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Breaking News ポール・ニューマンのロレックス デイトナ Ref. 6263と映画『栄光のル・マン』に登場したスティーブ・マックイーンのホイヤー モナコがフィリップス ニューヨークに出品(編集部撮り下ろし)

ダブルヘッダーの話をしよう...。


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ジュネーブオークションの開催が早くも近づいてきていますが、本日は12月にニューヨークで開催されるフィリップスオークションに関連したビッグニュースをお伝えします。フィリップスチームは、確かな出所に基づいた非常に興味深い2つのロットを確保しました。ポール・ニューマンが所有し、着用していたロレックスのRef.6263 デイトナ “ビッグレッド”と、スティーブ・マックイーンが映画『栄光のル・マン』で着用していたホイヤーのモナコです。繰り返しますが、これはたいへんに興味深いものです。

 これらの2つのロットの関するニュースは、少し前に発表されましたが、我々は発表に先立ってフィリップスのオフィスで、時計を撮影する独占的な機会をもつと共に、フィリップスの専門家チームと話をして、興味深い詳細の全てを得ることができました。

 どちらのロットも12月12日に開催される「レーシングパルス」オークションに出品される予定で、カタログは1週間ほどで公開される予定です。ここでは、2つの時計それぞれについて紹介していきましょう。


ポール・ニューマンのロレックス デイトナ Ref. 6263

 時計自体は何かと知られているものですが、だからといってすごいとは言えません。これはRef.6263 デイトナの“ビッグレッド”で、1983年にポール・ニューマンが妻のジョアン・ウッドワードから、結婚25周年記念のプレゼントとして贈られたものです。裏蓋には“Drive slowly / Joanne”と刻印されています(しかし、比較的浅い刻印なので、下の写真のように、はっきりとした写真を撮るのが難しいです)。この時計を贈られたことで、彼は1年後の1984年に伝説のポール・ニューマン デイトナをジェームズ・コックスに気前よく譲ったという話もあります。もし、あなたがこの時計に既視感を感じたなら、おそらく本当に見たことがあるからです。この時計は、マット・フラネック(Matt Hranek)の2017年の著書『A Man And His Watch』に掲載されているほか、HODINKEEマガジンのVol.1にも掲載されています。また、ポール・ニューマンは80年代半ばから数え切れないほどの写真で着用している(ほとんどの場合、プッシャーのネジを外した状態)ので、以前に彼が身に着けているのを見たことがあるかもしれません。

 ここで面白いのは、この時計について書くとき、命名法的な問題があることです。この時計はポール・ニューマンのデイトナではありますが、“ポール・ニューマン デイトナ”ではありません。時計の収集というのは簡単にはいかないものです。

 ポール・ニューマンのデイトナが、2017年10月にフィリップスで1775万ドル(バイヤーズプレミアム込みで約20億円、なしでは約17億円)という記録的な価格で落札され、当時世界で最も高価な腕時計となって以来、多くの人たちが、この時計は次にいつ、どのようにオークションに掛けられるのかを推測してきました。誰もがこの時計がどこにあるのか、誰がもっているのかを正確に知っていましたし、それは思い入れが深いものであることを知っていました。それを考えると、ニューマン家が、この時計を手放すというのは少し驚きですが、彼らはポール・ニューマン自身が設立したSeriousFun Children's Network(シリアスファン チルドレンネットワーク)、Safe Water Network(セーフウォーター ネットワーク)を含む、多くの慈善団体を支援するために出品するようです。ポール・ニューマンの娘クレアは、彼が亡くなる直前の2008年に時計を受け取りました。フィリップスによると、クレア姉妹は、この売却を支持しているといいます。

