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2019年に開催された最後のローリーフェス(Rolliefest)は、ヴィンテージウォッチへの情熱において、私にとってある意味重要な瞬間だったが、私は参加さえしなかった。多くの人と同じように、私もHODINKEEに上がったPhoto Report記事を見て暮らし、このミステリアスな集まりで手首に巻かれた(そしてテーブルの上に広げられた)素晴らしい時計たちに驚嘆した。
ローリーフェスを推し進めているのは、現在サザビーズ・アメリカズの時計部門責任者を務めるジェフ・ヘス(Geoff Hess)氏で、彼は業界にいる多くの友人たちの協力を得てこの密会を主催している。ローリーフェスと公式な商業的つながりはないが、サザビーズはコレクターの集まりを友好的にサポートしていたため、多くのスタッフが出席し、それぞれの見解や経験を共有した。あくまでもこのイベントは、招待された参加者が購入したチケットによって賄われている。開会式でのヘス氏のスピーチは、収集への情熱およびコミュニティへの愛と支援の証だった。
「時計収集の旅は、人生のほとんどを通じて、私にとって喜びの礎となりました」とヘス氏。「そして長いあいだこの旅のなかで、私は時計収集の成功を所有している特定の時計や、リファレンスで測ることが多かったように思います。実際のところ、私たちは皆、仲間と比較して成功を測る傾向が時折あります。たまに自分のコレクションと他人のコレクションを比較することもあります。でも今夜はちがいます」
「今夜は皆、平等です。今夜は皆、同じです。私たちは皆、同じ情熱を分かち合っています。そして皆、その情熱を友人たちと共有することで同じよろこびを分かち合うのです」
週末は、マンハッタンのセントラルパークの向かいにあるアメリカ自然史博物館でのプライベートガラから始まった。参加者全員と、貴重な時計の安全とセキュリティを確保するためにイベント終了まで写真を投稿しないようゲストに注意を促し、サザビーズのチームが提供した警備員もいた。有名な巨大シロナガスクジラの模型の下で、コレクターや愛好家たちは食事をし、世界中から集まった友人たちと交流し、薄暗い部屋で貴重なロレックスの写真を撮った。
あのガラはほんの障りに過ぎなかった。翌日、レインボー・ルームで開催されるローリーフェス 2023の“Real Estate Conference”に集まった人たちによる、希少な時計が一堂に会していることを目立たなくするためのとてもおかしな方法だったのだ。そして、コレクターの金庫から出てきたのはロレックスだけではなかった。時折回転する、レインボー・ルーム中央のダンスフロアにテーブルが並べられ、人々はそこに腕時計を広げて、リストショットを撮り、発見したものについて語り合い、その話し合いのなかで学びを得ていた。Talking Watchesの卒業生であるグレッグ・セルシュ(Greg Selch)氏とフレッド・サベージ(Fred Savage)氏を中心としたパネルディスカッションでは、収集の未来から経済、時計の修復に至るまで、話題は多岐にわたった。
マンハッタンモーターカーズでのカクテルアワーで幕を閉じたこの週末をとおして、時計は数分または長期的なものであれ、各所で取引された。数十万ドル(まあもっと少ない場合もある)あれば、テーブルの上で時計のひとつやふたつは手に入るだろう。しかし、ほとんどのコレクターにとっての醍醐味は、古い友人たちと再会するきっかけであり、優れた時計愛好家らしく、素晴らしい時計を目にする機会を得ることだったようだ。
もちろんすべての時計を撮影することはできなかったが(実際、ケースから数分しか出てこなかったものもあった)、ベストは尽くした。それを念頭に置いて欲しいが、世界で最もエキサイティングなコレクターの集まりのひとつに、読者を招待できることをうれしく思う。
1日目: 美術館で過ごした夜
2日目: 霧に包まれた朝、レインボー・ルームにて
夕暮れ時の2日目: カクテルアワーでクルマとともに