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あなたは母に時計を贈りたいと思っている。ただバスローブのようなありきたりな時計を贈るのではなく、意味のあるもの、心に響くものを贈りたい。あなたの好みと母の好みは大きく異なるかもしれないが、家宝のようなクオリティの時計を母に贈るということは、つまり、あなたがその家宝を受け取ることになるかもしれない。では、彼女が今欲しくて、しかも家族に何世代にもわたって受け継がれていくものを贈るにはどうしたらいいだろう? そこで我々は、ジュネーブを拠点とするスコットランドの時計デザイナー、フィオーナ・クルーガーと、ワシントン州シアトルを拠点とする新進気鋭の若手時計師、アレナ・ディアスに話を聞いた。技術的な話(ネタは多いが)ではなく、家宝になるような時計を贈り合う際のアドバイスを、それぞれの経験をもとに聞いてみた。
クルーガーの代表的なデザイン。
フィオーナ・クルーガーは、独特の美学に基づいて“スカル”ウォッチをデザインしている。時間と死をテーマにしたデザインで、クルーガーはその象徴としてスカルを選んだ。彼女が重視しているのは、時計製造において何度も繰り返されてきたような“クラシック”ではないものを作ることだ。オリジナリティを重視するクルーガーの姿勢は、彼女のギフト哲学にも通じている。なぜなら、「誰かがその時計について考え、何か特別な思いをもったことを示すからです」と言う。そして、購入者であり、愛する子供であるあなたが、母が喜ぶであろうものを選んだということでもある。母親の愛を伝える言語によっては、業界を象徴するような時計はどこにでもあるので、ベストマッチとは言えないかもしれないとクルーガーは語る。「個人的な好みではありますが、私はユニークさを大切にしています」と彼女は言う。
ベンチにいるアレナ・ディアス。
アレナ・ディアスは、その逆のアプローチをとっている。ARES Watch Companyの時計職人である彼女は、昨年、母にチューダーのサブマリーナーをプレゼントした。彼女の母はいつもそれを身に着けている。彼女は、娘のアレナがいつか身に着けるだろうと思うものでなければ、時計や宝石を買うことを好まない。それは娘の贈り物にプレッシャーを与えるかもしれないが、彼女の人生に大きな影響を与えた哲学でもある。「私は1920年代のブローバをもっていますが、これは大叔母がもっていたものです。私の家の女性たちが代々受け継いできたもので、今でも美しく動いています。大叔母は看護師だったそうで、私はそれを見ると誇らしくを感じます。1920年代に彼女がこれを身に着けて仕事をしていたことを考えると、とても素晴らしいと思うのです」
ディアス家に伝わる1920年代のブローバ。
そのブローバが、彼女の時計への情熱を刺激したのだ。自動車整備士を経て、5年間時計技術者として働いた後、時計学校に入学。現在、彼女は正真正銘の時計師として3年めを迎えている。機械式時計の内部構造を熟知している彼女は、母にためらうことなくチューダーのサブマリーナーを選んだ。彼女がこの時計に惹かれたのは、高品質な機械式時計であることと、汎用性のあるデザインであることだ。信頼性の高いキャリバーを採用し、将来的なメンテナンスもほぼ保証されているので、家宝として重宝するはずだ。機械的なことはさておき、彼女は美的な面においても母にぴったりだと考えている。「私は年を重ねるごとに、自分のスタイルの多くが母から受け継いだものであることに気づいたのです」
娘から贈られた時計を身に着けておしゃれを楽しむアレナの母。
クルーガーは、母のために時計を買う場合、「美術品を買うのと同じように、見ていて“ワオ!”と感動するようなものでなければならないのです」と言う。 彼女は、物に意味を与えるものは何か、そして家宝の背景にあるストーリーが物と同じくらいなぜ重要なのかを考えている。「何かを受け継ぐときには、その物と一緒にストーリーも受け継ぐことになります」と彼女は語る。「作品と作り手が、あなた自身の個人的なカルチャー、さらにより広いカルチャーのタペストリーの一部となって、願わくばそれがあなたの時代の後にも意味をもつようになればと思うのです」
では、クルーガーが選ぶ、母にぴったりの時計とは? 「“私はあなたを見つめている、あなたは見つめられるに値する”と言ってくれるようなもの。私たちは母が一人の人間であることを忘れてしまうことがあると思うのですが、あなたが母を女性として見ていることを示す作品はとても貴重です」と彼女はアドバイスする。「だから、ブランドや評価、値段などは気にしないで、あなたの母のこと、彼女の個性を考えて、それを称えるものを贈ってあげてください」
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