ADVERTISEMENT
大型見本市Watches & Wondersが間近に迫ってきた。しかし、大西洋を越えてスイスのジュネーブに飛ぶ前に、あのグリーンのダイバーズウォッチを対処しておく必要がある(注:本国版の記事公開は3月25日)。先週、オメガは「オメガデイズ」という独自のプライベートイベントを開催し、2022年の新作を発表。ウルトラディープからカラー豊富なアクアテラ、ムーンシャインゴールドのスピードマスターまで、このHODINKEEでもたくさんご紹介してきた。
そして突然、オメガ×スウォッチの新作「ムーンスウォッチ」が発表されるという、まさに爆弾級のニュースが飛び込んできたのだ。この時計については、すでに長文を費やしたが、それに対して600件近いコメントが寄せられているので、この辺にしておこうと思う。
オメガのリリースで、ただの新色ということもあり、あまり注目されていないものがある。グリーンダイヤル、グリーンベゼル、さらにグリーンのラバーストラップを採用した新しいオメガ シーマスター ダイバー 300Mのことだ。
この時計は、オメガがオンラインで発表した新作のなかで、誰も予想だにしなかった時計であり、あとから思いついて付け足したとさえ感じられるものだった。ダイバー 300Mラインは、オメガのモダンウォッチデザインの真髄ともいえるモデルだ。その歴史は1993年にまで遡るが、このモデルシリーズといえば、ピアース・ブロスナン演じるジェームズ・ボンドを連想する人が多いのではないだろうか。彼のモデルはブルーだったが、この新作はグリーンだ。
2018年、オメガはラインを刷新。ケースをバルクアップし、セラミックダイヤルとベゼルにレーザーエッチングを施し、セラミックの実力を存分に見せつけた。それまでは本当にブルーかブラックのバリエーションしかなかったこの時計のカラー展開を拡大したのだ(途中、多少の偏りはあったが)。ホワイトダイヤルにブラックベゼル、シルバーダイヤルに落ち着いたブルーベゼルと、主役級のカラーバリエーションが登場した。
白文字盤のモデルはカルトヒットとなり、Instagramの寵児となった。このモデルは、尊敬するジェイソン・ヒートンが記事を書き、コール・ペニントンが「オメガ シーマスター ダイバー 300Mを1週間レビュー(動画解説付き)」でレビューしている。誰もがこのコレクションはこれですべて出揃ったのだと考えていた。オメガが時計に大幅な変更を加えるか、新しいリファレンスを発表しない限り、ダイバー 300Mラインから新しいものは出てこないと思っていたのだ。しかし、私たちは間違っていたようだ。
ムーンシャインに目を奪われ、クレヨンボックスのようなアクアテラに気を取られ、そのオメガはかつてロレックスのサブマリーナー“ハルク”が占有していた穴を埋めるかのように登場した。ロレックスがハルク=ブルース・バナーなら、オメガはルー・フェリグノ・デヴィッド・バナーの称号を与えようではないか。
実のところ私は、この時計に必要ないあだ名をつけるのではなく、この時計が何であるかを見て欲しいと思っている。オメガのダイバーズウォッチとして愛され続けているこのモデルが、たまたま素敵な色をしていたのだ。
最新のブルーのシーマスター ダイバー 300Mについてひとつだけ言えることは、その色が過飽和状態であるということ。歴史的な先人たちがよりグレーブルーの美しさを特徴としていたのに対し、パキッとした明るいブルーだ。
オメガはこの新しいグリーンモデルを、ベゼルからダイヤルまで、フォレストグリーンに近いダークな色調で統一している。光の加減によっては、ほとんどブラックに見えるほど濃いグリーンで、カラフルな時計はちょっと......という方にもおすすめだ。
そしてその考えは、スタイリングの細部にまで及んでいる。ブルーとグレーを除くすべてのスティール製のダイバー 300Mモデルでは、シーマスターのテキストと秒針が赤で表現されている。これはデザインにコントラストをつける楽しみを与えてくれるが、ときには遊び心が強すぎるように感じられることもある。セラミック製の大ぶりなモデルやツートンカラーのモデルと比較すると、赤が除かれているぶん、少し大人っぽく感じられるだろう。
グリーンモデルにもこの赤い意匠はない。文字盤のテキストは、シーマスターのワードマークや秒針も含め、すべてホワイトで統一されている。オメガはこのカラーリングを選択し、赤い装飾を排除することで、他のモデルと同じデザインでありながら、より成熟した印象を与える時計に仕上げたのだ。
伝統に基づき、ポリッシュ仕上げのセンターリンクを交互に配したクラシックなステンレススティールブレスレットと、時計とマッチするグリーンのラバーストラップ仕様の両方が発売される。
ブレスレットとストラップのどちらを選んでも、そのフォルムや機能に新しさはないが、私はストラップモデルを選ぶと断言する。
この3週間、本当に扱いきれないほどの数のオメガの新作ウォッチが発表された。しかし、塵も積もれば山となるで、明日ムーンスウォッチを買うためにどんなに並んでも、このグリーンのシーマスターが頭から離れないのだ。
時計のカラーアップデートでここまで言い切るなんて、私がおかしいのか、それともこの考えに賛同してくれるのか、ぜひ意見を聞かせて欲しい。ひとつだけ確かなことは、何を言われても私の心は変わらないだろうということだ。
Shop This Story
HODINKEEはオメガの正規販売店です。シーマスターの全コレクションはこちらでご覧いただけます。
その他詳細は、オメガ公式サイトへ。
話題の記事
Breaking News パテック フィリップ Ref.5711 ノーチラスがチャリティのための1点ものとして復活
日本の時計収集を支えた機械式時計ブームと、市場を牽引した時計ディーラーたち
Four + One カントリー歌手の時計コレクションが描く音楽キャリアの軌跡