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ここ数日見てきたように、2022年はあらゆる種類の時計にとって素晴らしい年であったことは間違いないが、ここではいわばパン&バターのような、普段使いできる低予算時計(バジェットウォッチ)について語ろうと思う。低予算というカテゴリーで最も重要な要素は、もちろん予算である。だから我々は独断で、予算の上限を1000ドル(約13万3000円)にした。この予算で素晴らしい時計を確実に選べることが、以下の記事でおわかりいただけるだろう。しかし1000ドル払わなくても優れた時計は入手可能である。僕たちのバジェットウォッチ・オブ・ザ・イヤーには予算の上限の半分にも満たないモデルも含まれているのだ。
僕たちはHODINKEE編集部にバジェットウォッチ・オブ・ザ・イヤーの投票を依頼した。その結果、勝者は圧勝ではなかった。それは2022年に、いかに多くの優れた時計が発表されたかを物語っている。
しかし2022年、僕たちは長い候補リストを吟味し、10本に絞った。すべてではないが、多くは僕自身がノミネートした。誰にとってもいいといえるモデルだ。もし皆さんが僕と同様に幅広いジャンルの時計愛好家ならば、エントリークラスの高級時計1本分にも満たない価格で、以下のモデルをすべてコレクションすることだってできるだろう。
この1年間、以下の時計をいくつかレビューし、実際に購入もした。それでは、僕と同僚たちが投票した、2022年最高のバジェットウォッチを発表しよう。
勝者: セイコー 5スポーツ SKX スポーツスタイル GMT
セイコーは何年も前からセイコー 5スポーツ SKX スポーツスタイル GMTのための多くの材料を棚に眠らせていたため、このモデルの発売にはそれほど驚かなかった。ひと目見るだけで、系譜がわかるだろう。その形、サイズ、美学は、あの懐かしき低予算ダイビングウォッチのヒーローによって確立されたものに基づいているからだ。人気モデル、SKX007である。
しかしこれは、現在のセイコー 5スポーツブランドの多くにも当てはまる。SKX スポーツスタイル GMTが傑出しているのは、セイコーの新しい4R34 GMTムーブメントを搭載している点である。2022年初めに発表されたSKX スポーツスタイル GMTは、新しいセイコー 5シリーズの100m防水に肩を並べる新たな機能を追加し、僕が生まれて初めて時計に触れるよりも前からセイコーマニアが見ていた夢を(少なくとも美学的には)を叶えた。GMTムーブメントを搭載したSKXだ。
その詳細は以下のとおりだ。セイコー 5スポーツ SKX スポーツスタイル GMTは3色で発売を開始。ステンレススティール製ブレスレット、回転式24時間ベゼル、3時の位置に拡大レンズ付き日付表示、セカンドタイムゾーンを指す4本目の“コーラー式”24時間針。ケースは幅42.5mm、厚さ13.8mm、ラグからラグまでの長さは45.7mm。ドリルラグ仕様。100m防水。
発売された瞬間、これは手に入れなければと思い、すぐにブルーパープルのダイヤル、ブルー/ブラックのベゼル、そして赤いGMT針を持つSBSC003(北米ではSSK003)モデルを入手した。夏のあいだ、何度も着用した(多少大きめのサイズが袖をわずらわすことがなかったから)。旅行のお供に最適で、SKXの血統のなかでも本当に楽しいモデルである。作りのしっかりしたブレスレットと、ぐらつきのないエンドリンクは、これまでのSKXから大きく進化した。SKX スポーツスタイル GMTは、そのラグ幅に適合するあらゆるストラップが装着可能だ。
価格は5万2800 円(税込。北米では475ドル)。旅行にも使える日常使いの時計として、十分な票を集めたのはまったく不思議ではない。しかし、このリストには、低予算の選択肢がまだまだ多くある。
僅差の得票: ムーンスウォッチ、Apple、タイメックス
続いて、スウォッチ×オメガのムーンスウォッチ、Apple Watch Ultra、そしてQ タイメックス ヴィンテージ HODINKEE リミテッドエディションというまったく異なる3つの時計がランクイン。それぞれ異なる特徴を持ちながら、1000ドル以下の価格帯で販売されているのが興味深い。
