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※本記事は2026年7月3日に執筆されたUS版の翻訳です。
またまたハッピーフライデー! そして今週、Goodwillでオメガ スピードマスター Ref.2998-4を手に入れた方、本当におめでとう。一方で私はと言うと、中西部育ちであり父親でもあるため、この猛烈な暑さについてのつまらないジョークを言いたくなるのを必死に我慢している。この暑さも和らぎ、近いうちに気温が平年並みに戻ってくれることを願うばかりだ。
先週の結果を振り返ると、ハミルトンは4300ドル(日本円で約70万円)、オメガ スピードマスター “ソユーズ”は1万8000ユーロ(日本円で約330万円)、ユニバーサル・ジュネーブ マスターテック ラトラパンテは4250ポンド(日本円で約90万円)で落札された。一方、ヴィアネイ・ハルター ムーンフェイズ搭載のゴールドプファイル ジャンピングアワーも無事に落札されたが、オークションハウスは落札価格を公開しておらず、私の問い合わせメールにも返答がない。真相は謎のままだ。
番外編
先週は『フィラデルフィアは今日も晴れ(It's Always Sunny in Philadelphia)』に触れたが、今週はそれにちなんで、ケースバックに「Dennis from Mac(マックからデニスへ)」という献辞が刻まれた魅力的なモバード エルメトを紹介せずにはいられなかった(編注;現在オークションは終了している)。また先週は、ちょっとした議論を巻き起こそうと思い、ハミルトン マリンクロノメーター モデル21が“史上最も重要なアメリカ製腕時計”という持論を展開した。ちなみにその次点として挙げるなら、ブローバ アキュトロンだろう。そしてそれを最も純粋な形で体現しているのがスペースビューだ。現在、状態の良いスペースビュー(ただし不動品)が出品されている(編注;現在オークションは終了しており、600ドル/日本円で約9万8000円で落札)。また同オークションロットにはスペースマン(こちらも不動品)も出品されているが、私はこれがもっと個性的で風変わりな時計として注目されてもいいと思っている。
Photo courtesy of Seuyco
こちらは、驚くほど控えめながらもゴージャスなグランドセイコー SBGW235だ。そして同じオークションには、“ステリルダイヤル”を備えたIWC マークXIIの状態の良い個体も出品されている。また知人のなかには、ヴィンテージのミリタリーウォッチは改造されていたり偽物だったりすることが多いため、一切買わないという人がいる。そしてもちろん、私自身はその分野の専門家ではないが、この2本のA.ランゲ&ゾーネ B-Uhrについてさらに詳しく調べる価値はありそうだ。最後に、もっと紹介されるべきクールなオメガのカリプソ、そして私よりも資金力のある人がすぐに購入すべきトーマス・エンゲルの素晴らしい懐中時計も出品されている(編注;現在すべてのオークションは終了している)。
ミリオン製のバルジュー72、別名“プア マン エニカ”
私はかなり早い段階から、いわゆる“プア マン ホイヤー(Poor Man Heuer)”に夢中になった。このカテゴリーには実にさまざまなモデルが存在する。もちろんホイヤーは大好きだし、何の不満もないが、私は筋金入りの“カークランド派”だ。同じような品質のものが、ブランド名だけ違って手に入るなら、迷わずそちらを選ぶタイプなのだ。そこで登場するのが、ミリオンのクロノグラフ。これはいわゆる“シェルパ・グラフ・カズンズ(Sherpa Graph Cousins)”と呼ばれるカテゴリーに属し、名前と写真からもわかるように、これは名前が違うだけでエニカのシェルパ・グラフにきわめて近いものだ。ダイヤルには多少のシミがあるが、時計全体としては十分見栄えが良い(もちろん、欠点に対する許容度によるだろうが)。
Photo courtesy Time Studio Watches
