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Lead image courtesy of Brandon Menancio.
Photos by Anthony Traina
ジャガー・ルクルトの創業190周年を記念し、今年1月に初めて発表された“コレクタブルズ”は、同社がいうところの20世紀の時計製造の黄金時代である1920年代から1970年代までのヴィンテージウォッチの修復に焦点を当てた新しいプログラムである。JLCは先週、ロサンゼルスで第2弾となるコレクタブルズを開催。ヴィンテージウォッチコレクションを発表し、歴史的に重要な11本の時計を販売した。
コレクタブルズを特別なものにしているのは、小さなヴィンテージウォッチコレクションを入手し、完全に修理して復元することにかける情熱と努力である。ムーブメントメーカーとしてのジャガー・ルクルトの実力についてここで述べる必要はないが、この11本の小さなウォッチコレクションでさえ、その歴史的な革新性は十分に発揮されている。1929年に史上最小の機械式ムーブメントとして発売されたCal.101、数々の革新的イノベーションを盛り込んだCal.497を搭載したフューチャーマチック(装着するとすぐに動作する、特別な6時間パワーリザーブを含む)、そしてJLCのアラームウォッチである5本のメモボックスなどがある。
ジャガー・ルクルトは10人からなる修復専門の時計職人でチームを編成し、ヴィンテージウォッチの修復に取り組んだという。(昔から変わらず)JLCは垂直統合型のメーカーであり、時計職人たちはブランドのアーカイブとこれまでに製造されたすべてのキャリバーの図面を入手することが可能だ。場合によっては、数十年前のムーブメントのスペアパーツまで用意されることがある。しかし特定の部品が見つからなければ、職人たちはイチから新しいパーツを作ることができるという。
これは機械的な修復方法であるが、JLCではケースやダイヤルの修復作業を最小限に抑え、できる限りオリジナルに近い状態を保つことを優先している。この2回目のカプセルコレクションではオリジナリティ重視の姿勢を貫き、11本あるピースはそれぞれコレクターズグレードのコンディションを保つ。オリジナルへのこだわりは、JLCのプロダクト&ヘリテージディレクターのマシュー・ソーレ(Matthieu Sauret)氏を中心とした買い付けプロセスから始まる。現在ブランドのコレクションは数千点にまで及ぶが、なかでもソーレ氏は良質でオリジナルのものを見つけようとしている。コレクトできるヴィンテージウォッチに情熱をささげるバイヤーのように、彼は世界中のオークションやリストを常にチェックしているのだ。コレクタブルズの発売前後、私たちがロサンゼルスに数日間滞在していたとき、彼がイギリス(アトモスのクロック)や日本、あるいはルイジアナ(今回のカプセルコレクションで発売するトリプルカレンダー)で開催された小さなオークションハウスから入手した最新アイテムをすぐに披露してくれた。
ジャガー・ルクルトは自社ブティックのロデオドライブでコレクタブルズを発売した。これをきっかけに、ブランドはコレクターに焦点を当てたイベントをいくつか開催するとともに、同ブランドが所蔵する数々のヴィンテージウォッチを紹介した。
コレクタブルズに掲載された11本の時計は、1920年代からすでにジャガー・ルクルトのデザインと機械的なイノベーションが多種多様であることを示している。コレクションはYGブレスレットでできた1920年代製のエレガントなデュオプランから始まり、そして1970年代には大ぶりなケースと多彩なカラーの組み合わせよりもインパクトが強い、大きなアラーム音を発するメモボックスウォッチを製造している。これらのコレクションはすべて、ジャガー・ルクルトのウェブサイトで見ることができる。より詳しく時計について知りたいという人は『コレクタブルズ・ブック』を探してみることをおすすめする。11本の時計にはそれぞれ、本書のコピーとアーカイブの引用がセットになっており、またそのなかの数本の時計にはオリジナルのボックスとペーパーも付属している。
2回目となるコレクタブルズ カプセルコレクションは、JLCが透明性の高いヴィンテージウォッチを使って修理、復元、そして販売することで、いかにブランドの伝統を支えているかを提示している。以下では同コレクション全11本の時計を紹介する。
Wind Vintageのエリック・ウィンド(Eric Wind)氏とチャーリー・ダン(Charlie Dunne)氏でパネルディスカッションを行ったとき、ソーレ氏のコレクタブルズプロジェクトとJLCへの情熱が存分に発揮された。
「テクノロジーとデザインは別々の世界ではありません」と話すソーレ氏。「目的を果たせなければ、技術は何の意味も持ちません。このふたつの世界は互いに相互し合わなければならないのです」。この考え方はJLCの歴史的なタイムピースや最近の製品へのアプローチにも表れている。例えば、今年発表されたレベルソ・トリビュート・デュオ・トゥールビヨン(写真は下へスクロール)だ。フライングトゥールビヨンは見ているだけでもクールなのだが、身につけられなければ大した意味はない。そこでJLCは、スリムな9.15mmのレベルソケースに収まるよう、新型のCal.847を製造。さらに第2時間帯も追加している。
これはジャガー・ルクルトのヴィンテージカタログの至る所で見ることができる、デザインが革新をもたらし、その逆もまた然りという完璧な例である。1929年に発表された当時世界最小の機械式ムーブメントであったCal.101は、あらゆる種類のゴージャスな形状とデザインを可能にし、その一部はロサンゼルスで展示された。もちろんアラームとトリプルカレンダー、そして耐磁性は、その後のジャガー・ルクルトの時計製造の黄金時代を決定づけるものだった。レベルソのケースでさえ、シンプルで継ぎ目のない反転ケースを作成するために50以上ものパーツを使用しているなど、技術的に驚きを感じるものだ。
今年リリースされたレベルソ・トリビュート・クロノグラフ、レベルソ・トリビュート・デュオ・トゥールビヨン、そしてよりシンプルなレベルソ・トリビュート・スモールセコンドは、コレクタブルズに込められた歴史から学ぶジャガー・ルクルトの姿を示唆しているようである。(そういうところもあると思うが)ジャイロトゥールビヨンのためにジャイロトゥールビヨンを作っているわけではないということだ。もしかしたら、私も同じくらいコレクタブルズから多くのものを学んでいるのかもしれない。私がいえるのは、今年発表されたいつもとは違う形のレベルソに夢中になったということだ。これは、JLCがコレクタブルズで誇らしげに発表した黄金時代のように、技術とデザインを両立させつつ身につけられる時計を製造したということだ。
ロサンゼルスでのイベントはコレクタブルズのリリースを中心に行い、そしてその11本の時計はトップバッターの名に恥じないものだったが、展示されていたのはそれだけではなかった。友人やコレクターたちも、最高のジャガー・ルクルトに身を包み登場してくれた(このPhoto Reportではほかにもいくつか紹介している)。