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我々が知っていること
ブラッドリー・テーラー(Bradley Taylor)は、カナダ・ノースバンクーバーに構える約1000平方フィート(約93㎡)の工房を拠点に活動する独立時計師だ。その彼が、3作目にして初の自社製ムーブメント搭載モデルとなるアルデアを発表した。新進気鋭の時計師として注目を集めるテイラーは、ル・ロックルでヘンリック・コルペラ(Henrik Korpela)氏のもと研鑽を積み、その後ジュネーブでパテック フィリップのレベルIIサービス認定を取得。これまでにふたつのシリーズを完売させたのち、2023年後半からアルデアの開発に着手した。
アルデアはステンレススティール(SS)またはプラチナ950製で、直径37.8mm、ラグ・トゥ・ラグ46.4mm、風防を含めた厚さは10.9mmだ。サファイアクリスタルのケースバックは、装着感を高めるためわずかにドーム状に設計され、5気圧防水だ。
ダイヤルにはスターリングシルバー925を使用。テイラー自身が約3カ月をかけて修復した、120年前と推測されるローズエンジン旋盤によってエンジンターン模様が施されている。36枚のスカラップを持つロゼットパターンを、同心円状に位相をずらしながら刻むことで、渦を巻くような独特のテクスチャーを生み出している。
ギヨシェ加工後、ダイヤルには“ディプレーション・ギルディング”と呼ばれる銀細工技法が施される。これは加熱と酸処理を繰り返し、表面を純銀状態へと整える工程だ。その後、ザポンラッカーで保護する。テキストや目盛りの印刷には、これもテイラー自身が修復したタンポ印刷機を使用。アプライドの数字はプラチナ無垢材から削り出され、球面状にハンドポリッシュされている。ダイヤルのレタリングとワードマークは、パラマウント・ピクチャーズのワードマークなどを手掛けたトロントのタイポグラファー、イアン・ブリグネル(Ian Brignell)氏によるデザインだ。ダイヤルは、目に見える(そして機能的な)固定ネジを含む17個のパーツで構成されている。
内部で時を刻むのは手巻きムーブメント Cal.475RSで、直径31mm×厚さ4.75mmだ。Cal.475RSは1万8000振動/時で駆動し、パワーリザーブは40時間。基本設計には、オメガの30T2系ムーブメントの一部構成を取り入れている
それ以外のすべてはテーラー氏によって設計・製造されている(部品の約80%が彼自身の仕事だ)。フリースプラング式テンプは、グレード5チタンから自社で削り出され、プラチナ製の偏心錘を備え、ブレゲ式のオーバーコイル・ヒゲゼンマイと組み合わされている。輪列の歯車は14Kゴールド無垢材で、丸1日かけてひとつひとつに手作業で仕上げを施している。カナダならではのユニークなアクセントとして、ケースバックやラチェットホイールのネジには、EDM(放電加工)によって成形されたスクエアヘッド仕様が採用されている。これは、微小なスケールで四角い形状を作り出すことができる加工法だ。
Cal.475RSは時・分表示に加え、6時位置にレトログラード秒針を備えている。このレトログラード秒針は、その素早い動きに気づくまでは、パワーリザーブやレトログラード式の日付表示と見間違えやすいかもしれない。もちろん、このレトログラード秒針機構も自ら設計・製造したものであり、モジュールではなく、Cal.475RSの設計に統合されたものだ。彼は発売前に1年間この機構を連続稼働させ、1日あたり1440回のリセットサイクルを記録しながら、接触面の摩耗が長期的に問題ないことを確認したという。モデル名のアルデアは、ラテン語で“サギ”を意味する。これは彼の工房の外にあるSeymour Riverで狩りをし、水面から獲物をさらう鳥の名だ。
アルデアの価格は、SS製モデルが6万2000ドル(日本円で約970万円)、プラチナ950製モデルが8万2500ドル(日本円で約1290万円)であり、テーラーの工房から直接販売される。限定数は50本で、彼は年間5〜10本の製造を計画している。初年度分はすでに予約済みで、現在はそれ以降の予約を受け付けている。時計には、トロントのテリー・シェン(Terry Shen)氏がハンドメイドのビーバーテールストラップと、モントリオールのチャールズ・サイモン(Charles Simon)氏が製作したレザーとアルミニウムのボックスが付属する。
我々の考え
パラゴンとルトリアに続くアルデアは、ブランドとしてのブラッドリー・テーラーにとっても、彼自身にとっても、大きな一歩だ。私は先週末、バンクーバーでアルデアのプロトタイプを見る機会があったが、実物は実に素晴らしいものだった。ノースバンクーバーにある工房を見学するという魅力的なツアーのなかで、ローズエンジンで仕上げられたダイヤルからプラチナ無垢の数字、そしてCNCマシンで削り出されるムーブメント部品まで、これらの特徴的な要素が作られる現場を見ることができた。この体験は、何年も前にロサンゼルスにあるジョシュ・シャピロ(Josh Shapiro)の工房で過ごした時間を思い出させてくれた。彼らが何を作っているのか、そして100年以上前のローズエンジンがどんなものかを知らなければ、彼らをインダストリアルアーティストだと思うかもしれない。また、なんとテーラー氏は私にビーズブラスト機を操作させてくれ、私はポケットナイフのチタン製ハンドルにブラスト加工を施した。
話を戻すと、アルデアはブラッドリー・テーラーの仕事における大きな成果であり、世界中のコレクターからの注文によって、その価値は認められ(そして支持され)ている。カナダ人としてのひいき目があることは認めるが(ロバートソンねじのヘッド形状なんて、なんてクールなんだろう?)、これは真のブティックウォッチメイキングだ。たとえ10年以上にわたってわずか50本という話だとしても、これはカナダのウォッチメイキングにとっても、そして特にスイス国外における“計画性を持ったひとりの時計師”によるウォッチメイキングにとっても、エキサイティングな進化だ。
今後実機レビューをしてみたいと思うが、アルデアで特に印象的だったのは、コンパクトなケースバランスと、考え抜かれたバランスの良い、非常に伝統的なダイヤル仕上げ、そして1分ごとに軽やかに跳ね返るレトログラード秒針だった。もし実物を見る機会があれば、ぜひ少なくとも1分間はその動きを眺めてみて欲しい。
基本情報
ブランド: ブラッドリー・テーラー(Bradley Taylor)
モデル名: アルデア(Ardea)
直径: 37.8mm
厚さ: 10.9mm
ケース素材: ステンレススティール、またはプラチナ950
文字盤色: ザポンラッカー仕上げのシルバートーン
インデックス: 球状にポリッシュ仕上げを施したプラチナ製のブレゲ数字
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: トロントのテリー・シェン氏によるハンドメイドのビーバーテールレザーストラップ(または顧客の希望に応じて製作するストラップ)
ムーブメント情報
キャリバー: 475RS
機能: 時・分表示、レトログラードセコンド
直径: 31mm
厚さ: 4.75mm
パワーリザーブ: 40時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 1万8000振動/時
石数: 23
価格&発売時期
価格: 6万2000ドル(日本円で約970万円/SS製モデル)、8万2500ドル(日本円で約1290万円/プラチナ製モデル)
発売: 年間製造本数5~10本、初年度(2028年)分は完売
限定: あり、全50本
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