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A Week On The Wrist ブランパン フィフティ ファゾムス バチスカーフ セドナゴールドを1週間レビュー

最も現代的なフィフティ ファゾムスは、最も注目されていないラグジュアリーダイバーズのひとつかもしれない。


※本記事は2016年4月に執筆された本国版の翻訳です。

1953年に誕生したフィフティ ファゾムスは、2013年に60周年を記念して、徹底的なアップデートが施された。ジャック・ピカール(Jacques Piccard)が発明した海底探査機からその名を取ったバチスカーフである。バチスカーフのスタイリングは、初期のフィフティ ファゾムスとは大きく異なり、ムーブメントにはブランパンが2008年にパフォーマンス重視のスポーツウォッチ専用自社製ムーブメントとして発表し、ハイビート、ロングパワーリザーブを備えたCal.1315を搭載している。2015年、ブランパンはバチスカーフのセドナゴールドバージョンを新たに発表した。我々はちょうど、最も現代的で、最も注目されていないラグジュアリーなフィフティ ファゾムスモデルを1週間手首に着けて過ごした。

Blancpain Fifty Fathoms Sedna Gold

 最初はバチスカーフをどう捉えればよいのか、実に迷った。フィフティ ファゾムスシリーズのなかで、このモデルはサイズ的にもスタイル的にも、これまでのフィフティ ファゾムスとは大きく異なるものだからだ。現在生産されているベーシックモデルは4種類。バチスカーフ、私が“オリジナル”と呼ぶ元祖フィフティ ファゾムス、高度な技術を駆使したX ファゾムス、そして1000m防水で500本限定生産の500 ファゾムス GMTだ。元祖フィフティ ファゾムスは、今や45mmの大口径モデルとなった。スティール製フィフティ ファゾムスの小径モデルが手に入った時代が懐かしい。2003年に発表された50周年記念モデルは、サファイアベゼルと40mmケースを備え、非常に美しく、また着用しやすいモデルだった。それだけに私は長年、徒労感を感じながらも、このモデルが通常生産モデルとして復活することを願い続けてきた。

 一方、バチスカーフは直径43mmの時計で、ラグ幅23mmのストラップを使用し、厚さは13mmである。仕様上、日常使いの腕時計としてはギリギリのサイズに見えるが、セドナゴールドをケースに使っているにもかかわらず、過剰な大きさを感じさせず、むしろ違和感なく装着できたのは嬉しい驚きだった。実際、すぐに心地よい着用感が得られた。また、ナイロンストラップと美しいフォールディングバックルもセドナゴールド製で、SS製の優れた機械がゴールド製に変わっただけで、一気に豪華さが増したかのようだ。

Blancpain Fifty Fathoms Sedna Gold strap
Blancpain Fifty Fathoms Sedna Gold buckle

 セドナゴールドは、毎日見ていても飽きない興味深い素材だ。近年各ブランドよりさまざまなゴールド合金の実験的な展開が相次いでいる。ウブロのゴールドとセラミックを焼結させたマジックゴールド、ランゲのハニーゴールドなどだ。セドナゴールドは、2013年に“オメガ コンステレーション セドナ”のためにスウォッチグループが初めて発表したもので、金、銅、パラジウムを組み合わせた合金である。パラジウムは白金族金属のひとつで、ロレックスのエバーローズでプラチナが割金に使われているのと同様、セドナゴールドでも銅の存在によって起こりうる特徴的な変色を防ぐ役割を担っている。技術的に言えば、セドナゴールドは18Kローズゴールド(RG)であり、特に水と接触すると変色を早めてしまうため、ダイバーズウォッチには非常に賢明な選択といえるだろう。セドナとは、天文学に詳しい読者ならご存じかもしれないが、非常に遠い小惑星または矮小惑星(海王星の約31倍の距離)の名前であり、またイヌイット神話では海の女神の名前でもある。