“プア マン ホイヤー”とシェルパ・グラフ・カズンズ(SGC)を比較して、今でも魅力的だと感じているのは、一般的に見つかるリブランドされたホイヤーは、よく知られたブランド名で販売されていることが多いのに対し、SGCはそうではないという点だ。ミリオンの時計はほかにも見たことがあるが、市場に出てくる機会はそれほど多くない。デソト(Desotots)とシルト(Schild)も同様だ。これらは私が所有していた別のSGCであり、、これらのブランド名を冠した時計はほかにも見つかるものの、ブランドとしての知名度や影響力はホイヤーの派生ブランドには遠く及ばなかった。
Photo courtesy Time Studio Watches
この個体はダイヤルの状態が少々残念ではあるものの、それ以外はきわめて素晴らしい。私の記憶では、ミリオンのロゴが入ったブレスレットはほかに見たことがなく、それだけでも十分にクールだ。そして、面取りされたラグを備えたおなじみの40mmケースもきわめて魅力的だ(当然ながら、オークションに向けて磨かれたものではない)。執筆時点では900ポンド(日本円で約19万6000円)の入札があり、この時計は7月12日、シェフィールドで競売にかけられる予定だ(編注;現在オークションは終了しており、1100ポンド/日本円で約24万円で落札)。
18Kゴールド製のオメガ コンステレーション Ref.2648
再び18Kゴールドのオメガ コンステレーションを取り上げてしまって申し訳ない。だがどうしても我慢できなかった。コンステレーションは、1952年にバンパー式ムーブメントを搭載したRef.2648として誕生した。この十字線ダイヤルを備えた個体は、まさにそのコンステレーション誕生の年に製造されたものだ。つまり時計史において最も重要なモデルのひとつと言えるコンステレーションの記念すべき初代モデルである。
コンステレーションは、そのバリエーションの豊富さゆえに実に奥が深いモデルだ。パイパンダイヤルにドッグレッグラグを備えたモデル(日付表示なしはRef.167.005、日付表示ありはRef.168.005)が最高だと断言する人も多いし、Ref.2852を絶賛する人もいるが、これらはコンステレーションの世界のほんの一部に過ぎない(コンステレーションに関する膨大な情報は、1カ月では到底消化しきれないほどだ。デズモンド・ギルフォイル/Desmond Guilfoyle氏による貴重なウェブサイトを見て欲しい)。ヴィンテージのコンステレーションにはケース形状、素材、ダイヤル、針の違いなど実に多彩な組み合わせが存在し、その世界はほとんど果てしなく広がっている。
今週出品されているこの個体はフランスで7月4日に競売にかけられる予定だが、注目に値するのは時計を見る際の「3つのC」、すなわちコンディション、コンディション、そしてコンディションという基準を見事に満たしているからだ。金時計を評価する際のわかりやすい指標のひとつがケースバックの状態だが、この個体は天文台メダリオンの保存状態が驚異的と言っていいほど素晴らしい。表側から見ても、シャープな造形を保ったラグや十角形のリューズが確認できる。もちろん使用による痕跡はあるものの、70年以上前に製造されたソリッドゴールド製の時計で、これほど良好なコンディションの個体に出会うことはそうそうないだろう。
ダイヤルについての私の見解は、必要に応じて判断いただきたいが、私の目には、オリジナルで非常に良好な状態に見える。私は専門家ではないが、このモデルを数多く見てきた経験からすると、すべて問題ないように思える。もっともコンステレーション Ref.2648のダイヤルについては、オリジナルかどうかをめぐって活発な議論が交わされていることも事実だ。それでも私は、このダイヤルはオリジナルだと判断するし、もし今ゴールドのコンステレーションを探していたなら間違いなく入札した。
繰り返しになるが、これは明日オークションに出品される(編注;現在オークションは終了しており、4218ユーロ/日本円で約78万9000円で落札)ので、バーベキューや花火などの予定があるなら、その前にぜひ見て欲しい(オメガが好みでない場合は、同じオークションに素敵なゴールドのユニバーサル・ジュネーブの時刻表示のみの腕時計も出品されている/編注;現在オークションは終了しており、1820ユーロ/日本円で約34万円で落札)。
サルパネヴァ×ムーミン
