オリジナルの『トップガン(Top Gun)』(1986年)は、アメリカの軍事力を証明する、狂気と超愛国主義的なアドレナリンに満ちた映画で、ジーンズでバレーボールという副次的な要素も含まれていた。そして今年、メモリアルデーに合わせ、待望の続編『トップガン マーヴェリック(Top Gun: Maverick)』が公開された。オリジナル版から36年の歳月が流れたが、そうは思えないほどトム・クルーズは若々しく、再びコックピットに戻り、反逆のパイロットでクロノグラフ愛好家のマーヴェリックを演じている。
ただしハンサムで口の達者な新人パイロットとしてではなく、今回の彼は教官となっている。彼の訓練生の一人が、昔の仲間グース(RIP)の息子だ。『セッション』(原題: Whiplash)で評価されたマイルズ・テラーが演じている。
この映画は、古きよき超大作という位置づけだ。HODINKEE専属の航空専門家である同僚のコール・"アイスマン"・ペニントンから昨日メールがあった。彼によると「とにかく、これまでで最高の飛行シーンがあるぞ!」とのことだ。
読者も私と同じことを感じているだろうか? トップガンの最新作に登場する腕時計を見つけなければという必要性だ。そして、それはもう、たくさんあった。
注目する理由
最高のオープニング・ウィークエンドだからだ!
本作が封切られたばかりであることから、この記事はネタバレなしでお送りしたい。しかし、基本的な背景は次の通りである。あるならず者国家が、山奥の基地にウランの処分場を隠し持った。この国の立地条件から、最新の航空機による攻撃は不可能である。そこで情報収集のための、一流のパイロットと昔ながらの戦闘機が必要になった。誰かがその技術をパイロットたちに教えなければならない、そしてその誰かは「例のあの人」なのだ。最後にマーヴェリックを見たとき彼は生徒にすぎなかったが、今度は教官なのだ。
1986年、マーヴェリックが、70年代から80年代にかけて脚光を浴びたフルブラックのスポーツウォッチ、ポルシェデザイン クロノグラフ1 by オルフィナを着用していたことは有名な話だ。では、2022年の彼は何を身につけているのか? ポルシェデザイン クロノグラフ1 by オルフィナ - 少なくともそのように見える時計だ。実際、この時計は前作で彼が着用していたものとまったく同じもののようだ。つまり、彼はキャプテン以上の階級に昇進していないだけでなく、新しい腕時計も買っていないのだ。バイクも前作と同じものを使っている。そう。一体誰が新しいものなど必要とする?
ポルシェデザインの時計には、興味深い歴史がある。バルジューのムーブメントを搭載し、ケース、ダイヤル、全体のスタイリングは、数十年間ほかのブランドと似通っていた。ホイヤーやル・ジュールなどのブランドは、ダイヤル上のロゴが異なるだけで、同じムーブメントを搭載したポルシェデザインのクロノと事実上同一の時計を製造していた。そのような時計は、『Watching Movies』の初期に取り上げた『クレイマー、クレイマー』(1979年)でも見ることができる。ポルシェデザインには一風変わった製造の過去もある。ここで紹介するオルフィナや、IWCによって製造された時計たちだ。今は完全に独立した存在になっているが。
IWCといえば、TOPGUN(実在の海軍戦闘機兵器学校)を少しでも知っていれば、その世界ではIWCの時計が大きな存在感を放っていることもご存知だろう。教官と生徒だけが使用できる特別なIWCモデルがあるのだ。同社ではこれを「Strike Fighter Tactics Instructor(SFTI)」と呼び、マークXVIIIとクロノグラフの2種類のバリエーションがある。この映画では、これらの時計が大量に登場する。
マーヴェリックの部下として採用されたパイロットたちは、それぞれクロノグラフとタイム&デイト表示を備えたこの特別なIWCの時計を身につけている。これだけではない。映画の終盤の重要なシーンで、IWCのストップウォッチが大きくフィーチャーされているのを目にすることだろう。私の知る限り、現在のIWCのカタログにこのストップウォッチは存在しないので、この映画のために作られた可能性がある。
時計に関して見るべきものはまだある。実はこの映画、腕時計を探すには絶好の環境なのだ。マーヴェリックの相手役となるペニー・ベンジャミン(ジェニファー・コネリー)の腕には、ロレックスのスティール製スポーツウォッチらしきものがつけられている。当初はオイスター パーペチュアルと思われたが、よく見るとエクスプローラー、それもヴィンテージ(Ref.1016と思われる)であることがわかる。
『トップガン マーヴェリック』は時計にまつわる夢の競演であると同時に、興味深い自動車も満載だ。空冷ポルシェ911やフォードのブロンコ、OGバイクなどにご注目を。また、マーヴェリック所有のP-51マスタングなど、素敵な飛行機もある。
見るべきシーン
この映画は空母のシーンで始まり、そして次に我々が望むものをきっちり見せてくれる。マーヴェリックだ。彼がマッハ10の速度を達成するためのテスト飛行の準備をしている。その際、腕にはポルシェデザインのクロノグラフがはっきりと見える。その直後、彼は危険地帯に向かう高速空路に合流し、マッハ10(我々が知る限り、前人未踏の偉業)を達成するだけでなく、それを上回る速度で飛行するのだ。やはりトム・クルーズだ。
映画が始まって約15分後、我々は海軍の飛行士たちが集まるダイブバーにいることに気づく。ここで初めて、マーヴェリックが訓練することになる新兵たちが紹介される。このシーンは、新兵たちが互いに顔を合わせ、互いを確認し合う楽しい場面だ。しかし最も重要なのは、彼らがそれぞれIWCのトップガン ウォッチを着用していることだ。一堂に会したこのIWCの数々には、思わず息をのむ。
『トップガン マーヴェリック』(トム・クルーズ主演)は、ジョセフ・コシンスキー監督、ロビー・ダンカンが小道具を担当。現在、全世界で公開中。
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