(HODINKEE編集部内外での)ムーンスウォッチ人気には、それほど驚かない。この時計は確実に時計業界で2022年最大のニュースだったのだ。独自開発素材のケースとクォーツムーブメントを搭載し、価格は3万3550円(税込。北米では260ドル)でありながら、スピードマスターを彷彿とさせるカラフルなデザイン。発売から9カ月が経ってもなお、注目商品であり続けている。
実をいうと、僕は先週ようやくムーンスウォッチを入手した。どういうわけか(たぶんアラスカプロジェクトの雰囲気を感じたから)僕はミッション・トゥ・マーズ(Mission to Mars)を手に入れたのだが、そのカラーと自分の好きなストラップを合わせるのがとても難しいとわかった。ジュピター(Jupiter)かネプチューン(Neptune)にすればよかったかもしれない。まあ、少なくとも安く入手できた。
さて次だ。この記事を書いている僕の手首には、Apple Watch Ultraが装着されている。ここ数年、スマートウォッチが好きになってきた。とはいえ、昔ながらの音を発しない時計をつけたい気分も消えてはいない。ただ好きだから、だから好きなのだ(でも2本装着するのは嫌だ)。しかし、会議で忙しい日や、運動時、あるいはスマートフォンを家に置いたまま、歩いている最中に電話を取りたいときなど、Apple Watch Ultraは実に素晴らしいツールになる。
美しい仕上げ、多くの機能、多くのストラップ。さらに通常のApple Watchよりいくつかの特別な機能が追加されている。より大きく明るくフラットな画面、チタン製で100m防水(スタンダードモデルは50m)、高精度なデュアルGPSアンテナ、約2倍のバッテリー寿命などだ。それからダイブコンピューターとしても使用可能。いろいろなことができるApple Watchが欲しいなら、これを選ぶべきなのは明らかだ。価格は12万4800円(税込。北米では799ドル)で、マルチスポーツ用スマートウォッチという分野で大きな競争力を有する製品である。
最後に、タイメックスの可愛らしいモデルをふたつ。僕たちの限定モデルチームがタイメックスと共同で制作したQと、38mmの美しいジョルジオ・ガリ S1 オートマチックだ。自分たちが携わった限定モデルをリストに入れるのは少しおこがましいが、189ドル(約2万5000円)という価格には見合うだけの価値が十分にあると確信している。38mm径で、旅行に便利な12時間ベゼルを備えたQ タイメックス ヴィンテージ HODINKEE リミテッドエディションは、工具なしで簡単にサイズ調整が可能なSS製ブレスレットとマッチした、繊細でクラシックなヴィンテージの外観を持つ。調整は本当に簡単で、僕の妻はすぐにできた。自分の手首に装着できるよう、僕はまだすべてのコマを元に戻してはいない。
もっとモダンでエレガントなものをお望みだろうか? タイメックスのジョルジオ・ガリ S1に僕たちは深い感銘を受けた。この時計にはいくつかのバージョンがある。すべて38mmで、自動巻きムーブメントを搭載する。そしてタイメックスの長年のデザインディレクターの名前を冠した美しいケースとダイヤル。クラシックなデザインにモダンなテイストを加えたこの時計、価格は450ドル(約6万1350円)。このリスト上の、カジュアルなダイバーズウォッチやクロノグラフに代わる素晴らしい選択肢だ。
お好きなダイバーズを
しかし、もしあなたがダイバーズウォッチ、しかも予算の上限に近いものを望むなら? 2022年にはダイバーズウォッチが数多く発表された。そのなかで、シチズンのチャレンジダイバーと大胆な色使いのフェーラーのアクアマティックという、まったく異なるテイストのふたつのモデルが候補にあがった。
シチズンのスーパーチタニウムを使用したクラシックなダイバーズウォッチは、シンプルかつ明快なネオヴィンテージルックでありながら、腕にほとんど重さを感じさせない1本だ。自動巻きムーブメントを搭載し、カラーはブラックとブルーの2色。2022年のつけ心地のいいダイバーズウォッチを探しているならば、この繊細かつ明快なシチズンで決まりだ。手首につけているのを忘れてしまうだろう。
