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Hands-On ゼニス デファイ リバイバル A3643と、復刻モデルの現在地

1960年代後半のデザインを忠実に再現した新作が、2026年における復刻モデルの在り方に一石を投じる。

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過去のデザインを復活させるという手法は、時計業界において決して新しいものではない。1990年代、タグ・ホイヤーは“Heuer”ロゴのみを冠した1964 リ・エディションシリーズで愛すべき復刻モデルをリリースした。パテック フィリップのカラトラバ Ref.3796は、当時から数えて60年前のRef.96から直接的な系譜を引き継ぎ、のちにオリスは2015年にダイバーズ 65で人々の注目を集めた。そしてカルティエにいたってはCPCP(コレクション プリヴェ カルティエ パリ)が始まるずっと前から、何十年ものあいだアイコンを再定義し続けてきたブランドだ。

 2017年ごろになると、どこを見渡しても復刻モデルばかりになった。あらゆるブランドが自らの過去とつながるモデルを提供し、過去を持たないブランドは時計業界の過去からインスピレーションを得ていた。バルチックを思い浮かべて欲しい。

Zenith Defy Revival A3643

 振り返ってみれば、あの時代は真の転換点だった。ブランドにとってだけでなく、我々が歴史とつながる方法にとってもだ。それまで敷居の高かったヴィンテージウォッチの世界が、70年前のデザインを毎日手首に纏いたいと願うすべての人にとって少しだけ身近なものになった。選択はシンプルだった。復刻モデルを気兼ねなく身に着ければよいのだ。

 ヘリテージは時計づくりにおいてあまりにも根本的なものであるため、常に基準点であり、人々を魅了するポイントであり続けるだろう。しかしそれが単なる基準点ではなく、万能な解決策として扱われるようになると、イノベーションは停滞する。自制心を持ってヘリテージを活用したとき、より興味深いことが起こるのだ。

 その絶妙なバランスを保っているのが、ゼニスだ。どのような価格帯であっても、ゼニスほど正確にバックカタログを復活させているブランドはまれである。LVMHウォッチウィーク 2026で発表された最新作、ゼニス デファイ リバイバル A3643は復刻モデルが今日の時計収集においてどのような位置づけにあり、どのように機能すべきかを正確に理解している。

Zenith Defy Revival A3643
Zenith Defy Revival A3643
Zenith Defy Revival A3643

 ゼニスのリバイバルスタイルにならい、今作は1969年に同じリファレンス番号を冠していたオリジナルウォッチの忠実な復刻である。“忠実”というのは、言葉どおりの意味だ。ゼニスはヴィンテージのダイヤルを3Dスキャンし、細部やプロポーションを隅々まで捉えた。その結果、驚くほど正確な再現がなされている。サテン仕上げを施した立体的なインデックスはダイヤルに奥行きを与え、シャープなファセットが施された針は品格を損なうことなく高い視認性を誇る。そしてシルバーのサンバースト仕上げは、信じられないほど鮮明な印象を与える。

 手首に載せると自然とヴィンテージ感が伝わってくるが、それ以上の魅力も秘めている。ケース径37mmでラグ・トゥ・ラグ42mmというサイズは、我々が復刻モデルに期待するとおりのものだ。力強いミドルケースの形状と、手首の上に載るのではなく手首に収まるようなプロフィールのおかげで、13.5mmという厚さも上部に重さを感じさせることはない。当然ながらダイヤルが主役だが、ケースも称賛に値する。2022年のA3642 リバイバルで初めて採用された14角形のベゼルが8角形のケースに収まるデザインは1960年代後半特有の角張った存在感を放ち、装飾的というよりは彫刻的な印象を与える。

Zenith Defy Revival A3643

 このモデルはヴィンテージのプロポーションのよさを取り入れ、現代的な仕上げとディテールへのこだわりを融合させていると言うのは使い古された表現かもしれないが、人生の真実のいくつかはその言葉の裏に隠されているものだ。そして今作には確かにそれが当てはまる。

