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我々が知っていること
オータヴィアは、時計製造において最も重要なクロノグラフのひとつ。言わば、ひとつの時代だ。
タグ・ホイヤー(旧ホイヤー)の注目すべきみっつのクロノグラフ腕時計のなかで最も古く、1962年、28歳のジャック・ホイヤーがCEO就任1年目に、その手でデビューした時計。そう、このクロノグラフは、タグ・ホイヤーのカタログの先頭に立つと思われがちだが、何らかの理由で、21世紀になってから、オータヴィアは、重要度ではカレラやモナコの次に位置する時計とされてきた。
オータヴィアが55歳を迎えた2017年、状況は徐々に有利に変化しているのではないかと思われた。2003年以来初めて、新たなオータヴィアが発売されたわけだ。これは、2016年に開催されたオンラインイベント「オータヴィア・カップ」で、世界中の時計愛好家の投票によって選ばれた、コレクターに人気の高いリファレンスのヴィンテージ復刻であった。
オータヴィアと命名されたその新しい時計は、すべてを兼ね備えているように見えた。タグ・ホイヤーにおいて新時代のクロノグラフムーブメントであるCal.ホイヤー02を初めて搭載したのである。
残念ながら、私には正確にはわからない理由で、2017年に登場したオータヴィアはこの世に存在しないものに。バーゼルワールド2019が開催される頃には、タグ・ホイヤーは完全に方向転換し、再びオータヴィアを発表したが、クロノグラフは完全に亡きものとされ、クラシカルなフィールドウォッチやパイロットウォッチのルックスをまとった、3針スポーツウォッチの新コレクションとして発表されたのだ。
そして今、2022年に60周年を迎えるオータヴィアのキックスタートに合わせ、新作の情報が届いた。タグ・ホイヤーは、Cal.ホイヤー02を搭載したフライバッククロノグラフのペアと、ひとつのGMTから成るみっつの新作を発表した。これらは、2019年、オータヴィアシリーズが築いた基盤を基にしつつ、ヴィンテージ・ホイヤー愛好家の要望に応えるために十分な脱線をしたものだ。どのモデルもオータヴィアコレクションとして初の試みであり、セラミックインサート付きの逆回転防止ベゼル、サファイアクリスタル、COSC認定クロノメーター、数年前にタグ・ホイヤー コネクテッドに初搭載されたクイックチェンジモジュールストラップシステムなどの特徴を有している。
タグ・ホイヤーは、この新しいオータヴィア フライバック クロノグラフは、フライバック機能を追加した初めてのオータヴィアである、と述べている。私はそれを信じるが、タグ・ホイヤーとクロノグラフというジャンルとの密接な関係や、このカテゴリーの人気の発展に不可欠な役割を果たしてきたこの時計のことを考えると、どうも腑に落ちない。クイックリセット機能を追加した、ボロボロのヴィンテージ・オータヴィアが頭に浮かんでくるような気がしたのだ。
そこで、歴史を調べてみて、ようやく気がついた。ホイヤーは1970年代にドイツ空軍のためにフライバック クロノグラフのシリーズを製造していたが(Bundeswehr ref.1550 SG '3H')、その供給品はオータヴィアやその他の特定のコレクションには含まれていなかったのだ。
そして、DLCコーティングが施されたオーヴィア フライバッククロノグラフの、ブラックアウトされた極太の存在感が私の記憶を呼び覚ました。タグ・ホイヤーは、スーパールミノバを塗布した大きなアラビア数字とステルス性の高いオールブラックの美学によって、この新しい時計を実用的な歴史と結び付けている。同時に、2019年のオータヴィア復活がもたらした新しいフォーマットと一般的なデザインプラットフォームを構築している。
同じようなストーリーは、この新しいオータヴィア フライバック クロノグラフのパンダダイヤルでも見ることができる。ブラックとホワイト/シルバーの文字盤カラーは、1960年代にF1ドライバーのジョー・シフェールによって着用されたオータヴィア Ref.1163Tを彷彿とさせるものだ。
さて、3本目は伝統的な42mmの3針に、COSC認定クロノメーターを受けたセリタ SW300をベースとしたムーブメントにGMT機能を加えたもの。タグ・ホイヤーは、オータヴィアの3針モデルに第2時間帯表示が搭載されたのはこれが初めてであるとしている。(今週初め、私は自分自身に失望していた)。
