODINKEE Japan編集部も3月7日の夜に日本橋にかけつけ、そのあまりに長大な列の先頭でラッキーな1人目の購入者を写真に収めた。それから毎月、我々は満月が訪れるたびにミッション・トゥ・ムーンシャインゴールドに踊らされることになった。2023年は、残すところあと12月27日(水)の“コールドムーン”を残すのみだ。果たして今回は、ムーンスウォッチをベースにどのようなアレンジを施してくるのか。その答え合わせはもうまもなくできると思うが、2024年もこの快進撃が続くのか、引き続き注目していきたい。

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時計界の重鎮、ジャン-クロード・ビバー氏がオリジナルブランドを発表

2023年3月26日

 時計を愛好する人で、ジャン-クロード・ビバーの名前を知らない人はいないのではないだろうか。氏はブランパンを再興し、ウブロでビッグ・バンを大ヒットさせ、2014年にはLVMHグループウォッチ部門のプレジデントに就任した生ける伝説のような人物だ。そんなビバー氏が、自身の名を冠したブランドの立ち上げをRTS(Radio Télévision Suisse)のインタビューで発表したのが2022年1月のこと。その後、狡猾な第三者に先に商標登録をされてしまうなどのトラブルはあったものの(発表から1時間半後の出来事。それだけ、氏の名前に価値があるということだ)、Watches & Wonders 2023の前日に無事お披露目となった。ジヴランのアトリエに150人ものコレクターや業界人が詰めかけた3月26日、“カリヨン トゥールビヨン ビバー”は姿を現した。9月にフィリップスで提供されるというこの時計は、最も手に取りやすいチタンでも57万ドル(日本円で約8172万円)という目の飛び出るようなプライスがつけられており、SNS上ではこの値づけに対する疑問も飛び交っていた。だが、価格など気にせず時計の純粋な価値を見出す人々も一定数いて、最初の発表からわずか数日で年間生産本数からして2年分を売り切ってしまったという。

 ビバー氏はブランドの今後のプランについて、2024年にはよりリーズナブルな3針モデル、2025年には難解なムーブメント構造を備えたクロノグラフウォッチをリリースする予定だとその後のインタビューで語っている。すでに氏の時計を購入した人々からは仕上げの高さを絶賛する声も上がっており、また同時にそこからのフィードバックを真摯に受け止め、ブランドは次のモデルに生かす準備もしているという。この挑戦が、自分の50年のキャリアのなかで“最後の5分間”だとビバー氏は語っていた。すでにピエール・ビバー氏という若き才能も控えているが、時計界の巨人は来年以降のモデルで業界にどのような影響を与えるのだろうか。

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ロレックスの認定中古プログラムがアメリカで正式に開始

2023年5月

 2023年3月、ロレックスは大きな市場のひとつであるアメリカでのCPO(Certified Pre-Owned:認定中古)プログラムの展開をスタートすると発表した。ロレックスが二次流通市場の参入を表明したのは2022年12月のこと。これまで同市場にまったく見向きもしてこなかったザ・クラウンからの意外なアナウンスに、時計業界には当時激震が走った。大手小売店であるブヘラと共にヨーロッパでキックオフしたCPOプログラムは、製造から3年以上が経過したモデルを正規販売店が買い取り、ロレックスで鑑定を行なったのちにOHを経て店頭で販売をする流れになっている。当初は二次流通価格の適正化が目的化という推察もあったが、店頭に並んだCPO対象モデルの価格は基本的に一般的な中古市場での価格かそれ以上となっていることがほとんどのようだ(価格はロレックスの公式ジュエラーが各自で設定する)。ただ、真贋入り混じるグレーマーケットにおいて、ロレックスのお墨付きと2年間の国際保証がつくというのはコレクターにとってもプラスになり得る。もしかしたら店舗によっては、思わぬ掘り出し物に出会えるかもしれない。

 2022年時点では、この春からブヘラ以外の小売店でも順次展開していく予定だと発表されていた。しかし現状、残念ながら日本での実施の予定はない。そこには海外のように、新品と中古品を店頭で並行に扱う文化が日本に根付いていないからとも、すでに優良な中古販売業者が多く存在しているからとも言われている。だが、2022年のデータを見ると、世界的な市場規模では日本は米国、中国に続き第3位に位置する非常に大きいマーケットだ。オンラインの記事を見ていても日本での展開を望む声が多く挙がっているなか、ロレックスからの次の報告が待たれる。

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パテック フィリップ ウォッチアート・グランド・エキシビションが東京で開催

2023年6月10日〜25日

 世界的なニュースというわけではないが、日本の時計シーンにおいてはこのエキシビジョンの開催はビッグイベントだった。2012年のドバイから始まり、ミュンヘン、ロンドン、ニューヨークにシンガポールと世界の大都市を巡ってきたこの展示会が6ヵ所目に選んだのがここ、東京だった。新宿住友ビル、その三角広場で設営された会場は過去のエキシビジョンのなかでも最大級の広さであり、パテック フィリップ・ミュージアム所蔵の190点を含む500点以上の時計やオブジェの数々、王族など歴史的オーナーが所有していた貴重なユニークピースまでもが展示されていた。我々HODINKEE Japanチームのなかにも何度か足を運んだ者もいて、時計愛好家にとっては夢のようなイベントであったと思う。だが、約2週間の会期のなかで、今展示会は業界関係者に限らず予約不要・入場無料で一般公開されていた。最終的な来場者数は6万人にものぼったという。パテック フィリップの名前を聞いたことぐらいはある、もしくは時計はよくわからないが知り合いに誘われてついてきた、という人も、会場内にはいたかもしれない。そのような人々がPPから時計の世界に興味を持ち、日本の時計業界が活性化する素晴らしいきっかけにもなったのではないかと考えている。

