ADVERTISEMENT
タグ・ホイヤーがダイバーズウォッチに40mmのオプションを復活させた決断を、HODINKEEでは2022年のかなりの部分を費やして賞賛してきた。40mmのアクアレーサーとして知られるアクアレーサー プロフェッショナル200は、我々を驚かせ、そしてニヤリとさせた。そしてWatches & Wondersが開催されると、タグは、オールブラックの外観と夜光処理のユニークなテイストを備えたソーラーパワーダイバー、アクアレーサー プロフェッショナル200 ソーラーグラフによって、40mmに新たなモデルを投入したのだ。言うまでもなく、我々はこれも気に入った。
しかし、過去10年の大半を大振りなダイバーズのブランドとして知られてきたタグが、その分野から手を引いたと考えるのは甘いだろう。ジュネーブで発表されたアクアレーサー スーパーダイバー1000は、ケニッシ製ムーブメント(新しいパートナーシップの一部)を搭載した45mmの巨大なオレンジとブラックのダイバーズウォッチだ。そしてもうひとつ、その影に隠れてしまいそうなダイバーズがいた。W&W会場ではあまり取り上げなかったが、Hands-Onでぜひ取り上げるべきモデルだった。
タグ・ホイヤーのアクアレーサープロフェッショナル 300 オレンジダイバーのことだ。この43mmのアクアレーサーは、シリーズでおなじみのフォームファクターに、印象的なオレンジのダイヤルを備えている。オレンジダイヤルといえば、1970年代の象徴的なドクサのプロフェッショナルコレクションを思い浮かべる方が多いと思うが、偶然にもこの時計もまた、同じ時代のヴィンテージホイヤーのダイバーズ、Ref.844をベースにしているのだ。オレンジと70年代……なんという組み合わせだろう。欠けているのはシャギーカーペットみたいなストラップだけかもしれない。
ブランドが、実質的に既存の製品に新しいカラーリングを施してリリースするときは、いつも興味深いのだ。まだ語られていないことを、果たしてどれだけ語れるだろうか。この場合、ダイヤルの処理と、それが時計の全体的な外観をどのように変えるかについて、さらなる探求が必要になるだろう。
タグは、アクアレーサーのラインナップ内では時折いろいろなミックスを行うことで知られる。ダイヤルは、サンレイ仕上げのときもあれば落ち着いた色合いのときもある。ベゼルは、光沢のあるセラミック製になったりマットな質感になったりした。このモデルでは、フラットなオレンジカラーのダイヤルと、光沢のあるセラミック製ブラックベゼル、そしてコントラストの効いたホワイトのインデックスが組み合わされている。結果として、色調はヴィンテージでありながら、モダンな出来栄えのタイムピースとなった。
特に気に入ったのは、2021年発売のアクアレーサーから引き継ぐフルサテン仕上げのスティール製ブレスレットの採用だ。鮮やかなオレンジダイヤルの前に、ブレスレットに注目するのは奇妙に思えるかもしれないが、この時計にある種の完成度を与えている重要な要素なのだ。このモデルは、ダイバーが時計をツールとして使っていた70年代のツールウォッチスピリットを呼び起こすことを意図している。センターリンクにポリッシュ仕上げを施したブレスレットを使用することも容易にできるが、このブレスレットを組み合わせることで、デザインの背後にある思慮深さと、この時計に吹き込まれた精神へのこだわりが伝わってくる。
そのサテン仕上げは、質感のあるオレンジのダイヤルと見事にマッチしている。このオレンジは地味でもなければヴィンテージ風の色褪せ加工したものでもない。この時計は、部屋のなかにいてもひと目でそれとわかるような、個性的なカラーを持っているのだ。これをつければ“オレンジの時計の人”として覚えてもらえるだろう。率直に言ってそれはとてもクールなことだと思う。
43mmは大きいが、そこがポイントなのだ。特にダイヤルが時計を小さく見せているわけではない場合は。このサイズと色のおかげでオレンジダイバーは非常に読みやすく、白いマーカーはダイヤルに映えて瞬時に読み取ることができる。拡大表示の日付窓については否定的な意見が出ると思うが、私もその見た目は好きでないものの、その機能については文句を言うことはできない。
ある意味、この時計には妥協がある。確かに我々が切望する40mmサイズではないが、この大きくたくましいフレームにふさわしい、ある種のレトロな美しさを持っているのだ。ダイバーのエングレービングが施されたクローズドケースバックの内部には、Cal.5の自動巻きムーブメントが搭載されている。操作面では、この時計はまさに期待通りの動きをする。ベゼルの動きはスムーズで、ブレスレットのクラスプは操作しやすく、その場でマイクロアジャストすることも可能だ。
大衆的な魅力とハイパーなマニアの熱狂の中間を狙った時計があるとすれば、それはこのオレンジダイバーだろう。アクアレーサーコレクションの新たな選択肢として、近々また実機に触れてみようと思っている。私はダイビングをしないが、だからといってダイバーズウォッチを好きになれない理由はない。
タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300 オレンジダイバー:Ref.WBP201F.BA0632。43mmSS製ケース、60分目盛付きセラミック製逆回転防止ベゼル。300m防水。オレンジダイヤル、6時位置に拡大レンズ付き日付表示。自動巻き、タグ・ホイヤー Cal.5(ETA 2824-2ベース)。マイクロアジャスタブルクラスプ付きSS製ブレスレット。価格:39万500円(税込)。
話題の記事
Breaking News パテック フィリップ Ref.5711 ノーチラスがチャリティのための1点ものとして復活
日本の時計収集を支えた機械式時計ブームと、市場を牽引した時計ディーラーたち
Four + One カントリー歌手の時計コレクションが描く音楽キャリアの軌跡