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ブランパンといえばフィフティ ファゾムスを思い浮かべる方が多いのではないだろうか。あるいはよりカジュアルな兄弟機のバチスカーフ。そして私のようにエアコマンドの夢を見ている人もいるかもしれない。
しかし、それはかなり最近のことだ。多くの人に知られていないことだが、ブランパンは2007年までフィフティ ファゾムスをシリーズ化していなかった。1980年代、90年代、そして2000年代初頭、ブランパンはドレスウォッチ、複雑カレンダー、そしてメティエ・ダールを中心にビジネスを展開していた。ジャン-クロード・ビバーが1980年代に会社に対して行った大きな賭けは、消費者が複雑時計を買うのは複雑さゆえであるということだった。その歴史的な影響があったとしても、シンプルな機械式時計を欲しがる人はいなかったのだ。
だからこそ、ブランパンがフィフティ ファゾムス以外で何をしているのか常に注目していたい。誤解しないでほしいのだが、私はフィフティ ファゾムスが大好きだ。しかしこのブランドの深みは豊かでダイバーズウォッチ以外にも多くのものを提供しているのだ。
ブランパンの最新メティエ・ダール作品の一つは、台湾ブティックのために8世紀の日本で生まれた芸術技法である“赤銅”を使って作られた。ブランパンの製品管理責任者であり、ジャケ・ドローの元CEOであるクリスチャン・ラットマン(Christian Lattmann)氏に電話をかけ、赤銅とタイワンヒョウのメティエ・ダールの隠された精緻さについて聞いてみた。
ステップ1:インスピレーションのためのスケッチ
「これらの時計は、特定の市場のお客様とスイスのクリエイティブチームとの間で常に議論されています。コンセプトが決まると適切なアーティストを探し、ポーズや背景の装飾などを大判の紙にスケッチします。この時計は台湾の固有種であり、重要なシンボルであるタイワンヒョウをモチーフにしています」
ステップ2: 赤銅を始める
「“赤銅”とは、日本で生まれた非常に古いタイプのノウハウのことです。私たちはこの非常に古い職人技を時計に取り入れ、ほかとは異なるものを開発・創造したいと考えています。赤銅の技術は金と銅の合金の自然な黄色やオレンジの色調に手を加えることで成り立っています。その結果、ニュアンスのあるダークブルーグレーに変化し、非常に魅力的な色になります。これは唯一の方法であり、希望の色が得られるまで繰り返される温かい化学物質に浸すめっき浴によって行われます。
このノウハウはこれまでの時計業界にはなかったものです。私たちはそれを最初に作ったのです。このプロセスには非常に長い時間がかかりました。アーティストに受け入れられた色は決して変わることはありません。素材の中に残るのです。それは単なる色や絵ではありません。将来的にも変わることはありません。それによって完全にタイムレスな時計が生まれるのです」
ステップ3:アップリケを彫る
「赤銅には、彫刻をはじめとするさまざまな技術が関連しています。この時計ではダイヤルのエングレービングは手作業で立体的に行われています。ダイヤルにはさまざまな高さが生まれ、これによりほかとは全く異なる美学が生まれます。時計に視覚的な面白さをもたらすのです。
エングレービングは、赤銅の工程で色が変わった後に行われます。ダイヤルはアップリケが分離しないように1つのパーツにまとめて刻印されており、さらにこのアップリケをさまざまな塩水に浸すことでネコの毛皮にあるような斑点の色を出すことができます。赤銅から彫刻まで一人のアーティストがダイヤル全体を完成させています」
ステップ4: テクスチャーを追加し、アップリケを固定して文字盤を彫る
「ダイヤル表面は彫刻、彩色、彫金などで複雑な質感を出します。アップリケがダイヤル表面に置かれ、あらかじめ開けておいた穴に極細のピンを差し込んで固定されます。その後、ピンの裏を丁寧にハンマーで叩き、しっかりと固定。アップリケを取り付けた後は陰影や色の深みを出すために赤銅の作業を繰り返します。このダイヤルはCEOのマーク・A・ハイエックのもとに持ち込まれ、最終的に承認されます」
ステップ5: ダマスクと装飾
「“ダマスキング”とはダイヤル下地を彫って、そこに金糸や銀糸など表現したい色に応じた糸を導入し、彫った文字盤に糸を打ち込むことで好きなモチーフや装飾を得るというものです。その後、滑らかに研磨されます。
この時計では、ヒョウのヒゲがゴールドのフィラメントで作られています。接着剤は一切使用していません」
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