我々の考え
オータヴィアにコンプリケーションが戻ってきたのは素晴らしいことだ。多くの人にとって、この時計はミッドセンチュリー・ツールウォッチの代表的なモデルであり、日々の仕事を巧みに、そして正確にこなすために作られたものなのである。
今日、タグ・ホイヤーのウェブサイトにあるオータヴィアコレクションを見直すと、クロノグラフのフレンドリーな顔があなたを振り返っている。しかし、前回のオータヴィア クロノグラフの発表から4年近くも待たされたことは、ほとんど理不尽に感じられるほどだ。しかし、実際に時計を触っていない私の第一印象としては、このアニバーサリー・アップデートには多くのポジティブな要素が含まれているように感じられる。
例えば、クロノグラフのプッシャーは、昔のダッシュボードタイマーとしてのスーパーオータヴィアを彷彿とさせ、とても魅力的だ。これは歴史を感じさせる楽しいもので、オータヴィアの新モデルにふさわしいと思う。また、よく考えてみると、新しいクロノグラフにフライバック機能を搭載したことは、ある意味象徴的なことなのである。
2017年、当時の新作オータヴィアは、Cal.ホイヤー02(個人的に大好きなムーブメント)の持つあらゆる利点を時計界に紹介したが、その後、同ブランドのカタログから不意に姿を消した。その謎の悪魔を祓うために、タグ・ホイヤーは、Cal.ホイヤー02のこれまでで最も高度な技術表現のひとつであり、最も長い歴史を持つクロノグラフをすくい上げることになったのは、当然のことだと思っている。
そして、まだこの1年のあいだオータヴィアのリリースが控えているだろう。もしかしたら、タグ・ホイヤーの過去のカタログをより直接的に再訪される形で、私の心のなかにあるオータヴィア クロノグラフGMTの穴をようやく埋めることができるかもしれない。あるいは、これからさらに複雑な展開が待っている可能性もある。いずれにしても、オータヴィア フライバック クロノグラフを目にした今、私の心はオータヴィア ラトラパンテ クロノグラフの可能性に向かい始めた。
何しろ、60周年は一度きりなのだから。
基本情報
ブランド: タグ・ホイヤー(TAG Heuer)
モデル名:オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフ ; オータヴィア 60周年アニバーサリー GMT
直径: 42mm
厚さ: フライバック クロノグラフ, 15.68mm; GMT, 13.65mm
ケース素材: ステンレススティール、DLC加工ステンレススティール
ダイヤル色: フライバック クロノグラフ, パンダ、またはブラック; GMT, ブルー
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性: 100m
ストラップ/ブレスレット: フライバック クロノグラフ, アリゲーターレザー; GMT, ステンレスブレスレット(3連コマ)
ムーブメント情報
キャリバー: フライバック クロノグラフ, ホイヤー02; GMT, Cal.7 (セリタSW300)
機能: フライバック クロノグラフ, 時・分・秒・日付・フライバッククロノグラフ; GMT, 時・分・秒・日付、第二時間帯表示
パワーリザーブ: フライバック クロノグラフ, 80時間; GMT, 50時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
追加情報: オータヴィア現行モデルのすべてがCOSC認証あり
価格&発売時期
価格: オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフ(DLC), 82万5000円; オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフ(パンダ), 74万8000円; オータヴィア 60周年アニバーサリー GMT, 49万5000円(すべて税込)
発売情報: すぐに
限定: なし
その他、詳細はタグ・ホイヤー公式サイトへ。
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