先日、タグ・ホイヤーは、ポルシェとのパートナーシップを継続し、ポルシェ 911 カレラ RS 2.7 の誕生から50周年を記念する特別限定コレクションを発表。これを記念して、タグ・ホイヤーはヨーロッパのトップ RS(ドイツ語でレースを意味するRennsportの略)コレクターたちをパリの街角に招待し、彼らは愛車で登場した。スティール製とローズゴールド製の2モデルは、オリジナルのカレラ RS 2.7から直接デザインインスピレーションを得たもので、このクルマが大きな発表の舞台となった。
カレラという共通のネーミングにより、タグ・ホイヤーの基礎となるコレクションにクリエイティブなアプローチが可能になった。具体的には、文字盤とケースに"Carrera"の文字が刻まれているが、レギュラーコレクションに見られる標準的な書体ではなく、ポルシェ・カレラのフォントで描かれているのが特徴だ。
スティール製ではケースサイドのエングレービングがブルーラッカーで塗りつぶされていて、ゴールド製は一転して控えめな仕上がりになっている。ふたつのタイムピースのカラーは、RS 2.7(史上1500台しか生産されなかった)の象徴的なカラーであるブルーとレッドから選ばれている。これらのカラーは、ホワイトにペイントされた車のサイドに大きく「Carrera」と描かれたのと同じものだ。
スティールブルーのモデルで目立つのは(ダイヤル以外)、同じカレラのプリントと遊革にポルシェのブランドロゴが入った白いファブリックストラップだ。このモデルには、ステンレススティールのブレスレットも付属する。
赤いアクセントが入った文字盤のモデルには、全体のデザインに温かみのあるトーンをもたらすローズゴールドが選択され、赤いレザーストラップと組み合わされている。どちらのモデルも80時間のパワーリザーブを有するタグ・ホイヤーのCal.ホイヤー02自動巻きムーブメントを搭載しており、数量は限定だ。
スティール製のモデルは500本限定で価格は93万5000円、ローズゴールドは250本と少なく、価格は278万8500円だ(すべて税込)。
私はこの2モデルの新作発表会のためにパリに滞在していたため、この時計の本来の姿、つまりデザインのインスピレーション源である実車に触れることができた。ヴィンテージのRS 2.7カレラで市内をクルージングするのは、正直言って楽しいものだった。今週、私は数台のRS 911(基本的にポルシェの最もハードコアなパフォーマンスカー)の助手席に座ったが、これらの車のオーナーとは、収集と鑑賞という共通の言語があったからこそ、心を通わせることができた。これらの車の多くは6桁ドルの価格だった。ある特別な軽量レーシングバリエーションは、今日100万ドル以上で取引されている(その車のオーナーは売るつもりはないそうだ)。
写真: ダニー・ミルトン
写真: ダニー・ミルトン
パリのサン=クルーで勢揃いしたポルシェ 911カレラRS 2.7sの多彩なカラー&ペイントバリエーション。写真: ダニー・ミルトン
RSのドライバー、オーナー、コレクター、呼び方がどうであれ、彼らは自分のクルマに執着しているのだ。運転されるためにあり、そして彼らはポルシェを運転するのだ(何度か、ヴィンテージシートベルトがまだ適切に機能しているかを確認する必要があった)。
シャトー・ドゥ・バロンヴィル(Château de Baronville)にて、新作ウォッチの発売を記念してポルシェ 911が集結した。 写真: ダニー・ミルトン
タグ・ホイヤーのこのようなリリースを見て、ちょっと生意気だな、インスピレーションがないなと思うかもしれない。どう考えてもいいのだが、コンテクストがないところにそれを加えることが重要だと思うのだ。
まずは、純粋にデザイン的な観点から、時計そのものについて説明しよう。私はこのデザインに引かれるだろうか? そうとも言えないのは、この時計が少し大きいと感じるからだ。少し厚みがあり、全体的なデザインは、私が好きな時計よりも遊び心があり、自動車にインスパイアされたものだ。カレラのブランドロゴが入ったファブリックストラップ? 私の好みではない。ローズゴールドの赤いレザーストラップは? 私は赤いストラップは好きではない。でも、あのヴィンテージポルシェを思い返すと...。
また、タグ・ホイヤーとポルシェのパートナーシップや、今回のリリースがこれまでの時計といかに大きく異なっているかについても考えなければならない。従来のモデルが完全にモダンであったのに対し、このモデルはユニークな方法でヘリテージを追求している。タグ・ホイヤーは、クラシックなホイヤー・クロノを再現するのではなく、自動車のヘリテージだけを注入したモダンウォッチを作りあげた。それはまるで、ウォッチカー、またはカーウォッチといったところだろうか。
このような数量限定のリリースは、それが何であるかよりも、何を表現しているかがはるかに重要だ。真のカーガイたちは、これを非常に魅力的なものだと思うだろう。私が一緒に過ごしたRSのコレクターたちは、本当に興奮していた。
しかし、カレラという名前だけでなく、タグ・ホイヤーとポルシェのあいだには共通のヘリテージがあるのだ。このような共同ブランドのような形で、このふたつが本当にクロスオーバーしたのは、実は今回が初めてで、その事実に衝撃を受けている。
ポルシェ カレラ 911 RS 2.7をもう少し理解すると、そうでなければキッチュと思うかもしれないものを評価できるようになる。カレラの名を冠した最初のクルマの50周年を、同じ名を時計学的に有名にした時計ブランドと祝しているのだ。限定モデルは、個性的であるべきであり、祝典であるべきだ。今回のリリースでは、その両方の条件を満たしている。
タグ・ホイヤーとポルシェは、もっと保守的なアプローチも可能だったはずだ。しかし、両ブランドは面白さを追求し、他のクロノグラフコレクションとはまったく異なる限定ウォッチを製作した。スイスの時計産業が楽しんでいるなら、私はそれを応援したい。
基本情報
ブランド: タグ・ホイヤー(TAG Heuer)
モデル名: タグ・ホイヤー x ポルシェ 911 カレラ RS 2.7(TAG Heuer x Porsche 911 Carrera RS 2.7 Limited Edition)
直径: 42mm
ケース素材: スティールまたはローズゴールド
文字盤色: ホワイト
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: スティール製ブレスレットとファブリックストラップ(スティールモデル)、レッドレザーストラップ(ローズゴールドモデル)
ムーブメント情報
キャリバー: Cal. ホイヤー02
機構: 時、分、秒、日付、クロノグラフ
パワーリザーブ: 80時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 4Hz
石数: 33
クロノメーター認定: なし
価格 & 発売時期
価格: スティール 93万5000円、ローズゴールド 278万8500円(ともに税込)
発売時期: 今すぐ
限定: スティール 500本、ローズゴールド 250本
HODINKEE Shopは、タグ・ホイヤーの正規販売店です。タグ・ホイヤーの詳細については、タグ・ホイヤーのウェブサイトをご覧ください。
タグ・ホイヤーはLVMHの一員です。LVMH Luxury VenturesはHODINKEEの少数株主ですが、編集の独立性を完全に保っています。