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皆さんは2018年の12月、私たちがジャガー・ルクルトのマスター・ウルトラスリム・ムーン・エナメルを紹介したのを思い出すかもしれない。限定エディションの18KWG製ドレスウォッチであり、美しいブルー・ギヨシェ・エナメル文字盤と、既存のCal.925のパワーリザーブを約40時間から70時間に引き上げた高性能ムーブメントを特徴としていた。
私たちが2019年に訪れたSIHHでは、その時計のより大きな全体像が明らかに。18KWGケースとブルーエナメルのギヨシェ文字盤を採用したこの新作は、高評価を得たマスター・ウルトラスリム・シリーズを踏襲する新たな3部作である。各モデルのムーブメントは、以前のマスター・ウルトラスリムのムーブメントに改良が加えられたものだ。最新のジャイロトゥールビヨンを合わせると、この3本の複雑系マスター・ウルトラスリムは、JLCを超える腕時計製造技術は存在しないこと、また正当な理由によりグランメゾンと呼ばれていることを想起させる好例となっている。そして、JLCは、この種の複雑系腕時計の領域の新参者ではない。彼らは、時計製造術における多くのビッグネームがその複雑機構の製造を外注していた大昔の時代にも、その技術を自社で有していたのだ。
マスター・ウルトラスリム・トゥールビヨン・エナメル
マスター・ウルトラスリム・トゥールビヨン・エナメルは、時刻と日付表示付きの50本限定バージョン。この腕時計のムーブメントはCal.978で、技術的にも審美的にも以前の設計を改変した内容になっている。この新キャリバー978Fの裏面には、サンレイ仕上げが施され、サンレイパターンがトゥールビヨンケージから放射されている。私にとってこの仕上げは、標準的なCal.978よりも審美的に興味深いキャリバーであると思わされる。また、この腕時計の48時間というパワーリザーブは、標準的な978の38時間と比べて10時間長い。10時間はとてつもなく大きな差には思えないかもしれないが、978よりも25%以上長いパワーリザーブを実現したことになる。寸法はケース径40mm x 12.13mmで、私たちが近年の見てきた他の一部のトゥールビヨンと比べても特に薄型ではない。しかし、この深みのある構造をもった職人的なギヨシェエナメル文字盤を持つ、フルローター自動巻きトゥールビヨンについて私が見なす「薄型」の範疇には、確実に入っている。また、日付用サブダイヤルの数字がフロスト加工を施したレリーフから浮き上がるデザインも気に入った。ドーフィン型の針と数字も、同様に素晴らしくシャープな出来栄えである。
上の写真の裏蓋を見れば分かるとおり、ほどよく装飾されたムーブメントとなっており、金のローターのカットアウトは、見る者をますます虜にするデザインである。
マスター・ウルトラスリム・パーペチュアル・エナメル
次に、マスター・マスター・ウルトラスリム・パーペチュアル・エナメルを見ていこう。この腕時計は、JLC 868ムーブメントのアップデートバージョンであるJLC 868A/2が動力源になっている。868/1ムーブメントを有していた前の世代のマスター・ウルトラスリム・パーペチュアルと比較すると、表示部分の多くが180°回転したように見えるのが分かるだろう。ムーンフェーズが文字盤の下部に移り、月の位置はいずれかの半球部分に表示されるようになっている。さらに、1~12月を表示するサブダイヤルの内側の2つの窓から暦年が読み取れるようになっている。
以前のバージョンでは、暦年は7時と8時の間の1つの窓に表示されていた。私が思うに、両方のバージョン共に優れた外観をしているが、新しいバージョンの方がより左右対称のデザインになっているぶん、ポイントを稼いでいる。もちろん、この本作は、より複雑なエナメルダイヤルの恩恵も受けている。前バージョンと同様、この新作のケース径は快適な39㎜になっているが、ケース厚は先代の9.2mmよりわずかに厚い10.44mmとなった。私は、このわずかな厚みの増加は、ダイヤルの美しさから得る満足を考慮すれば、許容範囲だと考える。また、この時計のパワーリザーブは、約38時間だった前バージョンの2倍近い70時間になっている。このマスター・ウルトラスリム・エナメルは、100本限定販売である。
2019年のSIHHで発表された新マスター・ウルトラスリム・パーペチュアル・エナメル。
2016年のSIHHで発表された、黒文字盤のマスター・ウルトラスリム・パーペチュアル。
マスター・ウルトラスリム・ムーン・エナメル
最後に、マスター・ウルトラスリム・ムーン・エナメルを見てみよう。マスター・ラインの本シリーズの限定版エナメル3部作における他の2本と同様、このモデルも18KWGのケースに収められ、ギヨシェエナメル文字盤を有している。前述したように、このモデルは、JLCの925と925/2を改良したキャリバーを有しており、シングルバレルで作動し、2万8800振動/時を維持しつつ、より長いパワーリザーブを実現している。つまり、理論上は週間労働時間内において日々着けていられる時計になっている。週末にスポーティな装いに切り替えた後、月曜の朝に腕時計を着けて仕事に戻る際にその時刻や日付、ムーンフェーズを再設定する必要がないのだ。
この100本限定モデルのケース径は39mmで、厚みは1cmをごくわずかに超える10.04mmとなっている。トゥールビヨンとパーペチュアルと同様、このモデルもブルーのアリゲーターストラップ付きだ。
価格はムーンフェーズが368万円、パーペチュアルが564万円、トゥールビヨンが888万円。(いずれも税抜価格)詳しくはジャガー・ルクルト公式サイトをご覧ください。