ADVERTISEMENT
私たちが知っていること
ヴァシュロン・コンスタンタンが2022年を素晴らしい年にするために必要と考えたのは、1970年代のスポーツウォッチの名作(現在のオーヴァーシーズ・コレクションの原型)、Ref.222をとにかく復刻させることだった。ヴァシュロン・コンスタンタンは遂にそれを実現し、Watches and Wonders 2022でいとも容易く成功を収めた。しかし、ジュネーブからのヴァシュロンによるビッグニュースは、それだけではない。ジュネーブ郊外のプラン・レ・ワットに本社を置くこの歴史あるスイスの時計メーカーは、美しいトゥールビヨンとフルスケルトン仕様のオーヴァーシーズのコンプリケーションモデルを、グレード5チタン、18KPGのケース素材でそれぞれリリースしたのだ。
新作の話をする前に、チタンとプラチナが時計製造における今年の注目素材であることは興味深い点だ。ロレックスの新作デイデイトやカルティエ マス ミステリユーズには重量級のプラチナが使われ、A.ランゲ&ゾーネの新作オデュッセウス、グランドセイコー スプリングドライブダイバーズSLGA015、オリス プロパイロットXキャリバー400、エルメス アルソー ル タン ヴォヤジャー デュアルタイムゾーンはすべて軽量なチタンを採用しているのである。そして、今回我々はヴァシュロンがオーヴァーシーズ・コレクションにチタニウムモデルを投入するのを目撃する‐ヴァシュロン・コンスタンタンの267年の歴史のなかで、ブレスレット一体型のオールチタン製モデルは初めてのことだ。ヴァシュロンがこの素材を使用したのは、2021年9月発表の、クロノグラフモデルであるオーヴァーシーズ・エベレストとデュアルタイム・エベレストが最後だった。
本機は、オーヴァーシーズ・コレクション初のトゥールビヨン・スケルトンウォッチだ。オーヴァーシーズ・トゥールビヨンやオーヴァーシーズ・パーペチュアルカレンダーのスケルトンモデルはこれまでにも存在したが、ヴァシュロンがこのふたつを組み合わせたのは初めてのことである。プレスリリースに掲載された画像を見る限り(私はまだ実物を見ていない)、その効果は、アグレッシブで高度なテクノロジーを備えた外観に現れている。ヴァシュロンを象徴するマルタ十字モチーフのケージを備えたトゥールビヨンは、間違いなく今回の主役だ。1分間に1回転し、小さな色付きのネジ頭(チタン製はブルー、PG製はグレー)が秒を示すという、実にクールなディテールを備えている。
ケースに収められたジュネーブ・シールが刻印されるCal.2160は、ヴァシュロン・コンスタンタン初の自動巻きトゥールビヨンムーブメントとなった、2018年のトラディショナル トゥールビヨンで初めて採用された。スケルトン加工により、このCal.2160の派生ムーブメントは20%薄型化され、厚さわずか5.65mmを実現した。ゴールド製のローターを備え、最大80時間の駆動が可能に。地板と4つの受けにはNACコーティングが施され、マットな質感ながらクールな印象のグレーに仕上げられている。手仕上げによるポリッシュ仕上げの面取りなど、さすがはヴァシュロン、同社の伝統的な高級仕上げに手抜かりは一切見られない。
また、地板や受けにも非常に繊細で完璧な水平を描く溝など繊細な装飾が施されている。Cal.2160の主ゼンマイが収められた香箱はスケルトンになっており、ムーブメントに蓄えられたエネルギー残量をリアルタイムで目視することができる。また香箱にはユニークな羅針図が象られ、ケースバックから眺めることができる。最後に、ヴァシュロンはトゥールビヨン内部の調速機構を改良し、まったく新しいブレゲ巻き上げ式自社製ヒゲゼンマイを開発した。みなさん、これぞ本格的な時計作りというものだ。
そして、このような本格的なウォッチメイキングには、それに見合う価格設定がふさわしい。オーヴァーシーズ・スケルトン・トゥールビヨンは、いずれも価格応相談となる。また、チタン製モデル(6000V/110T-B935)は、ヴァシュロンのブランドブティックに限定して販売される。
私たちが思うこと
Ref.222復刻版とオーヴァーシーズ・スケルトン・トゥールビヨンを比較すると、なかなか感慨深いものがある。ひとつは1970年代の復刻版で、初代モデルを特別で印象的な時計に昇華させたディテールに細心の注意を払い、忠実に蘇らせたモデルだ。もう一方は、超複雑で、超高価な、超現代的な時計で、ヴァシュロン・コンスタンタンが現在持てる優れた力量を余すことなく表現したモデルであるということだ。
私はヴァシュロン・コンスタンタンのレ・キャビノティエ部門に深い畏敬の念を抱いている(現在の時計製造の世界では、この工房に比肩するものは存在しない)。このような時計は、その領域と完成度において極めてハイエンドであるため(実質、限定モデルであるのは言うまでもない)、実際に目にすることができる人の数は非常に少なく、学術的研究以外ではほとんど議論する価値がないのだ。
オーヴァーシーズ・スケルトン・トゥールビヨンのような時計は、非常に高価かつ希少で、とてつもなく需要の高い時計になると思うが、ヴァシュロン・コンスタンタンが築いた現在の地位を示す素晴らしい例として役立つだろう。この時計がスポーツに適した装着感の高く、貴重な素材と汎用的な素材という異なるふたつの素材を採用し、世界で最も長い歴史を持つ時計メーカーに期待される伝統的な装飾技術と複雑機構を余すことなく備えているからだ。
基本情報
ブランド:ヴァシュロン・コンスタンタン
モデル:オーヴァーシーズ・トゥールビヨン・スケルトン
リファレンス:6000V/110R-B934(18KPG)、6000V/110T-B935(チタン)
直径:42.5mm
厚さ:10.39mm
ケース素材:18K 5Nピンクゴールド、グレード5チタン
ダイヤルカラー:サファイアクリスタル、スケルトンムーブメント(NAC処理)
インデックス:アプライド、18K5NPGまたは18KWG製
夜光:スーパールミノバ
防水性能:50m
ストラップ/ブレスレット:18K 5N PG/グレード5チタン製ブレスレット(ポリッシュ仕上げとサテン仕上げのハーフマルタクロスリンク)、18K
5N PG/グレード5チタン製トリプルブレード・フォールディングクラスプ、プッシュボタン、サイズ調整機構付き。また、白のステッチを施したブラックまたはブルーのカーフスキンレザーと、ブラックまたはブルーのラバーストラップが付属
ムーブメント情報
キャリバー:2160 SQ
機能:時、分、秒、トゥールビヨン
直径:31mm
厚さ:5.65mm
パワーリザーブ:80時間
巻上げ方式:自動巻き、ペリフェラルローター付
振動数:1万8000振動/時(2.5 Hz)
石数:30石
クロノメーター認定等:ジュネーブ・シール刻印
その他仕様の詳細:耐磁性確保のための軟鉄製リング入りケース
価格&発売時期
価格:要問い合わせ
入手方法:チタンモデルは、ヴァシュロン・コンスタンタンのブティックでのみ購入可能。5月発売予定
限定版の有無:通常モデル
Shop This Story
ヴァシュロン・コンスタンタンの詳細については、公式Webサイトまで。
話題の記事
Breaking News パテック フィリップ Ref.5711 ノーチラスがチャリティのための1点ものとして復活
日本の時計収集を支えた機械式時計ブームと、市場を牽引した時計ディーラーたち
Four + One カントリー歌手の時計コレクションが描く音楽キャリアの軌跡