ジュネーブ時間の先週水曜日午前8時30分(注:記事執筆時)、アメリカでは誰もが寝ている頃、ロレックスの新商品がすべてインターネットに掲載された。我々はすぐにグリーンとブラックのベゼルを持つ左リューズのGMTマスター IIと、リューズガードとプロフェッショナルケースを備えた新しいエアキングに注目した。しかし、今年クラウンからリリースされたのはそれだけではなかった。実は、HODINKEEチームがWatches & Wondersのロレックスブース(ああいうものをブースと呼ぶのは本当にやめたい)を訪れたとき、あるコレクションが我々を驚かせた。それは、ヨットマスターだ。
さて、私は同僚の私生活を完全に把握しているわけではないが、我々のなかにヨット競技をする人間はいないことと、それでも我々のほぼ全員がオイスターフレックス ブレスレットにイエローゴールドを備えた新しい42mmヨットマスターを、みんな夢中で手にとっていたことは言ってもよいだろう。イエローゴールドにはそういう傾向があるのだ。
事実、フィジカルな展示会が復活し、実際に時計を手に取ってみた結果を読者の皆さんに報告できるようになったことが、私がとてもハッピーな理由のひとつなのだ。今回のリリースについては使用される素材が変わっただけと見過ごしてしまっていたような気がする。しかし、私にはこの新しいケース素材が、ヨットマスターの本来あるべき姿を実現しているように思った。華やかでありながら、スポーティ。イエローゴールドという素材が、まさにぴったりなのだ。
もちろん、ヨットマスターについてのニュースはこれだけではない。我々は見ることができなかったが、ロレックスはファルコンズアイダイヤルと呼ばれれる素材を備えた新しいホワイトゴールドのバリエーションを発表した。それは、「ハンス・ウィルスドルフが創業したブランド(=ロレックス)」のここ数年のなかでも、最もクールに見えるものだ。この時計を判断するのは、実機を見るまで保留しておきたいと思う。
しかし、それ以上にヨットウォッチらしいアクションがあり、会場中がタッチ&フィール(きっとこの言葉を一生言い続けるのだろう)を待つ人で溢れた。40mmのホワイトゴールド製で、ラグにはダイヤモンド、回転ベゼルには色とりどりのサファイアがセットされたモデルを待つ列だ。
ひとつはっきりさせておきたい。ベゼルには文字も数字も役に立つマーカーもない。ただサファイアで飾られているだけだ (それでもロレックスはそれを回転式にした)。ただ愛でるしかないのだ。それはほとんど私が紹介記事で綴ったジョーク "徹底的にサファイア(no sapphire left unturned)"を繰り返したくなるほどだ。結局また書いてしまった。
プレスリリース用の写真では敬遠されるような時計でも、実際につけてみるととても気に入るというのは面白い。サファイアのヨットマスターは何度もテーブルを回り、我々は2度、3度と腕に装着したがった。サイズ的には40mmのヨットマスターがほうがずっと好きだったのだが、このカラフルな華やかさは、まさに実物以上の大物タイムピースだ。
しかし、本当に私の目を引いたのはイエローゴールドのヨットマスターだった。W&Wに先立って、今年見たいロレックスの時計について記事を書いた。絶対に見れないと思ったものを選んだが、それはサブマリーナーにヨットマスターベゼルを付けたものだった。私は、このベゼルのマットセラミックによる見た目と、同系色の盛り上がった数字がとても気に入っている。数多い貴金属のモデルのなかで、実用的でツールウォッチの外観とゴールドとの組み合わせは興味深いものがある。光沢のあるセラクロムベゼルが使用されているスティール製のサブマリーナーとは対照的なのだ。
手首に装着すると、42mmモデルは、まさにそのサイズの時計に期待されるような装着感だ。見かけと違って小さいわけでも大きすぎるわけでもないが、まあ、実際そこそこ大きい。私は6.3インチ(約16cm)の手首だが、これを毎日身につけられるかどうかというと自信がない。その理由の多くは、オイスターフレックス ブレスレットにある。そう、技術的にはブレスレットであってストラップではないのだ。快適なつけ心地(かなり快適だ)だがわずかに反り返っていて、従来のブレスレットのように手首を強く包み込むことはない。残念ながら、この理由で42mmは正確に広告にある通りのサイズ感で、私の腕には少しばかり大きい(37mmモデルが出ることを期待する)。
デザイン的にはイエローゴールドのヨットマスターは非常に魅力的だったため、会場でつけてみた私はちょっと残念だった。ブラックの文字盤、大きな夜光プロット、そして日付窓のすべてが、均整のとれたタイムピースを形成するために機能しているのだ。もちろん、これは純粋に外見のアップデートであり、この時計は引き続きCal.3235を搭載している。
私はヨットマスターコレクション全体が、時計好きから過小評価されていると思う。しかし、こうしたものには価格という要素があることも理解している。イエローゴールドのモデルが税込で314万7100円というのは必ずしもお買い得とは言えないのだ。もちろん、40mmサイズのプラチナベゼルのスティールモデルもあるが、こちらはまったく別の時計のように感じられる。
この時計に対する私の考察は、ヨットマスターコレクションの理にかなった新顔というものだ。ホワイトゴールドのモデルよりも、このモデルの方を多く目にするのではないだろうか。なぜなら、WGは目立ちにくい金属だからだ。ゴールドを買うなら、誰かに見てもらいたいと思うだろう。このモデルは金無垢の時計にふさわしい重厚感がありながら、オイスターフレックスのクッションのようなつけ心地でバランスが取れている。スティール製のロレックススポーツウォッチが、中古市場でこのモデルと同じ価格帯で取引される時代だ。YGを購入し、保証書に自分の名前を記すことは、それほどおかしなことなのだろうか。
Live photos, Tiffany Wade.
詳しいスペックや価格については、「ロレックス ヨットマスター 42にイエローゴールドとファルコンズアイダイヤルの2モデルが新登場」をご覧ください。
ロレックスの詳細については、ブランドのウェブサイトをご覧ください。HODINKEE Shopでは、ロレックスの中古・ヴィンテージウォッチを取り扱っています。
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