 パラジウムと銅の割合が気になるところだ。銅の赤みは確かにあるが、セドナゴールドは従来のRGやレッドゴールドの合金よりも少し淡い印象で、光の反射具合によって、淡いピンクから白に近い色まで変化する。これは時計が過度にケバケバしく見えるのを防ぐ美的効果をもたらす。貴金属製のテクニカルウォッチは、気をつけないと着飾りすぎに見えることがあるが、セドナゴールドの色調によって、バチスカーフの質実剛健なキャラクターを維持することが可能となっているのだ。

Blancpain Fifty Fathoms Sedna Gold case flank

 ベゼルにはセラミックインサートが使用されており、特に海水に浸かった場合の実用性の観点から、これは優れた選択といえる。ラグジュアリーダイバーズの称号(とはいっても、驚くほど地味な存在だが)にふさわしく、ベゼルの操作はスムーズかつ正確だ。ベゼルの位置を触感で確認できる適度な抵抗があり、マーカーの位置も的確。ブランパンは、バチスカーフでベゼル操作の触感をうまく表現できていると思う。

 バチスカーフでいつも不思議に思うことのひとつに、時間が経つにつれてダイヤルのプロポーションの印象が変化するという点である。初めて見たときは、ダイヤルが少し空疎に感じられると思った。これは実用的な問題ではなく、審美的な問題だ。実際、バチスカーフは視認性に優れている。また、ベゼルも一見すると少し狭く感じられた。しかし、1週間も着用していると、むしろそれが利点に思えてきたのだ。効果としては、むしろ安らぎを与えてくれる。いずれにせよ、ブランパンはネガティブスペース(余白)を効果的に使ってきた長い歴史があり、ベゼルの狭さはこの時計に個性を与えている大きな要素だと感じるようになったのである。

Blancpain Fifty Fathoms Sedna Gold movement

 ムーブメントは先述のとおり、Cal.1315を搭載している。テクニカルウォッチにふさわしく、オペラではなく、ビジネスシーンの装いが合うだろう。とはいえ、よくできた機械であることは間違いない。ところで、このムーブメントは私がこの時計を着用した1週間、すばらしいパフォーマンスを発揮してくれた。精度の日差はまったく検出できなかった。つまりゼロだ。1週間後に約0.5秒進んだことは確かだが、正直なところ、このサンプルの性能を本当に評価するには、時計を計測装置に乗せる必要があった。もしブランパンのCal.1315の精度が工場出荷時に管理され、生産されるすべてのモデルにこの性能を安定して供給できているとしたら、それはかなり称賛に値する成果だ(COSC認定がないことは確実に問題ではなくなる)。

Blancpain Fifty Fathoms Sedna Gold wrist shot

 全体として、バチスカーフ セドナゴールドは、多くのレベルで非常に嬉しい驚きを与えてくれた。美観と装着性、そして(裏付けは弱いものの)驚異的な精度などがそれである。この腕時計を手にする人は、技術的な目的を十分に果たしながら、それをこれ見よがし誇示することのない、非常に知的なデザインの腕時計を手にすることになるだろう。ブランパンがこの時計を発表したとき、私はこの時計に気づかなかったが、A Week On The Wristでこの時計を取り上げることができ、嬉しく感じた。それがなければブランパンのデザインと技術の素晴らしさを見逃すところだったからだ。

 フィフティ ファゾムスの全コレクションはこちらから。

ブランパン フィフティ ファゾムス バチスカーフ セドナゴールド:ケース、直径43mm×厚さ13.4mm、30気圧/300m防水。ムーブメント、ブランパン自社製Cal.1315、120時間パワーリザーブ、2万8800 振動/時、35石、耐磁性、シリコン製ヒゲゼンマイ付き、価格:294万8000円(税込)

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写真を見てセドナゴールドの美しさに驚いた。記事にもあるように赤さが薄くて綺麗に見える。目立たない存在のブランパンだが物の良さは確かだと思う。