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Three On Three 頂点に上り詰めた時、どんな時計を着けたい?

あの人気動画番組が帰ってきた。HODINKEE副編集長が、ブリン・ウォルナー(Brynn Wallner)、マライカ・クロフォード(Malaika Crawford)と共に、“成功”を象徴する3本の時計、パテック フィリップ ゴールデンエリプス、カルティエ サントス、ヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニーについて語り合う。

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2年間の休止期間を経て、あの“Three on Three”が帰ってきた。今回は、リブート編ということで、哲学的な話をしよう。昔は、厳密で定量的な基準(例題:1000ドル以下の機械式時計の中でベストを決める)に合致する3種類の時計を3人で比較検証していた。そのアプローチ自体は決して間違ってはいない。しかし、長年にわたり、多くの人々がもっと抽象的な動機でコレクションしていることを私たちは知ることとなった。例えば、個人的な節目を祝うために特別な時計が欲しい、というものだ。それでいい、それも立派な基準なのだから。

 そこで今回は、3人の女性に集まってもらい、“成功”を象徴する時計について語り合ってもらった。対象は、新作/ヴィンテージを問わず、どんな時計でもOK。価格帯、複雑機構、審美面など、特に縛りはない。

 これには、いくつかの理由がある。

 時計が普及するにつれ、“時計愛好家”の定義も広がっている。そこで、新鮮な視点を持ったニューフェイスを紹介したいと考えたのだ。その意味ではDimepieceの創設者であるブリン・ウォルナーとHighsnobietyのウォッチ&ジュエリーエディターのマライカ・クロフォードは適任だ。私たちは皆、時計の世界では比較的新参者で、キャリアも違えば、興味や専門分野も異なる。趣味嗜好も違う。そして、成功の定義も異なるからだ。

 だから、私たちは一緒に楽しいセッションを楽しみ、語り合い、交換し、笑いあいながら、私たちにとって“私は成功した”と言える時計について意見を分かち合った。私たちが取り上げたのは、価格も、歴史も、雰囲気もまったく異なる3本の時計だった。ブリンはファンキー、マライカは大胆、そして私はとてもブルーだ。

 結局のところ、この実験は、私が考える収集の楽しさを教えてくれるものだった。それは、詰まるところ時計と自分とのあいだにある個人的関係だ。私たちはお互いの選択を尊重しあったが、最終的に自分たちが選んだ時計が一番自分に合っていることが明白になった。


ブリン・ウォルナーとパテック フィリップ ゴールデンエリプス

私にとっては、輝かしいコレクションを持つことが時計界隈での成功だが、私はどんなときでも自分らしくいられる(non-flex)時計を選んだ。この時計は、伝統的にドレスウォッチに分類されるが、日常使いができる丈夫なヴィンテージピースでもある。旅行でパリを歩き回るのに心地よく感じられる時計、それはイエローゴールドのデイトナをつけて注目されることとは違う。それはある人にとっては成功を象徴する時計だとしても、私には滑稽にすら感じられる(最悪の場合、最近増えている時計の強盗に遭う可能性だってあるのだ)。私にとっての成功とは、“足るを知る(Less is more)”の境地に達し、自分自身と自分の所有物に本当の快適さを感じ、もっと、もっと、もっとと渇望しない状態になることだ。この時計を身につけると、地に足がついた感じがして、これこそ私が人生で求めているすべてだと信じられるのだ。

ダイヤル

 この時計のダイヤルは、ミニマルでエレガントだ。ブラックのローマ数字が、通常のエリプス(通常はバトンアワーマーカーがアプライドされる)と私の個体の異なる特徴だ。18KYGのケースと組み合わせたゴールドカラーのモノクロームな印象が私は好きだ。とても70年代的な作品だ。

ムーブメント

 この時計はシリアル番号1216263が刻印された自社製のムーブメントを搭載している。クォーツ革命が迫るなか、パテックは1960年代から意識的に、従来は外注していたスイスの優秀な職人を囲い込み、この時計の全パーツを内製化した。コレクタビリティ誌のジョン・リアドン氏は、このエリプスを“パテック フィリップのストーリーを世界に伝えるためのキャンバスのようだ”と評している。

ケース

 このケースは、ラグが伸びているのが見える点でエリプスとしては珍しい存在だ。完全にラグのないケースで知られる神秘的な "黄金比 "を遵守していないため、エリプスを選ぶなら敢えて私が最初が選択することはないだろう。しかし、このモデルが私の第一候補ではないという事実こそが、この文脈における私の“成功”像と一致する。成功とは、すべてを手に入れることではないのだ。十分なものを持つことなのだ。


マライカ・クロフォードとカルティエ サントス ドゥ カルティエ

私がYG製ミディアムサイズのサントス ドゥ カルティエを選んだのは、自分を強くしてくれるからだ。クラシックでありながら、ジェンダーレスで、女性的すぎず可憐すぎず、かといって男性的でもないデザインは、私の細い手首につけても違和感はない。私はいつもYGの時計に引かれるけれど、マイアミや80年代のウォール・ストリートを連想させるネガティブなイメージが拭えないも事実だ(このふたつの美意識に関する比喩は、とても好き!)。何といってもゴールドは成功の象徴であり、世界の富が蓄積する対象であり、国際通貨であり、王族の歴史が刻まれた有限の資源なのだ。