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ロレックスが歴史ある小売店ブヘラを買収

2023年8月

 上にも記したCPOプログラムの熱も冷めやらぬなか、8月にロレックスが世界最大規模の老舗糸系店、ブヘラを買収したというニュースが時計業界を駆け巡った。ロレックスとブヘラ(特に故ヨルグ・G・ブヘラ)が100年以上にわたって深い関係性を築いてきたことを考えると決して唐突な話ではないのかもしれないが、世界中の“ブヘラ以外”の正規小売店にとっては心穏やかではいられない事態だ。これは上記CPOプログラムの話とも少し関連があり、ロレックスは最終的な値付けは各小売業者に任せ、関与しないという方針をとってきた。これは基本的に直営ブティック戦略を行わないというロレックスの方針に基づくものだが、その前提が崩れた形になる。現状、ロレックスはすでにパートナーシップを築いている販売店との協力関係は変わらないと明言しているが、CPOプログラムの拡大も関連し、事態は来年以降大きく変わっていく可能性がある。HODINKEEでも、この動きについて注視していく予定だ。

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ブランパン×スウォッチ スキューバ フィフティ ファゾムスで長蛇の列

2023年9月9日

 またムーンスウォッチの話題か? と思ったかもしれないが、こちらはブランパンとのコラボレーションによるブランスウォッチ(BlancSwatch)についてだ。3月から続くミッション・トゥ・ムーンシャインゴールドの熱狂のさなかで発表されたこのブランスウォッチも、発売前からSNSを中心に大きな話題を呼んだ。このコラボモデルは、スウォッチによる自動巻きムーブメント システム51を搭載した直径42.3mm、厚さ14.4mmのバイオセラミック製フィフティ ファゾムスだった。6万500円(税込)という価格には3万6500円(税込)のムーンスウォッチを知っている人々から疑問の声も上がったが、システム51は90時間のパワーリザーブを備え、ニヴァクロン製の耐磁性ヒゲゼンマイを搭載した、スウォッチグループの技術の粋が詰まったムーブメントだ。今回はそこに各カラーごとに異なる装飾がデジタルプリントで施されていて、フロントから見てもバックから見ても楽しい作りになっていた。ムーンスウォッチ+αの価値としては、これで十分であるように思う。なんにせよ、ブランスウォッチの発売日には2022年3月のように、各地で長蛇の列ができていた。

 ブランスウォッチの登場は、スウォッチが今後オメガに限らず、グループ内のあらゆるブランドとのコラボレーションの可能性を示してくれた。今回はフィフティ ファゾムスの70周年というタイミングで実現した。2024年にスピーディ、フィフティ ファゾムスと同じくらい愛好家の心をくすぐる名作が周年を迎えるなら、もしかしたら用意されている可能性もあるが……。

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チャリティーオークションのOnly Watchが2024年に延期

2023年10月

 Only Watchはラック・ペタヴィーノ(Luc Pettavino)氏がデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の研究資金を調達する目的により、2005年にモナコで設立されたチャリティーオークションだ。2年に一度、主要時計ブランドから寄贈された1点もののユニークピースをオークションにかけ、その売り上げの一部が慈善団体を通じて寄付されている。2023年も当初11月5日(日)の開催が予定されており、HODINKEEでもOnly Watchに出品される時計が発表されるたびに記事として取り上げてきた。だが、10月も終わりに近づいたある日、同オークションが2024年に延期されるという報せが届いた。

 Only Watchの開催を2週間後に控えた10月17日(日)、オーデマ ピゲは同年のオークションへの不参加を発表した。これは同オークションに対する、集めた資金の使用用途に対する疑惑が報道された直後のことだ。“オーデマ ピゲはOnly Watch 2023への参加と時計の寄付をキャンセルした。これ以上のコメントはない”と、APの代表は短いコメントだけを残している。さらにその後、F.P.ジュルヌがInstagram上で協会への支持を表明する内容の声明を出し、ソーシャルメディアはこの件でさらに燃え上がった。Only Watchはこれに対し、透明性向上の取り組みを支持する文書を提供。また、2023年の財務諸表を皮切りに公認監査人による財務諸表の監査を受けることを約束しているが、残念ながら疑惑を残したままの開催は得策ではないと協会は判断したようだ。監査の結果は年明けに公開されるようだが、それがOnly Watchの潔白を証明するものになるかはまだわからない。オーデマ ピゲの反応も、気になるところである。

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ブライトリングによるユニバーサル・ジュネーブの買収

2023年12月

 2023年も終わりというタイミングで、大きなニュースが飛び込んできた。先日、HODINKEEを含む各メディアでこぞって報道されていたためすでにご存じかとは思うが、ブライトリングがユニバーサル・ジュネーブを買収、復活させるという。1894年にスイスはル・ロックルで創業したユニバーサル社に端を発するブランドで、1930年代のトリコンパックス、1954年のポールルーターなどはヴィンテージ愛好家のあいだでも高く評価されており、今なお時計史に残る伝説としてファンに語り継がれている。1989年にクォーツショックの打撃を受け、香港の投資会社に買収されて傘下に入ったものの、現在までブランドは大きな躍進もなく静かに継続し続けてきた。その背景があるがゆえに、今回のブライトリングによる買収には期待が高まっている。現状、ブランドが具体的にいつ、どのような形で再出発を行うかは発表されていないが、ブライトリングはユニバーサル・ジュネーブを社内の別ブランドとして立てていく方針を明かしている。

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