私はフィンランド人ではないし、ムーミンの原作についてもまったく詳しくない。それでもこのサルパネヴァ×ムーミンのコラボモデルが発売されてから6年のあいだ、SNSやニュースフィードなど、どんなフィードであれ目にすると、退屈してすぐに目をそらしたことは一度もない。もちろんそれが時計への関心度を測る完璧な指標だとは言わないが、少なくともその時計に惹かれる理由としては、これ以上ないくらい良い出発点だろう。
ムーミン原作誕生75周年を記念して2020年に発売されたこの時計は世界限定75本、価格は5000ユーロ(当時のレートで約63万円)だった。そして発売からわずか1日で完売している。美しく仕上げられたケースは魅力的で、搭載されるSoprod A10ムーブメントも十分信頼できる。しかしこの時計の魅力はほぼ、3層構造のダイヤルにかかっていると言えるだろう。
これは細かな仕様そのものよりも、それらすべてが最終的にひとつの完成されたデザインとして見事に調和しているかどうかが重要な時計だ。3枚のダイヤルプレートがレーザーカットで製作されていることや、葦(リード)の部分に夜光塗料がランダムに塗布されるため1本ごとに表情が異なることも、全体として美しくまとまっていてこそ意味を持つ。少なくとも私にはそうなのだ。Loupe Thisの出品ページを開いて13枚目の写真を見ると、夜光が確認できるが、その写真は、ある種の踏み絵になるはずだ。その夜光の表情を見て心が躍るなら、ぜひ先へ進んで欲しい。そうでなければ、見送るのが賢明だ。執筆時点で入札額は7000ドル(日本円で約110万円)で、この時計は7月7日に競売にかけられる(編注;現在オークションは終了している)。
ヴァシュロン・コンスタンタン 4111
まず7月6日に開催されるArtcurialのオークションには、素晴らしい時計が多数出品される。なかでも注目は、驚異的なジャケ・ドローの“トゥエルブ・シティーズ”(編注;現在オークションは終了しており、8606ユーロ/日本円で約160万円で落札)、サウジアラビア王国の紋章があしらわれた未使用のヴァシュロン・コンスタンタン 222(編注;3万7072ユーロ/日本円で約690万円で落札)、そしてF.P.ジュルヌからプラチナ製のオクタ・パーペチュアル(編注;16万5500ユーロ/日本円で約3000万円で落札)、チタン製のエレガント(編注;7万172ユーロ/日本円で約1300万円で落札)、プラチナ製サンティグラフ・スヴラン(編注;31万7760ユーロ/日本円で約5900万円で落札)、さらにプラチナ製のオクタ・ディヴィーヌ(編注;15万8880ユーロ/日本円で約2900万円で落札)の4本だ。
しかしなかでも際立っているのは、1940年製のヴァシュロン・コンスタンタンのクロノグラフ Ref.4111だ(編注;現在オークションは終了している)。この時計については、あれこれ語ること自体が少し野暮に思えてしまう。というのも、この時計を評価するうえで重要な要素のほとんどは、ひと目見ればわかるからだ。美しい時計かと聞かれれば、もちろんそのとおりだ(“美しさは主観的なもの”というお決まりの前置きは付けておくが)。さらに信じがたいことだが、複数の情報源によれば、このRef.4111はわずか3本しか製造されなかったという。あまりにも信じ難い話ではあるが、インターネットで読んだ情報なのだからきっと本当なのだろう。
その希少性はひとまず置いておくとして、まず気になるのは、アールキュリアルがダイヤルについて「クリーニング済み」と記載している点だ。私には、その表現が具体的に何を意味しているのかわからない。5万~8万ユーロ(日本円で約930万から約1500万円)という予想価格は、傷ひとつなく、完全にオリジナルの状態の時計が売れる価格としては低すぎるように思える。とはいえヴァシュロン・コンスタンタンのアーカイブ抄本が付属していること、そしてこの時計が初代オーナーの子孫の依頼を受けて出品されているという点は多少の安心材料になるかもしれないが、それ以外については、ある程度は信じるしかないだろう。もしあなたが(私のように)86年前の無垢の金製高級時計には手が届かないけれど、それでも円形ケースではないクロノグラフが欲しいと思っているなら、かなり使い込まれてはいるものの(私の意見では)それなりの魅力があるエテルナはどうだろうか(編注;現在オークションは終了しており、1900ユーロ/日本円で約35万円で落札)。
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