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シアン・プロクター(Sian Proctor)博士は3500人の宇宙飛行士候補者のなかから、2009年にNASAの最終選考に残った47人の一人だ。この年、彼女は宇宙飛行士になることはできなかったが、12年後にはインスピレーション4(Inspiration4)に搭乗し、軌道上での初の民間人によるミッションで宇宙に進出した。インスピレーション4は、シフト4ペイメンツ(Shift4 Payments)の創業者である億万長者、ジャレド・アイザックマン氏の発案によるものだ。インスピレーション4の“4”とはミッションの4つの柱を意味しています。リーダーシップ(Leadership)、希望(Hope)、寛大さ(Generosity)、繁栄(Prosperity)だ。これらのミッションバリューは、それぞれミッションの参加者と結びついていた。希望(Hope)の席には小児がんを克服し、セント・ジュード・チルドレンズ・リサーチ病院のPAになったヘイリー・アースノーシャン・プロクター(Hayley Arceneaux)氏が、繁栄(Prosperity)の席にはパイロットであり、科学者であり、起業家でもあるシアン・プロクター博士が座った。そして寛大さ(Generosity)の席には、空軍で航空宇宙産業に従事していたクリストファー・ センブロスキー(Christopher Sembroski)氏が座った。
このミッションではセント・ジュード・チルドレンズ・リサーチ病院のために2億1000ドル(227億8900万円)もの寄付金が集まった。
しかし、ギフトはこれだけではない。IWCはインスピレーション4と提携し、ミッションに参加する民間宇宙飛行士一人一人にユニークな時計を支給。これらの時計はオークションにかけられ、その収益はセント・ジュードに寄付される。11月6日、カリフォルニアで開催されるセント・ジュード・インスピレーション4・セレブレーションでヘイリー・アースノーの時計がオークションにかけられることになった。入札者はイベントに参加する必要があるが、11月10日まではアイザックマン氏、プロクター氏、センブロスキー氏が着用した時計もオンラインで入札できる。現在、宇宙開発は官から民へと急速に移行しているという点で非常に興味深い時期にあり、民間人による初のクルーが誕生したことは特筆すべきことだ。個人的には、宇宙旅行が民主化されて一般的になったときに「飛行した」時計がどのような軌跡をたどるのかに興味がある(これは明日とはいわないが、そう遠くはないだろう)が、いずれにしても民間人初のクルーになれるのは一度しかない。
パイロット・ウォッチ・クロノグラフ「Inspiration4」エディション
この4つの時計は、酸化ジルコニウムとほかの金属酸化物を混合して作られたホワイトセラミックを使用しており、ビッカース硬さではダイヤモンドに次ぐ硬度を誇る。ダークブルーのダイヤルはラッカー仕上げで、6時位置のインダイヤルにはインスピレーション4のロゴが入っている。また、チタン製のケースバックには乗組員の名前と彼らが従事するミッションの価値が刻印され、内部にはIWCのCal.69380が搭載される。
ミッション終了後にシアン・プロクター博士に話を聞いたところ、彼女は時計愛好家として支給されたIWCを身につけられたことを光栄に思っているが「オークション用と私たちが持っていてもいいように、2つ作ってくれなかったのが残念です」と語った。