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我々が知っていること
オリスは(2024年の)10月に、新しいダイバーズ デイトシリーズを発表した。これは同ブランドのアイコニックなダイバーズ 65コレクションが60周年を迎えるのを記念して、デザインを現代風にブラッシュアップしたものだ。10年前に登場したダイバーズ 65を受け継ぐ、よりモダンな後継モデルとして企画されたようだが、正直なところこれでダイバーズ 65のオリジナルモデルはもう見られないのかもしれないと思っていた。
どうやら私の予想は外れていたらしい。ダイバーズ 65が終わったという噂は、だいぶ誇張されていたようである。まあ、そんな感じだ。オリス初のダイバーズウォッチが誕生した1965年から数えて60年を祝うアニバーサリーモデルとして、ダイバーズ 65から60周年アニバーサリーエディションが登場したのだ。このモデルは懐かしいデザインやヴィンテージ感のあるディテールが満載で、いわばブランドの集大成のような時計だ。
オリスの過去10年のラインナップに詳しい人なら、少し混乱するかもしれない。これは前からラインナップにあったのでは? と思う人もいるだろう。ある意味ではそのとおりだ。しかし少し違う。2015年、オリスは初代ダイバーズウォッチの50周年を記念して、モダンなダイバーズ 65を初めて発表した。これはオリジナルのデザインに非常に近いものだった。サイズは少し異なるものの、オリジナルのなかで最も印象的だった特徴、つまり文字盤を囲むように配置された3・6・9・12時の大きな逆夜光数字はそのまま引き継がれていた。
今回の60周年アニバーサリーエディションでは、あの大胆でアール・デコ風ともいえる大きな夜光数字が新たな形で復活している。文字盤にはオリジナルをさらにほうふつとさせるいくつかのディテールが加えられた。2015年モデルで見られた、モダンな“WATER RESISTANT”や防水性能の記載は、オリジナルと同じく“ANTI-SHOCK”や石数の表記に置き換えられている。そしてオリスの現代史では初めて、ヴィンテージ感漂うオリスのロゴとその下に“WATERPROOF”と記載されたデザインが復活した。インデックスはヴィンテージモデルのバランスに合わせて短く調整されている。また、2015年版のベゼル上部にあった三角マークは、よりオリジナルに忠実な、ベージュのスーパールミノバが塗られた夜光ドットに変更された。皮肉なことに、この60周年アニバーサリーエディションでは2015年版にあった日付窓が廃止されている。とはいえ実は日付窓があるほうが、1965年のオリジナルにはより忠実だったりするのだが。
光沢のあるブラックダイヤルは、現代的な40mmサイズのダイバーズ 65のケースに収まっている。ケースの厚みは12.8mm、ラグからラグまでの長さは46mmだ。防水性能は100mで、アルミニウム製インサートが付いた双方向回転式ベゼルが、大きくカーブしたドーム型のサファイアクリスタルを囲んでいる。ねじ込み式のスティール製ケースバックのなかにはセリタをベースにしたオリス製Cal.733を搭載し、この60周年アニバーサリーエディションがオリスのなかでも手の届きやすい価格帯に属していることが分かる。SSブレスレットに加えてレザーストラップも付属しており、価格は38万2800円(税込)だ。
我々の考え
2015年版がオリスのカタログから徐々に消えていったときは少しがっかりしていた。あの時計が本当に好きだったし、あのデザインがなくなるとオリスの歴史の一部が欠けてしまうような気がした。ただ時計の開発には時間がかかるのは分かっているし、60周年に向けて意図的にフェードアウトさせていたとしても不思議ではない。今はただ、戻ってきてくれて本当に嬉しいと思う。たとえこれが最後だとしても。
オリジナルに忠実な36mmサイズでの復刻はもう諦めているが、せめて38mmのダイバーズ 65が出てくれたらと思っていた。38mmというサイズは、ヴィンテージっぽさと現代的なダイバーズウォッチの絶妙なバランスを持つちょうどいいサイズだし、ほかのブランドがヘリテージ系でこのサイズを使うことはあまりないぶん、余計にその魅力が際立つ気がする。だが40mmのケースも実際につけてみるとすごくいい感じだ。ミドルケースのデザインがボリュームを抑えており、見た目以上にスリムに感じる仕上がりになっている。
実物を見ると、この時計は本当に素晴らしい。スタイリッシュな数字が好きな人にはたまらないデザインだし、文字盤に施された小さな変更がしっかりと存在感を放っている。この60周年アニバーサリーエディションは、時計好きやコレクターのためにつくられたモデルという感じが強い。しかもオリスがこのスペシャルモデルを、セリタをベースとしたラインに収めて高価格帯になりすぎないようにしたのは見事だと思う。拍手を送りたい。
もしこれを手に入れたら、ブレスレットをつけたままで使い続けたいと思う。それくらいブレスレットとの相性が抜群だ。ダイバーズウォッチにレザーストラップをつけるのもおもしろいし、ラバーストラップのほうがもっとしっくりきたかもしれない。いや、いっそのことレザーもラバーも両方付けて、全部盛りでセットにしてくれたら最高だっただろう!
とはいえ、このダイバーズ 65 60周年アニバーサリーエディションは、オリスのなかでも特にユニークなデザインをもういちど蘇らせた素晴らしいモデルだと思う。ラインナップがどんどんモダンになっていくなかで、オリスが豊かで魅力的な歴史を持ったブランドだということを改めて感じさせてくれる。
基本情報
ブランド: オリス(Oris)
モデル名: ダイバーズ 65 60周年アニバーサリーエディション(Divers Sixty-Five 60th Anniversary Edition)
型番: 01 733 7772 4034-Set
直径: 40mm
厚さ: 12.8mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ブラック
インデックス: スーパールミノバをプリント
夜光: あり
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: SSブレスレットおよびブラックレザーストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: 733-1(セリタベース)
機能: 時・分表示、センターセコンド
直径: 25.6mm
パワーリザーブ: 約41時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
価格 & 発売時期
価格: 38万2800円(税込)
発売時期: 発売中
限定: なし
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