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Hands-On ロレックス オイスター パーペチュアル デイデイト 40 ジュビリーゴールドをハンズオン

ゴールドの魅力をそのままに、華やかさを少し抑え、見ていて心地よいストーンダイヤルを備えたモデルだ。

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Watches and Wonders 2026で発表された数多くのロレックスの新作のなかで、実際に手に取って確かめたくなる1本を挙げるとすれば、それはジュビリーゴールドを採用した新作デイデイト 40である。というのも、これはロレックスにとって20年以上ぶりに発表された新たなゴールド合金だからだ。2005年にエバーローズゴールドが登場して以来、同社が新しいゴールド素材を発表するのは実に久しぶりのことである。

 ジュビリーゴールドは明らかにこれまでとは異なる意外性と独自性のある素材だ。だがこの貴金属が実際に見せる表情は驚くほど控えめで、場合によっては抑制的にすら映る。ある光のもとではやや褪せたイエローゴールドのように見え、別の環境ではよりクールで、わずかにシルバーがかった性格を帯びる。ロレックスはここで、これまでとは少し異なる方向の魅力を打ち出そうとしているように見える。露骨なラグジュアリーさではなく、静かな自信である。

 YGの力強く豊かな暖色感や、エバーローズの銅色がかった輝きとは異なり、ジュビリーゴールドは意図的に繊細なトーンに仕上げられている。ケースやブレスレットの輪郭は光を受ければなおきらめくが、その表れ方はほかのゴールド合金に比べるとわずかに穏やかに感じられる。ロレックスはこの色調をイエロー、グレー、ピンクのブレンドと説明しており、実際に乗せるとまさにその説明どおりの振る舞いを見せる。光の加減によって、暖かさと冷たさのあいだを行き来するのだ。

 新しいジュビリーゴールドのデイデイトは、一般的な金無垢ロレックスとは手首に着けたときの見え方がやや異なるようにも思える。YGのデイデイトはひと目で視線を引きつけ、強い存在感を放つ。だがジュビリーゴールドのデイデイトはそうした主張を前面に押し出すというより、ほのめかすような魅力を備えている。その輝きは光の加減によって、YGとエバーローズ、さらにはわずかに暖かみを帯びたホワイトゴールドの中間のどこかに落ち着く。明るい日差しの下ではよりゴールドらしく見えるはずだが、屋内の人工照明ではよりクールに振れ、ほとんどシャンパンカラーのようなトーンを帯びることもある。

 また、手首への収まりやすさという点では通常36mmのデイデイトのほうがより幅広い人に向く選択肢と見なされることが多いが、40mmケースもロレックスにおける静かな成功例のひとつであり続けている。ケースとブレスレットの両方がゴールドであっても、ジュビリーゴールドの抑えた色調であればもっとも大ぶりなデイデイト 40がいっそう自然に着けこなせるように見えるかもしれない。

 ケース素材が知的な見どころだとすれば、ロレックスがもう少し表現の幅を見せているのはダイヤルである。デイデイトはこの新しい金属に、ライトグリーンのアベンチュリンダイヤルを組み合わせた。これは石英の結晶構造によって表面に繊細な斑点状のきらめきと揺らぐような質感が生まれる天然石で、その色合いは翡翠と淡いエメラルドグリーンのあいだにあるような印象だ。ダイヤルには10個のバゲットカットダイヤモンドのインデックスが配され、残されたスペースは曜日と日付の開口部のみである。その仕上がりは視覚的に豊かでありながら、過剰には感じさせない。宝石を用いたダイヤルでロレックスが長年かけて磨き上げてきたバランス感覚が、ここにも表れているようだ。

 言うまでもなく、アベンチュリンのストーンダイヤルは扱いが難しい。神秘的に映ることもあれば、装飾過多に感じられることもある。しかしここでは、淡いグリーンの色調と石が放つやわらかなきらめきが、ジュビリーゴールドの抑制された色味とうまく調和している。バゲットカットダイヤモンドのインデックスも、ダイヤルを支配することなく、視覚的なリズムを加えている。

 さらにここには、控えめながら象徴的な含みもある。グリーンは以前からロレックスを象徴する色として知られており、このストーンダイヤルは1926年に誕生した防水ケース構造、オイスターケースの100周年を祝うタイミングで登場した。

 実際に手にすると、この時計は華やかなジェムセットのデイデイトというより、静かな高級感を讃えたドレスウォッチとスポーツウォッチのあいだに位置する一本として映る。デイデイトがこうした着地を見せるのは意外であり、それこそがこのモデルを魅力的な存在にしている理由のひとつである。このジュビリーゴールドのデイデイト 40は、いわゆるオフカタログのリリースである。つまり、通常のロレックスの店頭ラインナップには含まれず、生産本数もきわめて限られる可能性が高い。そう考えるとこれは一般的な新製品の発表というより、新素材のショーケースと捉えるべきだろう。将来的にこの合金をほかのモデルへ展開していく可能性を見据えつつ、まずはジュビリーゴールドを紹介するための手段なのである。

