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Talking Watches 有数のコレクター ジョン・ゴールドバーガー世界に数本しかないヴィンテージを公開

ジョン・ゴールドバーガーは、真の時計学者といえる人物であり、大変な数の時計を所有する有名コレクターでもある。今回は、世界中の本物の時計エキスパートの皆さんに、彼の驚くべきコレクションの一部を初公開する。

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ジョン・ゴールドバーガーとは誰か? 彼は、NBAでプレーしている訳ではない(ただ、若い頃、彼はダンクシュートができる程バスケットボールが上手かった。私はそれをこの目で見た)。グラミー賞を取ったこともないし、ジェシカ・シンプソンや、ジェニファー・アニストン、あるいはケイティ・ペリー(この人たちなら我々も知っている)と噂になったわけでもない。仮にそうであっても、それを言いふらすような人でもない。
 実はジョン・ゴールドバーガーは、真の時計学者といえる人物であり、大変な数を所有している有名コレクターなのだ。世界の時計マーケットで彼の名前は、その専門知識、質、考え方、好みという点で知らない人はいない。彼は、100 Superlative Rolex WatchesPatek Philippe Steel Watchesなどの名著や、初期のオメガとロンジンについての本を何冊も出版している著者でもある。ジョン・ゴールドバーガーは、これらの本を単に書いただけではなく、写真撮影、デザインや本のプロデュースにも関わっていた。そして、もちろん彼の本に取り上げられた時計のいくつかは彼自身のコレクションの中のものだった。

 この有名な時計コレクターは、身長約192cmで、まるでニューヨーク州北部出身の少年のようなファッションをした、私にとって時計コレクター界のヒーローのような人物だ。過去40年の間、ジョン・ゴールドバーガーは、私が個人的に大好きでいつか幸運が訪れたときに手にしたいような素晴らしい時計に囲まれて生活をしてきた。
 つまり、今回皆さんにご覧いただくのは、これまで誰も見たことがないものばかりである。 お見せ頂く時計のいくつかは世界初公開となっている。


1940年代製ロレックス スプリットセコンド クロノグラフ Ref. 4113 (12本製造されたもののうちの1本)

 ロレックス・コレクターに取っての絶対的キングは、このRef. 4113 スプリット・セコンド クロノグラフであり。この時計は、ロレックスが製造した一番大きな腕時計であり、唯一のラトラパンテモデルだ。12本がイタリア陸軍向けに製造され、そのうち8本のみが所在が分かっている。そして、残っている時計も状態の良いものはいくつかだけで、ゴールドバーガー氏のコレクションの時計は、状態の素晴らしいオリジナルなのだ。参考までに、以前この時計が売りに出されたときのクリスティーズの価格は、116万ドル(約1億2690万円)で、この時計のように状態の良いものではなかった。

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1950年代製ユニバーサル・ジュネーブ 24時間計スプリット・セコンド AMI(イタリア空軍向けに製造)

 ロレックス Ref.4113と全く同じキャリバーのバルジュー55VBRを採用している時計で、このユニバーサル・ジュネーブは、ローマでイタリア空軍の資材調達をしていたCairelli社のために製造された大変珍しい時計だ。外径が44mmのこの時計は、”AMI Type HA-1”というエングレーブがされており、夜間飛行用(nocturnal navigation)に使用されていたようだ。 この時計は、(前述のロレックスと異なり)24時間計のスプリット・セコンドクロノグラフで、5g重くなっている点は大変興味深いところである。


1930年代製ブレゲ レトログラード永久カレンダー(珍品/初公開品)

 珍品中の珍品。このブレゲ(20世紀のパイロット・クロノグラフ以外でこのような時計は非常に稀です)は、1936年製。しかも、永久カレンダーモデル。本当に珍しい、長方形の18KWGケースのレトログラード永久カレンダーモデルだ。今回、この動画で世界初公開され、ブレゲ社自体もこの時計の存在を知らなかったものである。まさにこれは、現存3本しかないのヴィンテージのレトログラード永久カレンダーの1つ(20世紀に存在したブランドとして)といって良いだろう――その他の2本は、丸形でパテックとブレゲの美術館に展示されている。
 そのうちパテックの時計は、ケースが交換されており、Solay氏に1万3500フラン(約150万円)で販売されたもので、めずらしいRobert Cart of Le Locle社のキャリバーを採用。ジョンがこの時計を特別好きなのは、パテックやカルティエなら見つかりそうなものが、ブレゲによる製造だったからに他ならない。


1913年製パテック・フィリップ ‘ゴンドーロ’ ゴールドホイール(8本のうちの1本)

