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Introducing ハミルトン カーキ フィールド メカの新たなカラー(編集部撮りおろし)

クラシックな兵士の時計を、本物っぽくカッコよくアップデート。

※本稿は2019年3月に執筆された本国版の翻訳です。

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クイック解説

 ハミルトンのカーキ フィールド メカの新作は、優秀な先代の後継機として高い期待に応えなければならない。我々が目にしているのは正真正銘のアメリカの歴史からの産物だ。

 このクラシックなカーキのアップデートは的を射たもののように思える。38mmというサイズは現代的で着用しやすく、それでいて40年代からアメリカの軍用時計のDNAに組み込まれてきたある種の古きよきクールさを維持しており、新しいグリーンとホワイトのダイヤルとアースPVDと呼ばれる新たなケース仕上げが採用されている。

 アメリカの軍用時計に関して言うなら、あらゆる要素が1940年代に陸軍武器省が大手時計メーカーに提示した古い一連の軍用規格につながっている。堅牢でハック機能をそなえたムーブメント、頑丈な風防、センターセコンド、引き通しタイプのストラップといったものだ。要するにそれは多少手荒に扱っても問題ない時計のパーフェクトなレシピであり、ただひとつのことを上手くこなすために不要なものはすべて省かれた。ただひとつのこととはシンプルに時間を知らせることだ。

 第2次世界大戦時、ハミルトンは政府の要請に応じて連合軍のための時計を製造した。この時に“近代的”フィールドウォッチが誕生し、この2019年バージョンのカーキ フィールドの基調が作られたと言ってもいいだろう。政府は60年代に“GG-W-113”および“MIL-W-3818B”規格へのアップデートを行ったが、それが意味するのは、いくつかの調整がなされて時計が少し大きく、少し読みやすくなったということだ。カーキ フィールド メカと最も多くのデザイン上の共通点を有しているのはこの60年代のデザインだ。この時代の多くのパイロットや兵士がどこまでも機能的なそれらの時計を腕につけて務めを果たし、ベトナム戦争においても数多く使用された。

 このカーキ フィールド メカの新シリーズにはグリーン、ブラック、ホワイトのダイヤルがあり、“本物っぽくてカッコいい”雰囲気をより高めるPVDケースが採用されている。誤解のないように言うが、これは官給品ではないため、ハミルトンは使用するカラーについて自由に決められる。政府が命じるデザイン規制に束縛されず、ハミルトンは審美的に楽しむことができるようになった。ホワイトダイヤルのバージョンは紛れもなくハンサムだ。オリジナルの時計の哲学を受け継いでいるが、コスト削減や厳格な規制から解放されたため、近年の旧来モデルよりずっといい時計になっているだろう。

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ファースト・インプレッション

  ダイヤルとケースの新カラーが、今回のカーキ フィールドの最も印象的なポイントだが、新しいカラーの話はちょっと置いておき、技術面でのアップデートに注目してみよう。大きく変わったのはH-50 ムーブメントを搭載したことで、このムーブメントは2018年にカーキの50mm スペシャルエディション(サイズを大きくして秒針の先を赤くしたカーキ)に採用されたものである。このような時計に搭載するのに最高のムーブメントだ。ハミルトン独自のキャリバーで、手巻き式であり、パワーリザーブは80時間。これは従来モデルの2倍であり、裏を返せば、巻き上げの機会が半分だけになってしまうということ。悲しいことではあるが、進歩には少しの犠牲がつきものだ。

 38mmというサイズはフィールドウォッチとしてほぼ完璧であり、もちろんグリーンもしくはブラウンのNATOストラップを備えている。万一、本当にフィールド(戦場)で使おうとしている方がいる場合のため、風防は頼りになるサファイアクリスタルだ。そして50m防水を確保している。堅牢な仕様だが、祖先にあたる機種が時計をズタボロにするような活動のなかで実際に使われていたことを考えれば、驚くには当たらない。単純にあまりに有能なために変化の必要がないという理由でめったに変化しない設計の一例である。

 近年、ミリタリールックがストリートウェアや流行のファッションに入り込むという大きなトレンドがやってきている。MA-1フライトジャケットや、頑丈なアウターがコンバットブーツとともに主力アイテムとなった。今回のハミルトンからのリリースを、それらとひとまとめに考えるのは簡単だが、真の軍用時計マニアにとっては新たなダイヤルカラーのラインナップにちょっとした喜びがある。グリーンとブラックに加えて、きりっとしたホワイトダイヤルが用意されているからだ。アメリカのフィールドウォッチのための初期の軍用規格を覚えているだろうか。多くの場合、目につきにくいという理由からブラックダイヤルが求められた。

 これがおもしろいところだ。最初の規格が提示されるまでは、ダイヤルが白い兵士用の時計がたくさんあった。実際、ハミルトンによる初期のアメリカ陸軍武器科向け時計の多くは白いダイヤルを備えていたのだから、このカーキ フィールド メカは実のところ、正統な歴史を受け継いでいる。遠い昔の軍用時計を現代風にアレンジした、魅力的で時代を超越した複合体である。

 スーパールミノバはハミルトンが“サンドカラー”と称するものだが、フェイクパティーナという表現がいちばんしっくりくるだろう。この時計の時代を超越した複合体としての魅力にマッチしていて、白いダイヤル上ではめったにお目にかかれないものだ。フランクリン・D・ルーズベルト政権の時代以来こういったコントラストルックは見られなかったため、ホワイトダイヤルバージョンにおいてインデックスがもたらすコントラストは特に興味深い。ハミルトンは絶妙なフェイクヴィンテージルックを生み出しており、ブラックとグリーンのダイヤルではこのコントラストが一層よく効いている。ダイヤルに印刷された数字には(白黒ともに)やや光沢があるが、これは官給品には決して見られなかった特徴だ。実はこの光沢仕上げによって視認性が向上している。

 このカーキで新たに採用されたのが、わずかに粒子感のあるアースPVDコーティングだ。この新たな外観は気の利いたデザイン改革であり、兵士の心を引きつけるのが容易に想像できる仕上がりだ。カーキは頻繁にストラップを交換することを想定した時計であり、何がこの新しいケース仕上げをポップに変身させるか試してみるのはおもしろいだろう。しかし、伝統を重んじる人々のために、信頼できる昔ながらのステンレススティールにブラックダイヤルという選択肢もある。技術面でのアップデートについては、軍用グレードのあらゆる機器にとって常に歓迎すべきことであり、手首の優越性を維持するのに不可欠である。


基本情報

ブランド: ハミルトン(Hamilton)
モデル名: カーキ フィールド メカ(Khaki Field Mechanical )
 

直径: 38mm
厚さ: 10mm
ケース素材: ステンレススティール(アースPVDオプションあり)
文字盤: ブラック、グリーン、ホワイト
夜光: スーパールミノバ、サンドカラー
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: NATOストラップ


ムーブメント情報

キャリバー: H-50
機能: 時・分表示、センターセコンド
パワーリザーブ: 80時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時


価格 & 発売時期

価格: 6万8200円〜7万8100円(税込)
発売時期: 発売中

詳しくは、ハミルトン公式サイトをご覧ください。