 価格は約6万2700ドル(日本円で約1000万円)で、特別なダイヤルを備えた現行デイデイトの価格帯にしっかり収まっている。ただし、コレクターにとってはこれまで見たことのない新たな金属素材という興味深さが加わる。遠目には、デイデイトの文字盤や素材を変えただけのバリエーションのように映るかもしれない。だが素材の変更をきわめて慎重かつゆっくり進めてきたロレックスの文脈で見れば、ジュビリーゴールドは真に意義深い進化である。同時にそれは、ロレックスのデザインがこれからどこへ向かおうとしているのかを示す興味深いサインでもある。より主張の強い貴金属表現ではなく、より控えめで繊細な方向へ向かっているということだ。

 エバーローズがロレックスにとってローズゴールドへの回答だったとするなら、ジュビリーゴールドは2020年代後半において「控えめなゴールドとは何か」という問いに対するロレックスなりの答えのように思える。

 デイデイトは、常にロレックスが考えるステータスのもっとも純粋な表現であった。だが伝統的なYG仕様にはいくぶん文化的なイメージがつきまとう。いわゆる“プレジデントウォッチ”であり、重役のための時計であり、周囲に気づかれることを求めるタイムピースでもある。対してこのジュビリーゴールド仕様は、また別のタイプのコレクターに向けられた1本のように感じられる。デイデイトが時計のヒエラルキーのなかで占める位置をすでに理解しつつ、必ずしももっとも派手な仕様を求めていない人物のためのものだ。よりニュアンスに富んだ合金と珍しいダイヤルの組み合わせは、いわば内輪に向けた合図のようでもある。ロレックスを何本も所有してきた人が、見慣れた存在でありながらどこか少し違って見える時計を求める。その感覚に応えるモデルなのだ。

 ロレックスが新たな貴金属を導入することはきわめてまれだ。そしていちど採用されれば2000年代半ばに登場したエバーローズのように、その合金がブランドのデザイン言語の一部として定着していく傾向にある。ジュビリーゴールドもまた、同様の道を歩む可能性を秘めている。現時点では、この金属をフラッグシップモデルで披露し、個性あるダイヤルと組み合わせることでコレクターの反応を探る、いわば試金石としての位置づけに見える。十分な評価を得られれば、将来的にほかのハイエンドなリファレンスへ展開されていくことも想像に難くない。もっとも、仮にニッチな存在にとどまったとしても、この時計が放つ新鮮な魅力は色あせない。

DJ JG

 デイデイトは、時計製造の世界においてもっとも保守的なアイコンのひとつである。にもかかわらず、誕生から70年近くを経た現在もなお進化の道を見いだしている。しかもそれは大胆なデザイン変更によるものではない。新しい金属、新しいダイヤル、そしてゴールドの見せ方をほんの少し変えることによってである。不変性によって評価を築いてきた時計にとって、そうしたさりげない革新こそがまさに重要なのである。

 現代のウォッチメイキングにおける歴史の大半において、ゴールドといえばイエロー、ホワイト、ローズのいずれかを指していた。だがこの10年ほどで、いくつかのハイエンドブランドは独自のゴールド合金の開発に乗り出している。狙いは固有の色調を生み出すこと、そして素材としての安定性を高めることにある。そうした文脈のなかで見ると、ロレックスのジュビリーゴールドは、まだ規模こそ大きくないものの、実験的な貴金属素材という広がりつつある潮流の一角を占める存在だ。

 最もわかりやすい例のひとつが、2019年に導入されたオメガのムーンシャイン™ゴールドある。この合金は、より淡く控えめなYGの色調を実現すると同時に、経年による変色への耐性を高めることを目的として開発された。従来のYGと比べるとムーンシャイン™ゴールドはわずかにクールな色味を帯び、ほのかにシャンパンのようなニュアンスを感じさせる。一方、オーデマ ピゲが開発したサンドゴールドも挙げられる。こちらはさらに一歩踏み込み、RGとYGの中間に位置するトーンを融合することで、ベージュがかった金属色を生み出している。従来のふたつの色調のほぼ中間に位置するような独特な表現だ。さらにウブロはキングゴールドを生み出し、そこにプラチナを加えている。発想は共通しており、クラシックなYGよりも柔らかく、より現代的に映る素材を目指したものである。

 ジュビリーゴールドが魅力的なのは、こうした独自合金への流れとしっかり呼応しながらも、あくまでロレックスらしい独自のアイデアとして成立している点にある。

詳しくはロレックス公式サイトをご覧ください。