 時計界隈で成功することとは、ファッションスタイリストとしての私のビジュアルツールとライターとしての言葉の力を使い、より多くの女性を、もともと彼女たちのものだった領域(パテック初の女性用腕時計は1868年に作られた)に呼び戻し、彼女たちがジュエリーやその他のアクセサリーを検討するときと同じように自信を持てるようなツールを提供することだ。表現力の欠如を隠すのではなく、それを指摘することが重要なのだ。女性はどんなサイズの時計でも身につけることができるのだ。すべての腕時計をユニセックスと呼んで、それで終わりにしよう。そう遠くない将来、私がこの時計を身につけ、あらゆる性別の人たちと時計のあらゆる領域について語り合うことを夢見ている。

ダイヤル

 サントスの特徴は、四角いケースとベゼルに露出した8本のネジで、その幾何学的なデザインは、もともと1900年代初頭のパリ建築に見られる洗練とシンメトリー(左右対称)に影響を受けたものだ。2019年のサントス ドゥ カルティエは、ローマ数字とレイルロードミニッツトラックを記したシルバーオパーリンダイヤル、カルティエのクラシックなブルースティールの剣型針、ファセットサファイアを配した7角形のリューズを備えている。

ムーブメント

 この時計は、Cal.1847MCを搭載している。厚さ3.8mm、幅25.6mm、23石、42時間パワーリザーブの自社製自動巻きムーブメントだ。

ケースとブレスレット

 ケースサイズは35.1mm×41.9mm、厚さは8.83mmだ。人間工学に基づいたカーブを描くフォルムで、ケースバックは手首に沿うように湾曲している。ラグのラインはブレスレット、そしてリューズガードへと流れ、シャープなエッジを排除し、丸みを帯びたフォルムをより一層際立たせている。このYGモデルは、ポリッシュ仕上げとサテン仕上げが交互に施されている(ポリッシュ仕上げのベゼル面は、少し傷が付きやすい)。総ゴールドのブレスレットは、各リンクの両側にあるふたつのビスがアクセントになっており、ダブルCカルティエのロゴが刻まれたバタフライクラスプに向かってわずかにテーパードされている。この湾曲したデザインは、ブレスレットをより一体感のあるものに見せている。この時計にはアリゲーターストラップも付属しており、カルティエの“スマートリンク”調整機構を使って簡単に交換することができる。


私とヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニー

私たちは自惚れ屋で、成功者のように見えるわ。

私にとっての成功とは、快適さだ。物質的な快適さはもちろん、自分が何者であるか、何をもたらしてくれるか知るという快適さだ。それは、学ぶことをやめたとか、失敗が少なくなったということではなく、失敗をうまく活かすといった意味合いだ。私にとっての成功とは、自分の成果を声高に叫ぶことではなく、会話の主導権を握ることだ。

 時計の世界に限って言えば、自分が目立たなくなったときこそ、成功したと感じるだろう。多くの人がそれぞれの理由で時計趣味に参加し、新しいもの、素晴らしいものを持ち込むことで、“本物の”時計愛好家という理想像というものは消え去るだろう。時計の世界で活躍している黒人や女性、変人たちの背景に溶け込み、本物でおもしろいと感じられるようになりたいと私は考えている。なぜなら、多くの人々が各々の理由で参加し、時計という趣味に新しく素晴らしいものをもたらしているからだ。

ダイヤル

 私にとってダイヤルは99%重要な要素だが、このダイヤルは実に美しい。深いブルーは、ユニークでありながらニュートラルな印象を与える。球形のミニッツマーカー、日付表示、ピンクゴールドの針と秒カウンターなど、シンプルでありながら印象的なデザインに仕上がっている。

ムーブメント

 トランスパレントケースバックからは、2450 Q6/3ムーブメントを眺めることができる。マルタ十字のテンワは美しく魅惑的なディテールで、ムーブメントに詳しくない人でも興味をそそられることだろう。振動数は4Hz、パワーリザーブは40時間、石数は27石だ。

ケースとストラップ

 私がこの時計を崇拝する理由は、そのサイズだ。直径36mm×厚さ8.1mmは、きれいに目立たなく装着できるが、小径の時計とはみなされない。私は個人的に、ピンクゴールド(動画内ではローズゴールドと呼んだが、正確にはピンクゴールドで、シルバーが少し多く含まれている)は不当な評価を与えられていると思っている。そして、これを選んだ理由のひとつは、最も成功したバージョンの自分が、ちょっとした象徴主義者であることだ。また、今の私は自惚れたバージョンなので、ローズゴールドは貴金属のなかでも私の肌色に一番よく似合うと思っている。この時計にはブルーのアリゲーターストラップが付属しているが、ピンクゴールドのバックルが特別感を醸し出している。

プロデューサー:David Aujero、Jonathan McWhorter;動画編集:Vic Ottomanelli

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この記事を読むと色んな感性を受け入れることが出来る時計というのは素晴らしいと感じる。僕は腕が細いので、ここに出ている時計全部欲しいが、僕の究極の時計はずっとカラトラバだ。