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Recommended Reading 遠藤真博著『THE BUBBLE BACK 200 Timepieces』―ロレックス最初期のコレクターズウォッチを知るための必携ガイド

プライベート・アイズのディーラーは、自分の時計人生は、バブルバックに始まり、バブルバックに終わると語った。そして今、彼はコレクター界最大の難関について、自分が知っている全てを明かそうとしている。

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もしあなたがこれまでロレックスのバブルバックを収集したことがないなら、ヴィンテージウォッチについて知っていることのほとんどを、忘れたほうがいいだろう。。少なくともこの世界に足を踏み入れると、そうすべきだと感じるはずだ。この分野では、リファレンスナンバーを覚えることよりも、ムーブメントやケースデザイン、ダイヤルの印刷の細部、そしてこれまで見てきた時計をとにかく記憶し、何が正しく、何がそうでないのかを目利きができるようになることのほうがはるかに重要だ。そして断言するが、実際には正しくないものが本当にたくさんある。こうした時計を見続けて、理解を深めるには何十年とかかるかもしれない。それでも東京のヴィンテージウォッチ専門店、プライベート・アイズのオーナーである遠藤真博氏による『THE BUBBLE BACK 200 Timepieces』は、象徴的でありながら、近年はやや過小評価されているモデルへの理解を深めるための素晴らしい入門書となる。

Bubble Back book

 ジョン・永山著『96』のレビューで触れたが、パテック フィリップのRef.96以上に深掘りするのが怖い時計があるとすれば、それはロレックスのバブルバックだ。そもそも正式なモデル名ではない。1933年から1950年代半ばにかけて製造された、ドーム状の“泡”のように膨らんだケースバックを持つロレックスの時計に付けられた愛称である。そのため遠藤氏の本を開くと、まず驚くのは掲載されているどの時計(後年のRef.6062とRef.8171を除く)にもリファレンスナンバーが記載されていないことだろう。コレクターによれば、バブルバックを理解するうえで、リファレンスナンバーはそれほど役に立つものではないという。基本的には、それ以外のあらゆるディテールのほうが重要なのだ。

Bubble Back

 私たちは以前にもバブルバックについての記事を掲載しており、ケン・ジェイコブス(Ken Jacobs)氏とジャスティン・グリュエンバーグ(Justin Gruenberg)氏の協力のもと、これらのモデルを理解するためのさまざまな考察やポイントを紹介している。この記事は、遠藤氏の本を読み始める前に目を通しておくとよいだろう。というのも、遠藤氏は時計への愛情とその歴史について少し触れたあと、すぐに実例の紹介へと入っていくからだ。本書は約20章で構成されており、それに加えて、ダイヤルのスタイルや印刷、ケースの種類、その他いくつかの要素を紹介する短い補遺も収録されている。情報量はかなり多いが、何を探すべきなのかをあらかじめ知っておくとより理解しやすいだろう。

 日本のコレクターは、パテック フィリップのRef.96と同じように、バブルバックにも深い関わりを持ってきた。どちらも細めの手首に適したサイズ感で、バブルバックは初期モデルで約30.5mm(初期には32mmまで)から始まり、後年になってようやく34mmや36mmへと大型化していった。ジェイソン・シンガー(Jason Singer)氏のように、バブルバックをきっかけにコレクターとしての経験を積んだ人もいる一方で、ダイヤルやケースのバリエーションがきわめて多いため、このモデルはまさに地雷原のような難しさを秘めている。日本では、丸く中が空洞になった日本の人形にちなんで、“だるま”という愛称で呼ばれていた。

Bubble Back

 ロレックスは1933年から1935年にかけて、8 3/4リーニュという小型のムーブメントを搭載していた。その後、“NA”と呼ばれる9 3/4リーニュの自動巻きキャリバーへと移行し、これはバブルバックの生産終了まで採用されていた。遠藤氏はこのキャリバーの変遷について簡潔に説明しながら、まずはNA以前の素晴らしいモデルをいくつか紹介し、その後、本書の大部分を占める詳細な解説へと入っていく。それ以降の本書では、さまざまなケースの構造や形状、素材について詳しく見ていく。いずれも素晴らしい実例を交えながら紹介されている。

 それも納得できる。というのも、遠藤氏は本書の撮影に時計を提供してくれた顧客のために、これらの時計を数多く探し出してきたからだ。ほかにも著名な時計ディーラーから提供されたものがある。私は遠藤氏に直接会ったことはないが、時計探しで彼と仕事をしているディーラーの何人かとは面識があり、皆が彼のセンスを高く評価している。また彼は(私の個人的な意見ではあるが)、市場で最高のヴィンテージスタイルのゲイ・フレアーブレスレットの復刻品も製作している。

Bubble Back

 『THE BUBBLE BACK 200 Timepieces』は日本語で書かれており、PaddleWavesによって英訳されている。リネン張りの外装を施した装丁の美しい大判の本で、単に素晴らしい時計の写真が載っているだけではない。もちろん、掲載されている時計は素晴らしい。そして、ここが最後に伝えたいポイントだ。バブルバックを学ぶには、時計をじっくりと見ることに尽きる。ジャスティン・グリュエンバーグ氏は、これらの時計を「モジュラー(部品を自由に組み合わせられるような)」と表現していた。かつてはダイヤルやケースを入れ替えることに対して、今よりずっと寛容だったのだという。そしてダイヤルの大多数(私の感覚ではほとんどと言っていいほど)が、これまでのどこかの時点で手を加えられている。この本に掲載された時計をじっくり観察することは、私のように素晴らしい実例を実際に手に取って見る機会があまりなかった人にとって、大いに役立つだろう。

 『THE BUBBLE BACK 200 Timepieces』は日本のプライベート・アイズに直接注文すれば入手可能で、限定600部となっている。2026年3月時点での小売価格は、送料別で6万6000円だった。

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