 この時計のエスティメートは 、“100万ドル(約1億円)以上”と予想されていますが、全く参考になりません。フィリップスが、2017年にポール・ニューマンのデイトナを販売する前に言っていたことと似ていますが、当時とは全く異なる状況です。あなたが最初の落札結果を見逃していた場合を考慮して、明確にしておきましょう。
 この時計が1775万ドル近い価格で売れることは考えにくいでしょう。そして、落札結果に過度な期待を抱かないようにブレーキをかけるべきです。これは信じられないほどの時計であり、素晴らしい出自をもつものですが、僕は他のポール・ニューマンの時計よりも、マーロン・ブランドのGMTと同じような結果になると思います。僕は、数百万ドル(そして、複数)の入札で落札され、デジタル放送のオークションと同じくらいエキサイティングな結果を予想しています。

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映画『栄光のル・マン』に登場したスティーブ・マックイーンのホイヤー モナコ

 発表されたもう1つの時計は、1971年のクラシック映画『栄光のル・マン』の撮影に使用された6本のホイヤー モナコのうちの1本です。映画の中で、その外見がこれほど有名になった時計はないと言っても過言ではありません。あなたが熱狂的な車好きあろうとなかろうと、マックイーンが画面に登場するたびに素晴らしく見えるのは、少なからずモナコの存在によるものです。

 撮影に使用された6本の時計のうち、4本はプロップマスターが保管し、2本はマックイーン自身が保管していました。この時計はそのうちの1つで、マックイーンのメカニックであり、映画のチーフメカニックでもあったハイグ・アルトゥニアン(Haig Alltounian)が、マックイーンからプレゼントされたもので、裏蓋にはそれを示すように"TO HAIG / LE MANS 1970 "と刻印されています。2015年のドキュメンタリー映画『スティーヴ・マックィーン その男とル・マン』の中で、アルトゥニアンはインタビューを受け、彼はマックイーンから時計をプレゼントされたときに受け取ろうとしなかったが、既に自分の名前が入っており受け取らなければならないと言われたと語っています。彼はそれ以来、数十年間この時計を着用しており、彼から直接市場に出されたばかりのものです。

 興味深いことに、これは6本ある公式のル・マン モナコのうち、販売されることになった最後のものでもあります。他の5本については、いくつかは公的に、いくつかは個人的に全て新しいオーナーを見つけていますが、最後にオークションに出品されたのは2012年のことで、その前後の様子を実際に取材しました。その時計はプロップマスター、ドナルド・B・ナンリーが所有していた時計の1つで、ハリウッド メモラビリアオークション(2012年7月に開催されたオークション)において、79万9500ドル(約840万円)で落札されました。

 ル・マン モナコは、時計の伝説の中において、奇妙で興味深い地位を築いています。これらは“ユニーク”であり、時計の歴史の中で、この象徴的な瞬間に参加したという点でその歴史が証明されていますが、複数のモデルがあり、それぞれに特徴を備えています。そのため、個々の価値を完全に見極めるのは少し難しいですが、オークションでの競売は、とても興味深いものとなるでしょう。

 このロットについては、フィリップス社の見積書に“エスティメートはお問い合わせにより”と記載されています。恐れを知らないジャーナリストである僕は、見積もり価格の範囲を尋ねたところ、フィリップス社は委託者の希望により、見積もり価格を公表されたくないと言われました。言い方を変えれば、僕はこの時計のエスティメートを知らないと言っているわけですが、この時計は100万ドルの大台をクリアする可能性が非常に高く、それ以上の高値をつけるチャンスがあると考えざるを得えません。
 上の時計のように、1つは、時計マニアとポップカルチャーの双方で幅広い顧客がいて、僕は熱狂的なマックイーンファンにとって不足はないと確信しています。今後、数週間でコンセンサスが形成されるのか、それとも12月の結果まで待たなければならないのか、注目したいところです。

 12月12日のオークション「レーシングパルス」が開催されるまでの間に、この2つの時計について多くの情報をお届けします。どちらかについてお答えしたいことがあれば、コメント欄でお知らせください。

詳細については、フィリップ公式サイトをご覧ください。