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Year In Review 【2024年版】今年チェックしておくべき、時計にまつわる7のニュース

2024年も時計業界ではさまざまな出来事があった。新たな年を迎えるまえにおさらいしておきたい7つのニュースを、今年もダイジェスト形式でお届けしていく。

気がつけばもう12月も終わりだ。個人的な感想だが、今年はスポーツ、カルチャーの分野で明るいトピックスが多かったように思う。大谷翔平の快挙に加えてパリ五輪では海外五輪最多の45個のメダルを獲得し、第76回エミー賞では日本を舞台にしたハリウッド時代劇『SHOGUN 将軍』が作品賞など史上最多の計18部門に輝いた。2024年は1月1日に起きた能登半島地震により大きな打撃を受けてのスタートとなったが、これらの話題が少しでも日本を明るくしてくれればいいと思っている。一方時計業界は2023年以降のコロナ規制緩和の動きもあり、海外に赴いてのプレゼンテーションがグッと増えた印象だ。欧米のブランドとの生のコミュニケーションの場が増えた分、これまで以上に濃密な情報を提供していきたい。今回はそんな2024年を振り返って来年へと踏み出すべく、チェックしておきたい7つの話題をダイジェストでお届けしていく。


チャリティーオークションでムーンスウォッチ スーツケース11点が約9137万円で落札

2024年2月25日

 いまだ熱狂は冷めやらず、今年もHODINKEEではムーンスウォッチにまつわる数々のトピックスを紹介してきた。4月のWatches & Wonders期間中(もはや遠い昔のように感じる)にはムーンフェイズ部分に“スヌーピー”の姿を描いたミッション・トゥ・ザ・ムーンフェイズが発表され、6月には地球の自然環境にインスピレーションを得たミッション オン アース、その翌月にはわずか2週間ほどしか販売されないミッション トゥ ザ スーパー ブルー ムーンフェイズの発売がアナウンスされた。その後米国と中国でムーンスウォッチのオンライン販売が開始されるというニュースを挟み、10月にはなんと“アースフェイズ”なる新機能を搭載した完全新作もリリース。2023年はミッション トゥ ムーンシャイン ゴールドの年だったが、今年はより個性的なモデルがコレクションに加わった印象だ。

ニコラス・G・ハイエックセンターの2階にあるオメガブティック銀座本店での展示の様子。

 しかしそんな2024年の明け、まず最初に届いたのはムーンスウォッチの新作に関してではなく、11本のムーンシャイン ゴールドモデルをオリジナルのスーツケースに収めてオークションにかけるというニュースだった。全11点が用意されたこのセットは2月25日開催のサザビーズ  オークションに出品されるとブランドは発表。2月1日から11日まではチューリッヒにバンコク、シンガポール、そして東京など世界11ヵ所のオメガ ブティックで展示が行われ、SNSを中心に大きな話題を呼んでいた。

 結果として11セットの落札価格は総額53万4670スイスフラン(当時のレートで約9137万円)を達成し、成功のうちに終了。その売り上げは、同社が2011年から提携している失明予防のための非営利団体オービス インターナショナル(Orbis International)に100%寄付された。オメガの社長兼CEOであるレイナルド・アッシェリマン(Raynald Aeschlimann)氏は、その結果について次のように語った。「今回のユニークなオークションは、世界中のムーンスウォッチファンの心を捉えました。この収益をオービスに寄付できることに非常に感激しています。私たちはオービスが推進する眼科治療ミッションが素晴らしいことであると心から信じており、彼らのために募金を集めることができただけでなく、彼らの知名度がこの活動を通じてさらに高まったことを大変嬉しく思っています」。ムーンスウォッチの人気は、おそらくもう少し続くだろう。今年オーナーとなった(純白のスヌーピーモデルだ)身としては、皆がまたムーンスウォッチに注目するような仕掛けが来年予定されていることを望んでいる。

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新たな時計見本市“ミラノ・ウォッチ・ウィーク”の開催がアナウンスされる

2024年7月

 時計業界では現在、時計見本市をより一般の愛好家に開く動きが進んでいる。今年のWatches & Wondersでは一般公開日が2日から3日に拡大され、時計文化の啓蒙という観点から独自の路線を辿っているドバイ・ウォッチ・ウィークはその会期中に一般公開も実施している。そして今年の7月、時計愛好家と時計ブランドをつなげる新たな時計見本市“ミラノ・ウォッチ・ウィーク”の開催が告知された。会期は10月4日から6日の3日間で、会場はかの有名なテラッツァ・マルティーニ。今年はアンデルセン・ジュネーブにフェルディナント・ベルトゥー、グルーベル・フォルセイ、MB&Fなど独立系メゾンを中心に21ブランドが参加していた。イタリアは食やアート、テーラリングの中心地であると同時にヴィンテージウォッチ市場をいち早く築き上げてきた場所でもある。当然そこに集う愛好家も熱心な人々が多く、Time + Tideの記事によると、30ヵ国以上から3000人を超える参加者が集まった会場には、メディア関係者よりも愛好家やブランドの顧客が多く見られたようだ。すでに2回目を望む声も挙がっているようで、来年の開催に期待が膨らむ。

