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ケーキを食べたら持っていることはできないのか?(つまり、矛盾する2つのことを同時に実現することはできないのか?) いつもケーキを食べている私が、食べた後もまだケーキを持っているかのような時計をお届けしたい(私はケーキが大好きなのだ)。アナログ・デジタルの略である“アナデジウォッチ”のことだ。これらの時計は、あなたに選択を迫るものではない。保育園で習ったような、昔ながらの方法で時間を知るのが好きだろうか? この時計にはそのための針がある。手軽で便利なデジタル表示のスタイルが好きだろうか? そのためのスクリーンも、この時計にはある。
アナデジウォッチは数多くあるが、今回は代表的な2つのブランドの有名な時計を比較してみた。節約派にはセイコー プロスペックスのSBEQ001(アメリカ版はSNJ025)、通称“アーニー”を。奮発できる人には、チタン製のクールなブライトリングのエアロスペースを用意した。どちらも針とデジタルスクリーンを備えているが、それ以上に、この2つの時計はカルト的な人気を誇るクラシックモデルなのだ(たまたま価格差は大きく異なっているが)。さて、あなたはどちらを選ぶだろうか? あえてどちらとは言わないが、あなたが少しでも判断しやすくなるように具体的に説明していこう。
お手頃品を手に入れる
時計:セイコー プロスペックス SBEQ001 6万6000円(税込)
この時計がクールな理由
1982年に発売され、アーノルド・シュワルツェネッガーが愛用していたセイコー H558の精神を受け継ぐ後継モデルだ。H558は、セイコー初だっただけでなく、世界初のアナログアラームクロノグラフだった。SBEQ001はその伝統を受けついでいる。H558は、ブライトリングのエアロスペースをはじめとする80年代のアナデジブームの火付け役でもあった。
アーニーのスタイルだけでもこの時計はクールだ。身につけると、この時計が登場する『プレデター』のセットに入り込んで実際に攻撃できそうな気がしてくる。オールブラックのケース、ダイビングタイムベゼル、そしてツールウォッチとしての魅力は、48mm近い巨大なケース径にもかかわらず、何とも言えない魅力を放っている。かつてジェームス・ステイシーがこの時計をレビューした際に言ったように、「80年代の技術がSKX007のダイヤルに押し込まれたようなもの」だ。これほどクールな時計があるだろうか? 私は思いつかない。
なぜ手ごろな価格なのか
セイコーの時計に関するバリュープロポジションについては、話題が尽きることはない。ソーラーのクォーツムーブメントであるセイコーのCal.H851を搭載し、電子制御式リューズを採用しているにもかかわらず、500ドル台を維持している。これはセイコーが垂直統合方式を採用し、時計に搭載するすべてのものを効率的に製造していることが関係する。ラバーストラップで、サファイアではなくハードレックスの風防を採用しているのも価格が抑えられている理由だ。しかし正直なところ、この時計はもっと高くてもおかしくないし、本来はそうあるべきだと思っている。クォーツムーブメントは自動巻きのキャリバーよりも正確で、基本的に何でもでき、心配無用だ。本当に泥にまみれた時計を見たい方は、ジェイソン・ヒートンのHands-Onを見てほしい(これは冗談抜きに見てほしい)。
贅沢なものを手に入れる
時計:ブライトリング エアロスペース エヴォ 50万6000円(税込)
この時計がクールな理由
チタン製なので、すぐに目に留まった。私はTI製の時計にいつも驚かされる。なぜなら、私の脳が見た目の重さから想像するその軽さを計算することができないからだ。この時計は、アイコン的な存在ではあるが、どちらかというとニッチな存在だ。ブライトリングのエアロスペースは、スポーツウォッチのなかでちょっと変わった隣人だと位置づけたい。みんなが『フレンズ』を見ているときの『となりのサインフェルド(Seinfeld)』のようなものだ。これはピッタリなたとえだと思う。サインフェルド(ジェリー)はブライトリングの熱狂的なファンで、彼の番組『Comedians in Cars Getting Coffee』でもこの時計を着用しているのをよく見かけるからだ。
この時計はステルスのようだ。遠くから見ると、高価で高級なスティール製のスポーツウォッチのように見える。近づいてみると、デュアルデジタルスクリーンとダークトーンのTIケースが見える。ダイヤルは発売当初からほとんど変わっていないが、今見ても当時と同じようにモダンな印象を受ける。この時計は、43mmの大型ケース(セイコーほどではないが)とダイヤルの巨大なアプライドインデックスが特徴的な、間違いのない選択だ。しかしその選択は、時計好きの間で非常に尊敬されるはずだ。このモデルは、TIブレスレットにするとさらに良いが、ここでは公平な比較のために、ブライトリングの刻印が入ったラバーストラップで見てみよう。
高価な理由
“スーパークォーツ”と名づけられたムーブメント(Breitling 79)を搭載した時計と聞けば、決して安くはないと思うだろう。そして、それはこの時計にも当てはまる。ほかの高級スポーツウォッチと比較しても、このエアロスペースは非常に価値のあるものだ。このムーブメントは「年間で」±10秒の精度を誇る。そんなことができる自動巻きムーブメントがあったら教えてほしい。また、クロノメーター認定を受けているため、価格も高くなるだろう。セイコーとは異なり、このモデルにはサファイアクリスタルが採用されている。
正直なところ、ケースの素材(TI)と仕上げ、ムーブメントの品質、さらにはストラップの品質など、総合的に見てブライトリングの方が格上だ。たしかに4000ドル弱という価格は、高級時計以外のどのような尺度で見ても高価だ。それでもエアロスペースは目立たず過小評価されている存在だと思う。
決断の仕方
最終的には、手首のサイズが問題になるかもしれない。誰もが(現代の会社も含めて)48mmの腕時計を使いこなせるわけではない。セイコーはラグを短くして、直径からは想像できないほどのフィット感をもたせた。ブライトリングの43mmは確かに大きいが、TI製の軽いケースと相まって扱いやすい。よりタフなデザインを求めるなら、3つのリューズとインターナルベゼルを備えたセイコーが適している。オーソドックスな1冠のデザインならエアロスペースだ。ブライトリングなら後からTI製のブレスレットを選ぶことができるが、アーニーには純正ブレスレットのオプションはない。
この2つの時計は、過酷な状況下でも使用できるように設計され、日常的に使用できるツールウォッチだ。これらは確かなクラシック・タイムピースでもある。結局のところ、あなたはプレデターのファンかサインフェルドのファンかという問題になりそうだ。例え話を交えてケーキの話に戻ると、私の提案はこうだ。時間をかけ、がんばって稼いだお金を貯め、そして両方を買ってはどうか。そのケーキを食べよう。
スペック比較
お手頃モデル
ブランド: セイコー(Seiko)
モデル名: プロスペックス SBEQ001(Prospex )
直径: 47.8mm
厚さ: 14.4mm
ケース素材: SSとプラスチック
風防素材: ハードレックス
ムーブメント: Cal.H851
夜光: あり
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: シリコンストラップ
贅沢モデル
ブランド: ブライトリング(Breitling)
モデル名: エアロスペース エヴォ(Aerospace EVO)
直径: 43mm
厚さ: 10.8mm
ケース素材: TI
風防素材: サファイアクリスタル
ムーブメント: Cal.ブライトリング79 温度補正スーパークォーツ
夜光: あり
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: TI製ブレスレット。ラバーストラップの追加オプションあり