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WATCH OF THE WEEK 初めてのヴィンテージダイバーズウォッチ

少し控えめな投資。

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HODINKEEのスタッフや友人に、なぜその時計が好きなのかを語ってもらう「Watch of the Week」。今週のコラムニストは、我々のシニアライターだ。

数年前に戻ろう。2016年に。ビヨンセの「レモネード」がチャートを席巻し、ミュージカル『ハミルトン』はグラミー賞とほとんどの部門のトニー賞を受賞している。誰も『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の話を止めようとせず、人々は僕がまだ見ていない『ゴーストバスターズ』のリブート版について騒いでいる。ある意味で、よりシンプルな時代だった。

the skin diver on a piece of wood

 時計の世界はヒートアップしている。フィリップスがスティール製のパテック フィリップ 1518を1100万スイスフラン強(約14億5200万円)で販売。ロレックスはセラミックベゼルのスティール製デイトナを発表。APがロイヤル オーク コンセプト スーパーソヌリを発売。ジュルヌはクォーツのエレガンテ48で話題になった。

 そして、2016年の僕。まだ時計を仕事にしていないが、熱心なダイバーでダイバーズウォッチに夢中になっており、そろそろもう1本買おうと自分に言い聞かせている。具体的にはヴィンテージのものだ。予算も期待値も現実的に考え、1665 シードゥエラーやアクアスターのディープスターへの儚い憧れは捨てた。そして、クラシックなサイジング、60年代のスタイル、力強いラグとシンプルなラインの特徴的なH型ケースを持つ“スキンダイバー”フォーマットの系譜に、とても興味をそそられることに気づいた。

the silvana on the author's wrist

 スキンダイバーを選ぶのは、バスキン&ロビンスでフレーバーを選ぶようなもので、特にバニラを避けようと思えば、選択肢はいくらでもあるのだ。

ライトなダイバーズウォッチ

 ダイバースウォッチのサブジャンルとして知られるスキンダイバーについては、これまでにも多くのことが語られてきた。1950年代後半に誕生したスキンダイバーは、ロレックスのサブマリーナーやブランパンのフィフティ ファゾムスといったいわゆるプロフェッショナルダイバーズウォッチに代わる、よりカジュアルでコスト効率の高い時計として、ダイビングや水辺の冒険(シュノーケリングや、現在フリーダイビングと呼ばれているものにかなり近い、まさに“素潜り”)に使われることを想定して作られた。

the silvana on the author's wrist

 このアイデアは、当時のダイバーズコンピューターのように装着する時計を作るのではなく、スポーティな雰囲気と十分な防水性を備えた、バケーションに適した多用途の日常時計を作るというものだ。ロンジンやアクアスターなど、この分野で活躍するブランドは、ベゼルエッジを囲む四角いカットアウトによって一対のラグが定義されるH型ケースをたいてい使用していた(それのみではないが)。

 今日、このフォーマットのモダンなヴィンテージ風ウォッチは一般的で、かなり人気となっている。セイコーのSPB143、ロンジンのスキンダイバー、ディートリッヒのSD-1、バルチックのアクアスカフ、ゾディアックのスーパーシーウルフ53スキン、ドクサのサブ200などのモデルがそうだ(ほんの一部)。しかし、2016年当時は、チョイスがかなり少なかった。

 最も人気のあるヴィンテージスキンダイバーの話題の裏には、ケース、針、ダイヤル、ムーブメントなど、さまざまな共通要素を使った時計を次々と生産した当時のブランドの時計が無数に存在する。そのなかから僕は自分の時計を探した。テクノス(Technos)、ワイラー(Wyler)、ウィットナー(Wittnauer)、ヴァンテージ(Vantage)、デマン(Deman)、ニコレット(Nicolet)、トラディション(Tradition)、ウォルサム(Waltham)、イエマ(Yema)など(これもほんの一部)だ。

the casback

 そしてAnalogShiftで、エントリーモデルであるシルヴァーナ(Silvana)のスキンダイバーにたどり着いた。鏡面仕上げのカウントダウンベゼル、使い込まれたケース、そしてダイヤルとハンドセットの完璧なコンビネーションが、このジャンルのエレガントなテイストを表現している。

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 ガードなしの大きなリューズを含む幅約37mmのシルヴァーナは、ドーム型クリスタルの立ち上がりを含めて13mmの厚みがあり、ラグからラグまで47mmだ。美しく装着でき、ドリルドラグのおかげで、どんな20mmストラップでも装着できる。ヴィンテージのトロピックラバーが理想的だったが、NATO、レザー、あるいは素敵なメッシュのブレスレットでもうまくいった。

the case profile of the silvana

 夜光プロットは経年で焼けていたし、針は確かに昔の方がいい状態だったろう。しかし、光沢のある黒いダイヤル、長い針、小さなマーカー、内部のサイクロップ日付窓、ダイヤル上の少ない文字(ダイヤル下部の輝くようなAutomatiqueを含む)が気に入った。

 手ごろで楽しいETA2472の自動巻きキャリバーは、前回の点検から順調に時を刻んでいる。しかし僕は、より現代的な時計とクイックセットデイトの搭載に感謝するようになった。

船は出港したか?
the silvana's lume

 今日、スキンダイバーが再ブレイクしている一方で、ヴィンテージは簡単に入手でき、しかも手ごろな価格で手に入る。いや、1000倍のリターンは期待できないが、通常のスポットで検索すると、さまざまな状態のオプションがたくさん見つかるだろう。きれいで比較的良好な夜光を持つもの(それは古い歯ブラシで適用されたように見えない)を見つけたら、買いだ。さらに上を目指したい? 基本的な耐水性をチェックしてもらい、泳ぎに行くのもいい。きっと古い時計は水を恋しく思うはず。

 ヴィンテージダイバーズの世界に入るきっかけとして、このシルヴァーナを超えるものはないと思う。この時計の装着感、見た目、そしてこの時計が作られた時代、つまりダイビングがまだ新しく特別で、休暇を楽しむためのカジュアルなスポーツとして、誰もが楽しめると考えられていた時代が好きなのだ。

the silvana on a piece of wood

 今日、時計もダイビングもより本格的に、より複雑になり、初心者にはまったく難しいものとなっているが、よりカジュアルに始める方法はあるのだ。サンダルを脱いでマスクとフィンを装着し、クリスタルブルーの海で水しぶきを浴びるのと同じような物を時計の世界で探すなら、ここにもまたたくさんの魚がある。