ゴンドーロは、今でも販売されているが、オリジナルとは全く別物である。これは、腕時計の黎明期にブラジルの小売店向けに生産されたもので、非常に珍しいオーバーサイズである理由は、現地市場向けのスペックで設計されたからだ。当時、パテックにとってブラジルは大変重要な市場だったので、これらのオーバーサイズのケース、ハードエネメルの文字盤、ゴールド製ムーブメントの珍品が生産された。このジョン・ゴールドバーガー・コレクションの時計は、世界に8本しかないもののうちの1本である。

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1960年代製ロレックス ヨットマスター プロトタイプ(3本のうちの1本)

ロレックス収集にまつわる物の中でも、1960年代後半にロレックスが製造したポール・ニューマン ヨットマスターのプロトタイプ文字盤は、大変なひと品だ。これは、レガッタ(ヨットレース)選手用の仮デザイン品――ご存じの通り、セーリングとロレックスの関係は大変長い歴史がある。このオリジナルのヨットマスターは、ロレックスが製造したものの中でもほとんど見ることができないものの一つで、たった3本しか生産されなかったとされる。この時計を最初に持っていたのは、エリック・クラプトン氏で、その後売りに出され、ジュネーブのロレックスの金庫に保管されていたものがゴールドバーガー氏の手にわたったという。さあ、皆さん、心してご覧あれ。


1970年代製ロレックス コスモグラフ デイトナ 6265 WGケース(珍品/初公開品)

記録づくめだったクリスティーズ主催のデイトナ・セールのあった週末に、ジュネーブでジョンにお会いする機会を得た。その折に、あのヨットマスター プロトタイプも特別だけれども、もっと信じられないようもの、これまで一切公開してこなかったものを見せたいと言ってくれた。それが、皆さんが今見ている世界にたった一つしかない18KWGケースのヴィンテージロレックス デイトナ(Ref. 6265)である。この時計は特注品として1970年代に製造され、1971年にとあるドイツの小売店に納入されたものだ。今のところ、この時計は、これ以外に見つかっていない。


1950年代製パネライ ラジオミール バイ ロレックス Ref. 6152-1(この組み合わせで生産された8本のうちの1本)

パネライ初期の腕時計は、ケースもムーブメントもロレックスのものを採用していたのはよく知られている。この6152-1は、ムーブメントのみがロレックスのものとなっている時計で、大変珍しく、40本しか確認されていない。そのうち12本は、パネライの特許であるクラウンガードを採用しておらず、6本だけがラジオミールの刻印がついた文字盤になっている。ジョンのこの時計のもう一つの特徴は、美しく退色したブラウンダイヤルである。


1940年代製パテック フィリップ カラトラバ Ref. 570 スリーカラー ブレゲ文字盤

SSケースのヴィンテージパテックには何かがあります(彼は、この時計についての本も書いるくらいである)。多くの人がこのRef. 570を手に入れたいと強く思っている。
 この時計は、典型的はカラトラバで、比較的モダンなサイズである。ゴールドバーガー氏は、これ以外にもたくさんのパテックを持っているが、あえてこの時計を選んだのは、新品のような状態で、オリジナルのオーバーサイズのブレゲの数字とスリーカラーの文字盤が美しいからに他ならない。その美しさ故に、パテックの最新カタログにて、5196Pの最も美しい時計の一つという特集を着想させるきっかけにもなった。この時計は、恐ろしいほど美しく、特にゲイ・フレアー社のライス・ビーズ・ブレスレットが最高だ。この時計もゴールドバーガー氏のSSパテックについて特集した本にも取り上げられている。

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1930年代製オメガ モノプッシャークロノグラフ Ref. CK988 Cal.33.3

ジョン・ゴールドバーガー氏に、20世紀初頭に一番美しいクロノグラフを製造したのは誰かと尋ねれば、必ずパテック フィリップと共にオメガとロンジンの名前を挙げる。この1938年製の美しい時計は、モノプッシャーのCal.33.3を採用し、文字盤のデザインは美しいセクターダイヤルになっている。この時計もゴールドバーガー氏のオメガのスポーツウォッチを特集した本にも取り上げられてい。る


1942年製ロンジン クロノグラフ Cal.13ZN

ジョン・ゴールドバーガー氏によると、このロンジンは、ネジ止め式防水ケースで、ポンププッシャーの付いたブラック文字盤の世界一美しいクロノグラフだという。もちろんそうは思わない方もいるだろう。しかし、以前にも申し上げた20世紀最高のキャリバーの一つであるゴージャスなCal.3ZNを採用している時計である。サイズは外径37.5mmで、1942年製だ。

ジョン・ゴールドバーガー氏についてもっとお知りになりたい方は、こちらから彼の公式ウェブサイトへ。彼の著書を購入したい方はこちらへ。