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ポスト・パンデミックのウエディングシーズンが盛り上がっている。ということは、あらゆる場所でカップルたちがハレの日のための特別な時計について考えているということだ。このシリーズでは、2021年の結婚式で着用した、あるいは着用する予定の時計を紹介してくれるカップルをお迎えする。あなたも登場したい? それなら、Eメール(community@hodinkee.com)で我々にご連絡を。
ディパヤン・グプタ(Dipayan Gupta)氏とエリック・ジョンソン(Erik Johnson)氏はまったく異なるバックグラウンドを持っている。グプタ氏はインドに生まれ、トロントとニューデリーで幼少期を過ごし、2000年にアメリカにやってきた。ジョンソン氏はカリフォルニアに生まれ、20代をボストン、ニューヨーク、サンフランシスコで過ごした。2人がニューヨークで出会ったとき、自分たちには多くの共通点があることを知った。2人ともアートが大好きで、二回めのデートではメトロポリタン美術館を訪れた。そして共にタコスが大好きだった。どこのタコス屋がいいかについては意見が分かれたけれど。
表面的には、時計は彼らの共通項ではない。グプタ氏にとって最初の「大人の」時計はポップなスウォッチだった。彼は人生の大きな節目を新しい時計で彩ってきた。例えばアメリカ移住の記念に購入したロレックス デイトジャストのように。ジョンソン氏にとっての最初の時計も、文字盤がラバープロテクターで覆われたスウォッチだった。しかし、彼は今ではむしろApple Watch派だという。
しかしながら、我々がこのカップルに家族から受け継いだ時計についてたずねると、あるテーマが浮かび上がってきた。グプタ氏の祖父で第二次世界大戦の際にイギリス領インド陸軍に所属していたハーバクシュ・シン(Harbaksh Singh)中将は、その腕にオメガをまとっていた。退役後に毎日その時計を巻き上げる祖父の姿を見ていたことを、グプタ氏は覚えている。ジョンソン氏の父親のステンシル・ジョンソン(Stancil Johnson)医師は、ディスクゴルフというスポーツのパイオニアであった。ステンシル・ジョンソン氏が今年この世を去ったあとに、彼の息子がオメガ シーマスターを受け継いだ。
新型コロナウイルスによる多くの制限がまだ残るなか、このカップルはワクチン接種を完了した少数の友人らをテラスに集め、2人の宣誓の証人となって司祭を務めてもらった。2人が共に身にまとったBodeは、インドの生地と西洋的デザインを融合させた服を作るダウンタウンのデザイナーによるもので、そのテキスタイルはディパヤンさんにインドでの幼少期を思い起こさせた。「国際的カップルであり、異人種のカップルでもあるため、どちらかにとって普通なことが相手にとってはそうでないということが数多くあり、これはそれぞれの幼少期の経験からくるものです」と彼は語った。しかしインドの首都からカリフォルニアの海岸線まで響き渡るオメガへの親しみと同じように、2人をつなぐ絆(そして時計)は強力だ。
HODINKEE:ディパヤンさん、式で着用する時計をどのように決めましたか?
ディパヤン: 私は普段から頻繁に着けているロレックスのデイトジャストを着用しました。アクセサリーと時計に関しては、1つのものをダメになってしまうか飽きても使い続けます。私が持っているのはステンレススティールのもので、ゴールドの指輪と相性が悪いかと心配していました。でもある解決法を見つけたのです。シーク教の家庭に生まれたものとして、私はまったく身につけることのなかったカラ(SS製のバングル)を持っていましたが、両親に敬意を表し、残念ながら彼らが参加できなかった式でそれをつけました。そして私は、SSのロレックスを片腕に、SSのカラをもう片腕にまとうことで、異なる金属を組み合わせることへの心配が解消することを発見したのです。今ではカラを24時間365日身につけています。母はきっと大喜びしているはずです。
HODINKEE: 最初にロレックスに引きつけられた理由は?
ディパヤン:経済性を保ちながらラグジュアリーを実現していることです。
エリックさん、Apple Watchのどこが好きですか? 時計にまつわる家族の歴史を掘り下げたことで、機械式時計を着けてみたくなりましたか?
