ダイビングや水中写真が好きな方なら、ベッキー・ショット( Becky Schott)氏を紹介する必要はないだろう。彼女は、人生の大半を水中で過ごし、野生動物、沈没船、洞窟、そして氷河の内部まで撮影してきた、素晴らしく才能豊かな写真家なのだ。フィジーから五大湖、南極まで、彼女の作品は世界中に広がっている。海の素晴らしさを伝えるのに、彼女に水中での最高の瞬間を集めて解説してもらう以上の方法は見つかりそうにない。
ショット氏は最近セイコーのアンバサダーになった。TOP画像でつけているSPB297は必見( ドライスーツに対応するための別のリンクが必要だったようだ)。彼女は海の冒険、美しさ、大切さを伝えるために、世界中でダイビングを続けていて、 彼女の作品はぜひ見て欲しいものばかりだ。そして、以下のストーリーを最後まで読んで、まだ続きが気になるなら、ぜひフォローを。また、The Grey NATOのポッドキャストでは、楽しいゲストとして登場している。
「スクールバスほどの大きさのサメが泳ぐ海に、船から飛び込むとは夢にも思いませんでした。この仕事の好きなところは、サメのような誤解された野生生物を撮影することです。このジンベイザメは地球上で最も大きな魚ですが、魚の卵からプランクトンまで、最も小さな生物を食べます。その生存は、海やプランクトンの健康状態に左右されます。メキシコでこの穏やかな巨人を撮影しているあいだ、私たちの周りには200匹以上のサメがいました。今まで海で出会ったなかで最も素晴らしい動物のひとつです」
「フィジーに旅行して初めてミノカサゴを見たときは、とても興奮しました! 美しい赤色に白い毒棘を持つ彼らは、美しい被写体です。幸い、もう地球の裏側まで見に行く必要はなくなったのですが、残念ながら、フロリダ、メキシコ湾、カリブ海の大部分にも侵入しています。この魚は貪欲で、在来魚の個体群を壊滅させる可能性があるため、サンゴ礁に大きな影響を与えているのです。この侵入種は、サンゴ礁の藻類の成長を制御する草食動物など、サンゴ礁の繁栄に役立つほかの種も食べてしまいます。美しいかもしれませんが、バハマのこのようなサンゴ礁にとっては致命的でもあるのです」
「私の水中写真家としてのキャリアで最高の瞬間は、野生動物が私たちと交流しようとする瞬間です。野生のイルカが好奇心旺盛に目を合わせながら泳いでくれるとき、その気持ちは言葉では言い表せないほどです。この特別な瞬間、私たちは水深25フィート(約7.6m)までフリーダイビングをし、イルカの小さな群れが好奇心をそそられ、私たちと一緒に水面に向かって回転したり、旋回したりしたのです。それは、一生忘れることのできない素晴らしいつながりでした。水中でイルカと一緒に踊っているような気分でした」
「タイガーシャークは、海中で最も危険な動物のひとつとして知られています。悪夢のような存在ですが、一緒に潜ってみると、想像とは違うものです。彼らは用心深く、人が思うほど攻撃的でもないです。誤解しないで欲しいのは、彼らは大きくて危険なサメなので用心して扱わなければなりませんが、水中のあらゆるものを攻撃するわけではないのです。私が目を合わせると、彼らは振り返って泳ぎ去る傾向があるので、頭を回転させながら、常にサメを確認することがベストです。これまで世界中で何十種類ものサメと一緒に潜ってきましたが、バハマのこの場所は、1回のダイビングで6種類以上見ることができ、特権的なものを感じています」
「最近のボネール島への旅行で、私は驚くほどウミガメと触れ合うことができました。水深9mほどのリーフでカメは狩りをしていて、リーフの穴に頭を突っ込んで餌を探し回っていました。40分ほど一緒に泳ぎましたが、そのあいだ、まるで狩りを続ける前に自分の姿を確認するかのように、カメラのレンズに寄ってきてくれました」
「過去2回の南極探検で、私は幸運にも南極大陸の頂点に立つ捕食者のひとつと氷の海に入ることができました。このヒョウアザラシは、魚雷のように優雅に私たちの周りを飛び回り、ニヤっと笑いながら私たちを見つめました。水温はマイナス1.7℃と冷たく、氷の塊は操るのが難しいです。頭にぶつかる氷を押してよけながら、眼下を高速で移動するアザラシに目を配るようにしました。私たちは地球上で最も人里離れた場所にいて、あまり人に出会うことのない動物について学んでいるのです。この完璧なペンギン殺戮マシーンは、口いっぱいに鋭い歯を持っています。このアザラシは私たちに対して攻撃的ではありませんでしたが、水中のひとりひとりを確実に観察していました」
「南極大陸を訪れると、まるで別の惑星に足を踏み入れたような気分になります。人里離れた場所で、人に邪魔されることのない生命に溢れています。ペンギンはよちよちと近づいてくるし、アザラシやクジラは船のそばまでやってくるし、氷河や氷山に囲まれている。このジェンツーペンギンは、巣を作るためにむき出しの岩を必要とし、小さな石を使ってその巣を作るのです。また、餌をとるために海に出るには、氷に覆われた海岸線を進まなければなりません。南極は感動的な場所であり、将来の世代のために保護が必要な場所なのです」
「水中世界は、生態系が繁栄している不思議な場所です。サンゴ礁や難破船、南極の氷の下に潜るたびに、何か新しいことを学んだり、野生動物とのふれあいに刺激を受けたりすることができます。リーフで小さなカエルアンコウを見たり、クジラの隣で泳いだり、海の中で退屈することはありません。海へ出るたびに別人になったような気分になり、人々を教育し、楽しませ、このような場所を自分自身で見て感動させたいという私の情熱は高まり続けています」