装着時の存在感という点で正反対なのが、フェーラーのアクアマティックだ。伝統的な38.5mmのSS製の自動巻きダイバーズウォッチで、1in²あたりの色の数ではムーンスウォッチにも劣らない。絶妙なサイズと楽しい色使いのアクアマティックは、ダイバーズウォッチとして必要な機能を備えていると同時に、休日を楽しんでいるような気分にさせてくれる。クイックチェンジ機構が付き、素晴らしいブレスレットを簡単に交換可能だ。
どちらも、2022年のエントリーレベルのダイバーズウォッチの多様性、品質、成熟度を代表するモデルでありながら、上限をわずかに下回るコストで購入できる。両方ともリストに掲載することができて何よりだ。
風変わりなもの、素晴らしいもの
次に、ブローバのウィルトン GMTとシチズンのアクアランド JP2007-17Wという、これもまったく異なるふたつの腕時計を紹介しよう。ウィルトン GMTは、1000ドル以下で“フライヤー”GMT機能(ローカルジャンピングアワーGMTとも呼ばれる)を搭載している。セイコー 5スポーツ SKX スポーツスタイル GMTの“コーラー”GMT機能とは異なり、ほかの針を動かさずにタイムゾーンの設定が可能で、ウィルトン GMTは、旅行中のタイムゾーンの変更に最適である。
ここ数年、このようなGMT機能が、徐々に低価格帯で入手できるようになり楽しみが増えた。ウィルトン GMTも、そういうモデルのひとつだ。2023年には、同じMiyota 9075ムーブメントを搭載したお手頃価格の時計が数多く登場することを期待したい。
最後に、僕が自信を持ってノミネートした時計、シチズンのアクアランド JP2007-17Wを紹介する。僕のスカーファ M.S.22(限定版でとっくに完売)と並び、このアクアランドは、2022年の僕のお気に入りの時計だ。特に1000ドル以下ということであれば、間違いなくそうだ。まだアメリカでは販売されていないが、この蓄光ダイヤルのアナデジタイプのダイビングウォッチは、僕が2022年に最も驚かされた魅力的な時計のひとつである。
幅50.8mm(9時の位置の圧力センサーを含む。それ以外は44mm)、厚さ14.4mm、ラグからラグまでの長さ47.7mm。写真で見る限り、好きになれそうな時計とは思えなかった。しかし、その装着感は驚くほど良好なのだ。たしかに大きく(というか小さくない)、夏に使うサブ機のような印象だったが、実際につけてみると、厚みがなく、全長が比較的短いため、僕の手首に驚くほどよくなじんだ。分厚いラバーストラップはボーナスポイントだ。手首にしっかり固定し、まるで特殊部隊員のような気分にさせてくれる。
使う楽しさだけではない。JP2007-17Wは、明るく素晴らしい蓄光ダイヤル、12時の位置の便利なデジタル表示(曜日/日付、クロノグラフ、セカンドタイムゾーン、水深計などを表示可能)、60クリックベゼル、そしてダイヤルカラーと合うダークケース仕上げが特徴である。
僕はこのモデルを日本版プロプロフだと考えるのが好きだ。そして、だいたい500ドル(約6万6200円)前後というネット上でよく見かける価格帯であることを考えれば、お財布に優しく(そして驚くことに手首にも優しい)、しかもユニークなダーバーズウォッチ体験をお望みであれば、このがっしりした、多機能で、光をしっかりと放つシチズンのアクアランドを僕は心からおすすめする。ただし、写真だけでその魅力を理解するのはいささか難しいと思う。実際に手首につければ、間違いなく僕の個人的バジェットウォッチ・オブ・ザ・イヤー2022だ。
倹約家の手首にはいい年だ
というわけで、あらゆる種類の、すべて1000ドル以下の時計をご紹介した(しかも多くは1000ドルを大きく下回った)。最初に述べたように、2022年は時計に夢中になるには絶好の年だ。予算が限られているからといって、手首につける時計への情熱や選択肢を制限する必要はないのだ(悲しいかな、金無垢は別だが)。
今回はオーソドックスなものからカラフルなもの、そしてちょっと風変わりなものまで、2022年の1000ドル以下のベストウォッチをご紹介した。2022年は予算が限られていても、素晴らしい時計に数多く出会える年なのだ。
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