先週マイアミでオメガが発表したものを詳しく見ていくと、印象的なほど過剰に設計されたダイバーズウォッチやゴールドのスピードマスターだけではないことがわかる(不満があるわけではない)。オメガは、アクアテラシリーズにふたつの新シリーズを加えた。アクアテラはブランドのジェネラリストスポーツウォッチをややシンプルする一方、新しいカラフルなダイヤルを幅広く活用することで独特の魅力を表現している。
先週、ローガンがこれらの新モデルを素敵に紹介してくれたように、僕もいくつかの色を加えられればと思う。僕たちは34mmと38mmの両方のサイジングのための5つのカラーバリエーション、トータルで10種の新モデルを見ることになる。物事を少し簡単にするために、ここでオメガが提供したサイズと色の名前(いい名前だ)を以下に挙げよう。
さっそくスペックを見てみようか。どちらのサイズも6時位置に日付があり、オメガの自動巻きコーアクシャル マスター クロノメーター Cal.8800を使用している。このキャリバーはMETAS認定を受けており、2万5200振動/時(3.5Hz)で作動し、55時間のパワーリザーブを備えている。どちらのサイズも150m防水で、ケースの裏表にサファイアクリスタルを使用し、マッチしたスティールブレスレットが装着されている。
38mmは厚さ12.26mm、ラグからラグまでは45.1mm、34mmは厚さ11.88mm、ラグからラグまでは40.49mmだ(この寸法を記載しているブランドはすべて賞賛に値する)。そしてダイヤルカラーに合わせてパンチの効いたストラップを選びたい方に。ラグ幅は38mmが19mm、34mmが16mmだ。
このふたつの新シリーズのうち、38mmは僕たちがすでに知っているアクアテラに最も近いモデルだ。どちらのサイズもアクアテラの特徴であるチークパネルダイヤル装飾はないが、38mmにはアクアテラの大型モデルに共通するロジウムメッキのポイントマーカーが採用されている。オメガが38mmのアクアテラを作るのはこれが初めてではないが、これは美的感覚についての新たな“less is more(秘すれば花)”という考え方であり、その結果、主役はダイヤルのカラーリングになっている。
過去のモデルや現行の41mm、38mm、34mmに見られるチークパネルダイヤル装飾に慣れていると、より繊細でストレートな印象と感じるモデル(ブルー、グリーン、サンドストーン)もある。一方、テラコッタ、ラベンダー、サフランなどの鮮やかなカラーは、アクアテラの新しい魅力を感じさせてくれるだろう。
実際に手にしてみると、40mm以下のSSウォッチが好きな人なら2022年の新作アクアテラの装着感に不満を感じることはないだろう。ケースは手首にフィットする薄さだが、スポーティさを感じるには十分な大きさがあり、150m防水の意図するところをサポートしている。新デザインのブレスレットとの組み合わせは親しみやすくカジュアルで、とても身につけやすいものだ。
Hodinkee Radioの最近のエピソードで述べたように、38mmと34mmの両方のサイズについて、新しいアクアテラは通常のコアモデルよりも小さいにもかかわらず、オメガが手抜きをしなかったことがわかるのはとてもいいことだ。どちらのモデルも、すばらしい機械式ムーブメント、優れたブレスレット、適切な防水性能、そしてブランドのコアモデルと同じレベルのディテールに対するこだわりを得ることができる。このことは、オメガがこれらのふたつの新しいモデルが、ロレックスのオイスター パーペチュアルなどの時計に直接競合できる能力を持っていると確信していることを示すものだと思う。
薄い丸みを帯びたリンクとポリッシュ仕上げのセンターエレメントを持つ38mmのブレスレットは、バタフライクラスプのところで19mmから17mmへと細くなっている(34mmモデルは16mmから14mm)。つけ心地もよく、ビジュアル的にもいくつかの工夫を凝らした結果、この新モデルにぴったりとマッチしているように感じる。
これは34mmでも同じで、ピンクやパープルなど、やや伝統的な女性らしい色で表現されているが、オメガでは特に性別にこだわることはしていない。そのため、34mmのサンドストーンのアクアテラはニックの好みであり、確かに彼の6インチ(約15.3m)の手首にしっくりとなじんでいるようだ。
カラーだけでなく、34mmは18Kホワイトゴールドの長方形マーカーが船底のシルエットをイメージさせ、差別化を図っている。また、38mmは6時位置にシンプルな長方形の窓があるのに対し、34mmは円形の小窓があり、小さな金属の縁取りで仕上げられている(僕の目には、このふたつのモデルで最も強い日付表示を実現しているように映っている)。
しかし、ここでのメインストーリーは色なのだ。オメガは彩度に頼らず、ダイヤルのサンレイ仕上げとの相性にこだわったカラーリングで幅広い選択肢を提供している。
38mmのテラコッタダイヤルを除き、すべてのダイヤルは真鍮製で、PVD処理で色をつけたあと、ラッカー塗装が施されている。テラコッタダイヤルはCVD(化学的蒸着)だ。プロセスにかかわらず、サンレイ仕上げの魅力はそのままに、ガラスのような美しい発色を実現している。
テラコッタは印象的でムーディー、ブルーとグリーンはオメガの得意とするところだ。最後に、パステルカラーは明るくエアリーだが、カートゥーンのような色合いではない。2020年に発売されたカラフルなオイスター パーペチュアルに対抗するかのように、オメガはロレックスとは異なる方法で、これらのアクアテラに色を加えたのだ。
これらの新しい時計を実際に見た人に話を聞いたところ、満場一致で「これは人気が出る」「アクアテラのラインが新しい、そしてありがたいことにわかりやすいフェーズに入った」と言われた。つけて美しく、幅広い層の手首にオメガの核心を伝え、新色はまるでインスタグラムの「いいね!」を集める目印のようだ。
これら10種類の新しいアクアテラの価格はすべて同じ77万円(税込)からで、これらの画像にあるSS製ブレスレットが付属している。36mmのオイスター パーペチュアルが64万1300円、34mmが60万6100円(ともに税込)のロレックスが直接の競合で、比べることができる。両ブランドとも非常に似たようなユーザーに向けてこれらの腕時計を作っており、今日ロレックスを手に入れることがいかに難しいかはさておき、アクアテラとオイスター パーペチュアルはどちらも似たようなサイズ感と高性能ムーブメントを持つ(ただしオメガには日付があり、OPの100m防水にかなりの差をつけている)。
アクアテラとオイスター パーペチュアルは、一般的な魅力はよく似ているが、アクアテラはオメガのクリエイションであると同時に、ブランドのエントリーモデルとして十分な存在感を放っていると思う。実際に両方のモデルを見てみると、確かに似たようなモデルだが、明確なレシピがあるのだと思う。今後数ヵ月のあいだに小売店に並び始めたら、ぜひ近くのオメガ販売店に足を運んで、実物を見てみることをおすすめしたい。
34mmも38mmも、アクアテラの新しいサイズではないが、この新しいモデルは過去のモデルよりも控えめで、より汎用性の高い選択肢となり、多才なアクアテラコレクションにとっていい展開だと感じている。新しいカラーバリエーション、アップデートされたブレスレットのデザイン、そして新しいデザインの幅広い魅力によって、僕はアクアテラがかつてないほど美しく、幅広い魅力を備えていると主張したい。
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