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落札予想価格7万ドル〜9万ドル(約725万〜930万円)で、クリスティーズに出品された18Kイエローゴールドのカルティエ クラッシュ ドゥ カルティエが、バイヤーズプレミアムを含まず22万5000ドル(約2330万円)という驚くべき価格で落札され、オークションの新記録を樹立した。このオークションは12月10日に行われ、いくつかの高評価を得たロットのおかげで、クリスティーズは総額約775万ドル(約8億235万円)を獲得し、カルティエのアイコンであるこのモデルのセールを含め、多くの記録を樹立した。
この新記録を樹立したクラッシュは1990年のもので、箱とドキュメントの両方が付属している。初期のモデル(1991年以前のモデルだが、保証書の日付は1991年2月)であるこのクラッシュのサイズは43mm(91年以降のモデルでは38mmのケースを使用)で、ダイヤルには“London”の文字があり、クラッシュの他のモデルと同様に、カルティエのロンドンブティックでのみ販売された。興味深いことに、このモデルは記録的な売れ行きであるにも関わらず、クラッシュの価値の可能性に関して言えば、おそらくまだ考え得る落札価格の途中にある。このモデルは1991年以前の43mmモデルであることで大きな価値があるが、1967年に発売されたオリジナルからすれば後期のモデルであるため、全く同じダイヤルデザインを共有しているわけではない。
初期のダイヤルデザインの例(左、画像提供:エリック・クー)と(右)クリスティーズで落札され、1990/91年の記録を更新したクラッシュ。
古いダイヤルデザインの魅力(と価値)を理解するために、僕はクラッシュの専門家であり、時計ディーラーでもありスーパーコレクターのエリック・クーに連絡を取ると、彼は私にこう言った。「クリスティーズで達成された結果は、特にクラッシュのようなヴィンテージ・カルティエの作品に対する関心の高まりを示しています。オリジナルスタイルのダイヤルを備えた70年代または80年代のバージョンであれば、結果のほぼ2倍を簡単に達成できたはずです」と。このように、クラッシュにとっては素晴らしい結果となったが、初期の(そしてより希少な)例の中にも大きな可能性があるように思える。
クラッシュの全体的な希少性を考えると、比較可能な結果は限られている。1ヵ月足らず前、11月11日に開催されたサザビーズの“Important Watches Featuring Masterworks of Time”オークションでは、1991年の“Paris”ダイヤル(400本限定モデルの一部)が9万720スイスフラン(約1060万円)で、2012年にはサザビーズで1989年モデル(今回のモデルに近い)が4万3750ドル(約450万円)で落札された。さらに遡ると、2005年には、サザビーズで1986年のクラッシュが3万9000ドル(約400万円)で落札されている。“London”ダイヤルで、より直近の結果を見てみるとフィリップスで2017年10月に1987年のクラッシュが出品され、17万5000ドル(約1810万円)で落札された。
多くのヴィンテージウォッチと同様に、2000年代初頭を振り返ってみると、その価格は最近の結果と比較すると非常に低いものだった。とはいえ、クラッシュ(特に1991年以前の"London"モデル)は、10年以上にわたって上昇し続けている。先日のクリスティーズオークションでの結果は、市場がクラッシュに関して6桁ドルの価格(1000万円以上)で取引する土壌が整ってきたことが確認されたに過ぎないが、これらの遊び心があり、コレクターの多い変り種のカルティエの天井がどこにあるのかは、時間が経てば分かることだろう。
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