 このレベルの復刻は、ゼニスにとって初めてのことではない。ブランドは2019年から確信を持ってアーカイブの再訪を続けており、その過程でいくつかのモダンでクラシックなモデルを生み出してきた(リバイバル シャドウ、君のことだ)。そしてA3643の外観はどこから見てもヴィンテージウォッチのようだが、その作り込みは紛れもなく現代的だ。ケースもオリジナルをスキャンしたものだが、きわめて高い基準で仕上げられており、大部分を占めるポリッシュ面と、上下の面にあしらわれたサテン仕上げのファセットが対照をなしている。その切り替えは鮮明で統制されており、ツールウォッチとしてスペックシートから想像されるよりはるかに洗練された印象を与える。

Zenith Defy Revival A3643
Zenith Defy Revival A3643

 ここで正直に告白すると、着用して数時間が経過するまで自分でも忘れていたことがある。これは300m防水を誇るダイバーズウォッチなのだ。ねじ込み式のリューズを備え、多くのダイバーズウォッチに匹敵する防水性能を持っている。それでいて、スタイルやプロポーションの面では意外性のある外観と、それにふさわしい作りを兼ね備えたシックで日常使いの時計として振る舞っている。これこそ、私が手首に纏いたいダイバーズウォッチの姿だ。内部には自社製の自動巻きムーブメント エリート 670を搭載し、50時間のパワーリザーブと確かな信頼性を提供している。この選択は、この時計が外観以上の存在であることを裏付けている。

 正直に言えば、1歩引いて現代のライバルたちと比較したとき、ラダーブレスレットは好みが分かれるかもしれない。しかしゲイ・フレアー社(Gay Frères)のデザインにインスパイアされたこの切り抜き形状は、クラスプに至るまで時計のデザイン言語を継承している。5段階の微調整機能とフォールディングロックを備え、ラグ幅18mmから手首側で16mmへとテーパーがかかったブレスレットは着け心地がよく、その完成度を損なうことなく当時の時代背景を正しく反映している。従来どおりの選択肢を求めるなら、標準的な3連ブレスレットも用意されている。

Zenith Defy Revival A3643

 ヘリテージを活用する技術は、時計づくりにおいて常に存在し続けるだろう。歴史の規範に則るにせよ、あるいはそれを打ち破るにせよ、時計が継続的に評価されるためには不可欠な要素だからだ。しかし長期的に成功するブランドとは歴史を依存の対象ではなく、敬意の対象として扱うブランドである。ゼニスについて言えば、最近のほかのリリース、特に36mmのスカイラインを見れば一目瞭然だ。12角形のベゼル、クラシックなプロポーション、シルバー調のダイヤル、そして控えめなブラックという要素はこれらのリバイバルプロジェクトがいかにコレクション全体に影響を与え、時間をかけて一貫したデザイン言語を構築しているかを示している。

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 ヴィンテージゼニスの目利きであり、トータス・ウォッチズ(Tortoise Watches)の創設者であるアーウィンド・ジャンド(Arwind Jhand)氏にとって、ゼニスのリバイバルラインの強みは手首に載せたときにどれほどオリジナルに近い感覚を再現できているかにある。「特にレザーストラップを装着すると、ヴィンテージラインときわめてよく似た着け心地になります」と彼は言う。オリジナル個体の希少性が高い場合、この再現性は重要だ。「状態のよいA3643に出合えることは滅多にありません。ですから、このカラーリングのリバイバルが登場することはきわめて理にかなっているのです」

Zenith Defy Revival A3643

 103万9500円(税込)という価格設定のA3643は今日、競争の激しい価格帯に位置している。しかし視覚的な面で本当の競合相手となるのはゼニスのカタログ内だけだろう。言い換えれば、個人的には本作の最大のライバルはほかのデファイ リバイバルだと思う。それは現代のトレンドを追う必要性以上に、元のデザインがいかに強力であるかを物語っている。

 デファイ リバイバル A3643は過去を現代化するわけでも、過去に隠れるわけでもない。その代わりに、歴史的な傑作デザインを現代において心地よく存在させているのである。