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ブレモンは、時計業界の大御所であるダビデ・チェラート(Davide Cerrato)氏が、新CEOおよび取締役に就任したことを発表した。ブレモンは2002年に、ニック(Nick)とジャイルス・イングリッシュ(Giles English)兄弟によって設立されたイギリスのブランドであり、ここで新たにチェラート氏は長年にわたり培ってきた経験を活かしていく。フィナンシャル・タイムズ紙が同社を1億ポンド以上(日本円で約171億3850万円)の評価額だと報じた投資ラウンド後、大富豪のヘッジファンドマネージャーであるビル・アックマン(Bill Ackman)氏とHellcat Acquisitions LPがブレモンに5900万ドル(日本円で約81億1250万円)投資したあとに発表が行われた。
チェラート氏は業界では有名な人物であり、チューダーではマーケティングやデザイン、製品開発の責任者を務め、ブランドのリブランデンングを統括。2012年にブラックベイコレクションをデザインしたことで、おそらく最もよく知られている人物である。その後モンブランに入社し、新設された時計部門のマネージングディレクターに就任。モンブランでは、1858 ジオスフェールといった時計を発表したほか、老舗メーカーのミネルバ社をモンブランの傘下へと収めた。2018年のHodinkee Radioでは、モンブランに在籍していたころのチェラート氏に話も伺っている。そして直近だと昨年、復活したばかりのHYTに、チェラート氏がCEOとして参加することを発表したばかりである。
2015年に行ったチェラート氏のインタビューでは、彼の時計に対する情熱がいかに深いものであるかを紹介している。彼はチューダーのアーカイブを見せてくれる(これについてはもちろん2015年に見せてくれている)のと同じくらい、ジュネーブ・オークションの最前列にもいるような熱意ある人だった。彼は何十年も前から時計愛好家の領域とも関わっており、そのスペースがどのようなものであるかを定義するのにも大いに協力してきた。特にチューダーはチェラート氏による最初の指導がなければ、今のようなブランドにはなっていなかっただろう。彼はブランドのヘリテージを、ブラックベイコレクションで代表するリローンチの波に乗せることに成功させたのである。
そして今回チェラート氏は、2021年にイングランドにあるヘンリー・オン・テムズに自社の製造施設を開設して以来好調を維持しているイギリスを拠点としたブレモンに参画したのである。同ブランドは時計の大量生産をイギリスに戻すことを目標に掲げており、この新施設(その形状からザ・ウィング=The Wing と名付けられた)はそのための大きな1歩となった。
2000万ポンド(日本円で約34億3000万円)も投資したともいわれている製造拠点の成果は、ブレモンの時計にも表れ始めている。というのも同ブランドは昨年、ブレスレット一体型のスポーツウォッチに自社製ムーブメントを搭載したスーパーノヴァを発表している。ムーブメント製造の自社製造化に向けたブレモンの取り組みについてもっと詳しく知りたい方は、同記事内にあるロビン・スウィッシンバンクによる新しいマニュファクチュールへの訪問、そしてジェームズ・ステイシーによるスーパーノヴァのHands-Onレビューのふたつのリンクを読むことをおすすめする。
アックマン氏とHellcatから得た多額の投資を背景にチェラート氏の就任が決定し、英国の豊かな時計の歴史を汲んだ(それと航空と軍事による、健全なインスピレーションとともに)ブレモン。ブランドが今後何になり得るかという野心を追求するという点では、まだスタート地点に立ったばかりといえるだろう。
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