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ブレゲのクイーン・オブ・ネイプルズは、ナポレオン・ボナパルトの妹でナポリ王妃のカロリーヌ・ミュラのために作られたタイムピースをベースとするコレクションです。カロリーヌ・ミュラがナポリ王妃として在位したのは、1808年から1815年までの7年間と比較的短い期間でしたが、アブラアン-ルイ・ブレゲの顧客として最高の地位にありました。ブレゲとの密接な関係のなかで誕生した懐中時計と置時計など合わせて30点以上。そのなかでも最も有名な時計のひとつが、珍しい卵型のケースとシルバー仕上げのギヨシェダイヤルを備えた腕時計です。リピーターやムーンフェイズに加えて、なんと温度計も組み込まれていました。髪の毛とゴールドの細線をより合わせたブレスレットに取り付けられており、初めから腕につけて使うように考えられた時計であったことからブレゲは「世界初の腕時計」としています。
そんなナポリ王妃の特注品に由来するコレクションに新たに加わったのは、クイーン・オブ・ネイプルズ 9835と9838です。どちらも昨年のバレンタインデーに28本限定で販売されたクイーン・オブ・ネイプルズ 9825 “ハート・エディション” エターナルラブと同じく分針に仕掛けが施されたモデル。現在の分を伸縮するハートの先端で指し示します。針の動きは以下のビデオをぜひご覧ください。
針のハート型は、LIGA工法(微細構造物形成技術)を用いて作られたニッケルリン合金製のブレードの先端を結合することで実現されています。針は先端で結合されていますが、それぞれ別の歯車に取りつけられており、中央の軸に備えられたハート型のカムによって、クイーン・オブ・ネイプルズの特徴的な卵のような形をしたダイヤルに沿って、時間を伝えるのです。とても繊細な針が美しいクイーン・オブ・ネイプルズのケースにマッチしています。
同じような複雑機構を持つ時計は、2本の針の関節をパンタグラフのように動かしながら、時間を表示するパルミジャーニ・フルリエのオーバル パントグラフがありますが、それ以外は思いつきません。一見すると似ている両機も、実際は大きく異なります。まず針の形状も違いますし、その素材も異なります。パントグラフはブルーアルミニウム製。また、パントグラフは左右対称のオーバルケースであるのに対して、クイーン・オブ・ネイプルズのケースは卵型。求められる技術がそれぞれ異なるのです。
カロリーヌ・ミュラ王妃が特注したオリジナルは、リピーター、ムーンフェイズ、そして温度計つきであったことは前述しましたが、昼夜を問わず明るく、細かなことはスマートフォンで確認できる今のような時代には、この詩的で繊細な時間表示の複雑機構は多くの女性の目にとても魅力的に映るのではないでしょうか。
デザイン、機械的な創意工夫、メティエ・ダール、そして仕上げの美しさ。奇妙に聞こえるかもしれませんが、普段レディスウォッチを身につけることはない31歳男性の僕もこの時計には魅力を感じます。
ブレゲは、クイーン・オブ・ネイプルズ 9835と9838をリリース。どちらもホワイトゴールドケースですが、前者はベゼルとフランジにダイヤモンドを161 個(約2.091 カラット)、さらにリューズにカボションカットのダイヤモンドをあしらい、ブルーマザーオブパールダイヤルを備えた20本限定エディション(税込価格724万9000円)。後者はベゼルとフランジにブルーサファイヤを118 個(約2.062 ct)セッティングし、リューズにもカボションカットのブルーサファイアを備え、ホワイトラッカー仕上げのクリーンなダイヤルを持った通常生産モデルです(税込価格654万5000円)。
さらに詳細を知りたい方は、ブレゲ公式サイトへ。
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