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数々の議論を巻き起こしたパテック フィリップ キュビタス

2024年10月

 ある意味、今年一番話題を呼んだ時計ではないだろうか。海外誌の広告ページがSNSにリークされたことで瞬く間に世界中に拡散され、その特異なスクエアフォルムに対してさまざまな評価が飛び交った。どこかノーチラスを思わせる面影を持ちながら、突然変異のような存在感もある。キュビタスのなかではエントリーにあたるSS製のRef.5821/1Aでなお、653万円(税込)というプライス(アクアノート Ref.5167Aの392万を大きく上回る)もしばしば論点になっている。

 直径45mmという(数字の上では)ビッグサイズに対する意見も挙がっていたが、実際にキュビタスを手首に乗せた人々の意見は概ね好意的だ。僕自身も一度機会を得て、3本すべてを試してみた。ケースの薄さもあり、特にブレスレットのモデルは僕の17cmという日本人において平均的な太さの腕にも心地よくフィットした。わずか数分程度の試着だったが、数字から感じる以上に着用感はよかったと伝えておく。

僕のInstagramに投稿した写真だ。こちらはゴールドコンビ。

こちらはSSモデル。サンレイのグリーンダイヤルは色調も穏やかで、ファッションに合わせやすく感じた。

 ベンも自身の記事のなかで語っているが、ブランドが顧客の平均年齢を引き下げ、新規層を開拓するべく新たなモデルを提示した際には、大抵の場合既存のコミュニティに大きな衝撃を与える。それはノーチラスとアクアノートにも当てはまり、当時は高級ブランドがSS製の(比較的)安価な時計に注力する動きをよしとしていなかった。だが、その後の成功についてはご存じのとおりだろう。ティエリー・スターン氏はブランドの整合性を重視し、ときに大胆な判断を行える人物だ。2021年のSS製ノーチラスのディスコンもそのひとつであり、これについてはSS製ウォッチがコレクション全体を牽引する存在となることはブランディング上望ましくないからだと語っている。いまだキュビタスについてはSNSでは厳しい意見も飛び交っているが、この時計がパテック フィリップというブランドに何をもたらすのかについての判断を下すにはもう少し時間が必要だと感じる。

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失われたジョン・レノンのパテック フィリップ Ref.2499問題に(一旦)終止符が打たれる

2024年11月14日

 少々ニッチだが、HODINKEEでも2014年にベンが「姿を消した最も偉大な12の腕時計」という記事で話題に挙げて依頼、約10年にわたって追い続けてきたトピックだ(ちなみに2014年時点では、その存在すら懐疑的であった)。ジョン・レノン(John Lennon)が40歳の誕生日にオノ・ヨーコ氏から贈られたRef.2499 パーペチュアルカレンダー・クロノグラフは、1952年から1985年のあいだにわずか349本のみ製造されたうちの1本である。しかしレノンはその2ヵ月後に、ニューヨークにあるアパートの外で殺害される。彼の死後、オノ・ヨーコの自宅で保管されていたこの時計は当時の運転手であるコラル・カルサン(Koral Karsan)によって盗み出され、彼女との別件の係争によって彼が母国へ強制送還された際にトルコへと移動。その後Ref.2499はベルリンを拠点とするオークションハウス、香港在住のイタリア人ディーラーとわたり(このあたりの詳しい話はIn-Depthをチェックして欲しい)、最終的にこの時計が持ち込まれたクリスティーズ・ジュネーブがオノ・ヨーコの弁護士に問い合わせたことでその所在が発覚することになる。この時点で彼女は35年前にレノンに買った時計を紛失したことに気がつき、そこから泥で泥を洗うような法廷闘争が10年にわたり続けられることとなったのだ。

 そして2024年の11月14日、スイスの最高裁判所によって、この時計の所有権がオノ・ヨーコにあるという判決が下された。件のイタリア人ディーラーは速やかに時計を返却するよう命じられ、ようやく彼女のもとに戻ってきたのだ。この時計に関するその後の処遇はオノ・ヨーコが決めるところだが、ジョンの息子であるショーン・レノン(Sean Lennon)氏を含め、彼らは本件に対してひどく心を傷めていたようだ。以下は、過去のRECOMMENDED READINGからの抜粋だ。

 「この時計に関して私たちが乗り越えてきたことすべてを思うと、取り戻すということがとても重要なのです」とショーン・レノン氏はニューヨーカー誌に語った。「私にとってこの時計は、信頼することがいかに危険であるかを何よりも象徴しています」

 イタリア人ディーラーことマウリツィオ・デ・シモーネ(Maurizio de Simone)氏の息子であるジュリアン・デ・シモーネ(Julian de Simone)氏は、この判決が下された当日にInstagramに動画を投稿している。彼は「この件に関して飛び交っている噂や誤った情報を正すため、私たちはこの事件の真実を共有する準備ができています」と主張しており、Youtube上にも本件に関する動画をアップしている。この物語は完璧に幕を閉じたのだろうか。SNSの一部では来年のオークションにこのRef.2499が出品されるのでは? という噂も囁かれている。