エリック:以前に使っていた時計では、ファッション性と機能性がせめぎ合っていました。見た目の美しさよりも機能性に重点を置いた時計をつけるのはこれが初めてです。Apple Watchに惚れ込んだポイントはフィットネス・トラッキング機能ですが、支払いが手軽にできて、基本的にどこでも使える点もとても気に入っています。MTA(ニューヨークの公共交通事業)の改札の非接触型決済システムによって、手軽に地下鉄に乗れます。パンデミックのあいだは非常に助かりましたね。私のApple Watchにはなんら感動的な意味合いや家族の歴史としての感覚はありませんが、そのテクノロジーは目を見張るものがあります。ただ、私は今のところすべての触覚フィードバックと通知をオフにしてしまっていて、より時代を超越する時計にどんどん誘惑されるようになってきています。
ディパヤンさん、おじいさまの懐中時計について知っていることは何ですか?
ディパヤン: 最近母が持ってくるまで、私は実際にその時計を目にしたことがありませんでした。曽祖父のハーナム・シン(Harnam Singh)が持っていたもので、裏側に彼のイニシャル「HS」が刻まれています。私はHODINKEEのおかげで、それにはパルスメーターがついていることを知りました。曽祖父はパンジャーブ州にあるバッドラッカンという村で医師をしていたので、これは理にかなっています。
おじいさまのオメガについて知っていることは? 彼らとその時計との関係について共感できる部分はありますか?
ディパヤン:彼の息子、つまり私の祖父がつけていたオメガをよく覚えています。私は祖父母と同じ家で育ったのですが、毎朝祖父が廊下にある大型の振り子時計を巻き、それから自身のオメガを巻くことで一日が始まるのです。
これらの時計はどちらも目的に沿って作られ、装飾はありませんでした。この感性を、祖父から母を通じて(間違いなく)私も受け継いでいます。それは私が機械式時計に引きつけられる理由でもあります。ずっと使えるもの、儀式を強いるものを作り出す努力に敬意を感じます。機械式時計では、時間をセッティングするための時間を自分の時間から割かなければならないわけです。
エリックさん、お父上の時計について知っていることは何ですか? その時計にまつわるお父上との思い出は? 一緒にどんなことをするのが好きでしたか?
エリック: 父はいつも最新のガジェットを持っているタイプでした。彼は最初期の携帯電話を持っていて、それは靴箱ぐらいの大きなケース入りでやたらと重かった! 父は精神科医であり、フリスビーの熱心な愛好家で、ディスクゴルフというスポーツのパイオニアの1人でした。1970年代に『フリスビー』という権威ある本を書いています。こんな風変わりな性格でテクノロジーを愛していたのに、彼は私が覚えている限り2本の時計しか着けませんでした。医学部卒業後に自分で買ったらしいオメガと、私の継母からプレゼントされたモバードです。私が小さい頃は毎年父と2人で旅行に行ったもので、一緒に行ったさまざまな国立公園やあらゆる場所でオメガを着けていたのを覚えています。
多くの結婚式や宣誓では時間に言及します。今までカップルとして過ごした時間のなかで学んだことは? 結婚後の未来に最も期待することは何ですか?
おふたり: 私たちは「太っても、禿げても」という一節を宣誓に潜り込ませました。誰も時の流れには逆らえないからです。共有する関心事のおかげで、私たちは関係の大部分で無理なく同調することができます。しかし二つの円の重なりから外れたところに大事なポイントがあるのも事実。私たちは世界の異なる地域の出身であり、しばしばまったく異なる視点を持っています。この違いの多くはアイデンティティに根ざしたものなので、それを共有して互いに認め合うのはひと苦労です。しかし、これは大切で為になる苦労であって、それによってよりよい人間になれると考えています。
これから期待することとしては、正直なところ、もう一度世界が開かれることにワクワクしています。私たちの結婚や、延期を余儀なくされた友人たちの人生のビッグイベントを祝えるときが待ち遠しいです。
Hero image: Tiffany Wade
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