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春のオークションシーズンが本格的に始まり、素晴らしいスタートが切れた。この週末、ジュネーブでは1億ドル(日本円で約138億1400万円)以上の時計が落札され、そのなかでもヴィンテージウォッチ(もちろんごく少数の現代モデルも忍び込んでいるが)の販売が好調なのは明らかだ。いくつかのサプライズを含め、多くの記録を更新している。
正直に言うと、パンデミック初期のヴィンテージウォッチ、あるいは腕時計全般の強さはもろ刃の剣だった。というのもほぼすべての商品の価格が天井知らずなまでに高騰し、売り手にとってはうれしいことだったが、一部の時計は今以上にさらに手の届かないものとなっていた。しかしそのあと市場は軟化し、多くのコレクターが心配するようになる。何より価格がどこで(下げ止まりして)落ち着くのかという恐怖があった。そんななか今週末のオークションが開催され、多くの人たちが安堵の息をついたことだろう。
会場に滞在してアクションを見るのはいつもおもしろい。壇上からも入札者からも、たくさんのドラマとエンターテイメントが生まれていくのだ。また友人同士で集まってオークションで時計を見たり、もしかしたら買ったりすることもできる絶好の機会でもある。しかしウィークエンド・オークションは、オークション会場ではなくホールの外でおしゃべりをしたり、時計を交換したり、あるいはちょっとしたものを売ったりして過ごすことが多い。ある人によると、ウィークエンド・オークションでディーラーやコレクターとして真剣に相手にされたいのなら、会場のねかで買うか、あるいは酒の席で飲みながら買うほうがいいと言っていた。
それでは早速、春のジュネーブ・オークションに出品された魅惑的な時計やそのシーンを深堀りしていこう。