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新生ユニバーサル・ジュネーブ、ポールルーターのトリビュートピース3モデルを発表

2024年11月

 2023年も終わりというタイミングで飛び込んできた、ブライトリングのオーナーシップグループであるパートナーズグループがユニバーサル・ジュネーブ(以下、UG)を買収したというニュースを覚えているだろうか。ドクサやニバダ・グレンヒェンなど一度消滅したブランドのリバイバルが続くなか、UGは“眠れる巨人”として長らく手付かずのままで残されてきた。同ブランドには熱烈な愛好家が多く存在しており、今年の前半には各所でポールルーター、トリコンパックスなどの名品がどのように扱われるのか、納得のいく形で復活がなされるのかについての議論が交わされていた。ブランド復活に対する期待値の表れかセカンドマーケットにおけるヴィンテージUGの価格は上がり続け、現在では状態のいいトリコンパックスは100万以下ではほぼ存在していない。

 そして今年の11月、2026年の再始動への期待をさらに高めるかのように、3本のポールルーター SAS トリビュート エディションが発表された。これらはスカンジナビア航空による世界初の北極圏横断商業飛行の70周年を讃えるべく製作されたもので、とりわけローラン・ジョリエ(Laurent Jolliet)氏が史実に基づいてハンドメイドしたメッシュブレスが付属するホワイトゴールド(WG)製のバリエーションは出色の出来栄えだ。この1本は2025年5月にフィリップスのオークションで出品され、収益はジュネーブで応用美術を教える準備校、CFP(Centre De Formation Professionnelle)Artsに寄付される。

 このコンセプトウォッチを実際に目にした人間が周りに少ないので、時計そのものに対する言及はここでは行わない。しかし少なくとも、来年の5月まではこのトリビュートモデルに対してどのような評価が下されるのかという議論が続くだろう。個人的には2026年のグローバルローンチに向けて、来年末あたりにまた大きなトピックスが投下されるのではないかと考えている。

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香港で行われたTOKI-刻- ウォッチオークションでジャパンインディペンデントが大躍進

2024年11月22日

 時計製造、時計収集の世界において独自の文化を有する“日本”にフォーカスした史上初のテーマオークションとして企画されたTOKI(刻)ウォッチオークションが、さる11月の22日にフィリップスのアジア新ヘッドクォーター「WKCDAタワー」にて開催された。HODINKEE Japanは同オークションのメディアパートナーとして、日本の地でヴィンテージウォッチ収集の土壌が形成されるまでのストーリーや、昨今大きな盛り上がりを見せるジャパンインディペンデントウォッチの現在についてさまざまな形で紹介してきた。日本の時計市場、そこに眠る希少な個体に対する評価がそもそも高いこともあり、当日の会場には過去類を見ないほど大勢の人々が詰め掛けたという。

 その期待の高さをそのまま表すかのように、大半のロットが事前のエスティメートを大きく上回る形で終了。なかでも大きな話題を呼んだのが、ジャパンインディペンデントウォッチメーカーの時計たちだ。特にロット107の大塚ローテック 6号 東雲は直前にGPHG・チャレンジ部門の受賞で箔がついたこともあってか、ハイエスティメートの10倍近い42万香港ドルでハンマー。その後菊野昌宏氏の蒼(SOU)が68万香港ドルで落札されたほか、オークションを締めくくるように終盤ロットに名を連ねたMasa & Co、クロノトウキョウ、タカノ、Naoya Hida & Co.も好調な成績を残した。

 その他、クレドール ノード 叡智、カシオ G-SHOCK G-D5000-9JRなどのジャパンブランドもハイエスティメートを大きく更新し、会場を大いに沸かせていた。ウォッチコレクティングの分野における日本市場の価値が、さらに高まってきていることを示す結果と言えるだろう。TOKIに出品したなかにはすでに大きなリリースを控えているところもあり、2025年におけるジャパンブランドのさらなる躍進が今から楽しみでならない。

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HODINKEE Japanの5周年を祝うイベント【Hjp5】を開催

2024年12月19日

 最後は、僕たちにとって今年一番のトピックスとなったこちらで終わりにしたい。2019年11月18日に誕生したHODINKEE Japanは、今年5周年を迎えることになった。最初は編集長・関口、和田のふたりでスタートした媒体は読者やパートナー、関係者の皆様に支えられながら成長し、少しずつメンバーを増やしながらここまで歩んでくることができた。12月19日にはその感謝の気持ちを直接伝えるべく、渋谷のTRUNK(HOTEL) CAT STREETにて5周年記念のイベント“Hjp5”を開催。スペシャルゲストとして俳優の谷原章介氏をお招きしての対談、本国版HODINKEE新編集長であるジェームズ・ステイシーとグランドセイコー企画担当の江頭康平氏とのクロストーク、そしてG-SHOCKの父である伊部菊雄氏の登壇と盛りだくさんの内容に、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。

 詳細なイベントレポートは、追って公開される予定だ。2024年も間もなく終わる。HODINKEE Japanは次の5年を見据えて、今後も時計にまつわる価値あるストーリーをお届けできるよう歩みを続けていく。

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